山旅 : タムシバ咲く大倉山 2017/4/25
投稿者: hangontan 投稿日時: 2017-4-27 14:08:37 (487 ヒット)































日月と二日間、これ以上はないと思われるくらいの晴天だった。
それまでうっすらとベールが懸ったような空はどこへいったのやら、澄んだ空気に包まれた極上の二日間だった。平地からは、すっきり、くっきりと山々が臨め、仕事をしながらうらめしくも思い、また、残雪の山を歩く妄想にふけっていた。

さて、その好天は今日も続くのだろうか、さすがにそれはないだろう、でも行ってみるかとの気持ちで家を出た。

空は晴れているが、道中から臨む剱にはうっすらと雲がかかっている。綿をちぎったような雲もところどころに浮いている。車がどこまで入るか心配したが、登山口まで入ることができて運がよかった。おそらく、昨日までの好天で林道の整備が進んだのだろう。林道筋から見える山々はすっかり春の装いになっている。桑首谷を挟んだ両脇の山肌には雪は全くない。芽吹きの緑が目に飛び込む。サクラも数カ所で咲いていた。

登山口からの急登の尾根にはイワウチワが乱舞している。昨年6月に登ったときはとうにイワウチワは終えており、ツツジなどの夏の花が出迎えてくれたことを思い出す。そのとき気に留めていた花柄の主にもしかしたら逢えるかもしれないとの思いがよぎる。だが、高度を上げるにつれて次第にイワウチワの花数も少なくなってきて、あの花への期待は遠のいていった。800から雪を拾い、急登を終えた1000のなだらかな尾根に出て雪の上となる。

ここからはところどころ藪の隙間から剱が臨めるようになる。はたして、雲の行くへは、それだけが気がかり。心地よい残雪歩きをほどよく楽しんで、頂上台地へ。

毛勝から剱、大日までの大パノラマが広がる。猫又谷の眺めが新鮮だ。釜谷山へと延びる顕著な尾根に引きつけられる。登攀意欲をそそられる尾根だ。右には鍬崎山とその奥の薬師岳、大日、奥大日、そして立山川の奥に鎮座する前剱が見渡せる。そして真正面には剱が・・・上部に立派な雲を湛えてそびえ立っている。あれー、やっぱりか。

ここは肝を据え、剱の眺めのよい場所まで先に進み、雲が切れるのを待つことにした。待ってながらも、前回の土倉山とは違って、陽射しもあり風もなく、光りに満ちた春山の醍醐味を満喫する。

一脚を雪に付き刺し、ザックの上に座って時を待つ。西から東へと雲は流れていく。雲の切れ間からのぞく青空が移動してく。しかし、その切れ間も剱に近づくと再び雲を呼び込み、剱山頂付近は常に雲がまとわりついている。毛勝や大日など他の山々の上空はすっきりしているのに、剱だけは雲が切れそうで切れないから不思議だ。そんなこんなで一時間が過ぎた。

まぁ、物は考えよう。素っ裸の剱はいつでも撮れるけど、同じ雲はけっしてない。これはオレだけにしか撮れない剱だ、そう思うと、心のモヤモヤはどこかへ飛んでいったようだ。

下山途中、新緑の中でタムシバが白く輝いて見えたのが印象に残った。

登山口起点 山頂の奥の末端尾根まで2時間10分 山頂1時間 下山1時間30分

印刷用ページ このニュースを友達に送る