本棚 : 「エウスカディ」馳星周 著 ★★★ 角川書店
投稿者: hangontan 投稿日時: 2020-9-7 16:17:58 (231 ヒット)

バスク人、バスク地方の特殊性に目をつけて、それから話を膨らませていった物語。いわゆる「バスク」はスペインとフランス国境の両方に存在するということを初めて知った。バスクはそういう微妙な位置にありがながら、独自の文化を築き上げ、それを守ろうとしている。

物語は、スペインの中央政府からの独立を目指して武力による革命を探る組織とそこに紛れ込んだ日本赤軍からの協力者を主題としている。巷では日本人とバスク人には共通する点が少なからずあるという話だが、この物語を読めばなるほどと共感できる面も見いだされる。


冒頭からテロ組織、日本赤軍と出てきて、世紀末のノワール作品を想像していたが、その期待は見事に裏切られた。犯人捜しの部分もある程度予想できる範囲内で、テロ行為という破壊的思想とは裏腹に、物語としての破壊性はない。

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