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本棚 : 「モンキーブリッジ」 ラン・カオ 著 ★★★★ 彩流社
投稿者: hangontan 投稿日時: 2017-8-12 11:11:56 (386 ヒット)

先に読んだ「蓮と嵐」と構想は同じ。
ベトナム系移民のベトナム的価値観とアメリカ的価値観との順応と葛藤を自伝的要素を多く含めて描かれている。

題名の「モンキーブリッジ」とは、ベトナムの農村地帯に架かる細い竹橋のこと。人生は細くてあやういこの橋を渡るのに似ている。勇気と度胸が必要だが、ちょっとの油断でその橋から足を踏み外すこともある。しかし、渡らないで済ますこともできる。ここに描かれているのは、サイゴン陥落前後にベトナムから脱出した難民の身を切るような物語と、移民を契機に自らの過去を書き換え自己実現を夢見るベトナム系アメリカ人の物語である。

1975年の私といえば、パチンコとマージャンとアルバイトが中心の学生生活を送っていた。将来に対して何の不安があるわけでもなく、もちろん実生活においてなんの不自由さも感じておらず、やがて、どこかの会社に普通に就職して企業戦士になるのだろう、とノウタリンを絵にかいたような人間だった。ベトナムで起きていた混沌と混乱と脱越ボートピープルの悲惨な実態については知る由もなく、平和ボケしたバカまるだしの人間だったといえる。当時、それを必死になって伝えようとしていた人たちもいたのだろうし、テレビやマスコミの報道もあっただろう。それなにの、私は何の関心も示さず自分ファーストの日々を送っていた。今、こうして2冊の作品を手にして、ようやくその時の状況がわかりはじめ、ベトナムの歴史が意外と古いことを知り、ベトナム的価値観の片りんに触れることができた。そのことをうまく伝え描いてくれた作者に感謝の気持ちで一杯だ。

本作品のみならず、ベトナム系アメリカ文学について、訳者の麻生享志が「訳者解説」に詳しく述べており、これもまた一読に値する。簡潔に要点をついた好解説で、すべてを紹介したいくらいだが、ちょっとだけ引用させていただく。

以下引用:
1960年代はじめから30年の間にベトナム系移民によって100冊以上の本が英語で出版されたという報告がある。その多くは辛い戦争の過去とアメリカ移住の経験をあらわす自伝的文学で、ベトナム語から英訳されたケースも少なくなかった。

この状況が大きく変わりはじめたのはここ十年あまりのこと。「祖国の文化規範や言語能力をある程度維持しつつ海を渡った若い世代の移民」俗に1.5世代と呼ばれる移民が成人し、自伝のみならず純文学の作品も発表するようになってからだ。

彼ら1.5世代の移民は、アメリカ生まれの弟や妹と両親ら旧移民世代をつなぐ文化的橋渡しの役目を担ってきた。そのため、自らが置かれた立場や環境にきわめて敏感で、「移民社会内部の世代間のつながりだけではなく、アメリカ的価値観とベトナム的価値観と仲介者」の役割も果たしてきた。この1.5世代に属する小説家、詩人が声を上げはじめたことが、現在のベトナム系アメリカ文学の興隆につながる。

すでに頭角を現してきている若い作家の中には、ベトナム生まれであってのその記憶をほとんど持たない者もいる。移民としてアメリカ社会への順応と葛藤の物語を語ることはできても、かつてのベトナムを想い、作品として再構築する「記憶」を持たないより若い世代の芸術家が今後増えることは必至だ。だから、1.5世代移民の文化・文学は世代間の空白を埋め、すでに失われたベトナムの「記憶」を後世に残すことを使命とする。『モンキーブリッジ』は、戦争の記憶と伝統文化の保存、アメリカという新しい風土の中で生きるベトナム系移民のアイデンティティーの再構築をテーマに描かれた作品に他ならない。

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