本棚 : 「ホワイト・ジャズ」ジェイムズ・エルロイ 著 ★★★★★ 文藝春秋
投稿者: hangontan 投稿日時: 2017-5-17 10:41:57 (415 ヒット)

LA四部作の四作目であり、最終作。
第四作目にしてJFケネディが登場し、「アンダーワールド USA 三部作」への序章的な含みも感じられる。これは「アンダーワールド USA 三部作」を先に読んでいたからそう思うのであって、順番にLA四部作から読んでいたとしたら、そんな深読みはしないだろう。しかし、エルロイのこと、当然アメリカの闇を描いた次のシリーズを念頭においていたに違いない。さらに、「アンダーワールド USA 三部作」の第一弾「アメリカン・タブロイド」に見られる、破壊的で投げ捨てるような文体がこの作品ではこれまでの三作になく顕著である。

LA四部作の最終作だけあって、話の筋も凝りに凝っている。ちょっとした読み飛ばしもできないくらい、居眠りしている暇もないくらいの緻密さ。暴力性の裏に潜む繊細な物語性。ただ、これまでの作品同様登場人物がやたらと多く、推理小説的には未消化の感も否めない。

アメリカの闇を描いた「LA四部作の四作目」と「アンダーワールド USA 三部作」をもう一度最初から読み直して、これらの作品を完全にものにしたいと思った。

印刷用ページ このニュースを友達に送る