本棚 : 「菊と刀」
投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-5-10 6:09:41 (517 ヒット)

ルース・ベネディクト 著 ★★★★ 社会思想社

二十数年ぶりの読み返し。
日本社会の構造を文化人類学の面から分析している。この本を読んだ誰もが驚くのは、筆者が一度も来日していないのにこれだけ鋭く日本と日本人が分析されていることだ。少なくとも昭和三十年代生まれの私の日本感を見事に言い表している。作者が日本研究を米国から依頼されたのは昭和19年6月、米国が太平洋戦争において大攻勢をかけ始めてきた時期である。米国はありとあらゆる面において敵国日本を知る必要があり、その一環として筆者に日本研究が依属された。
この本の妙は、筆者の分析力の鋭さにあるが、それよりも私は英語で書かれた日本についての記述を邦訳で読み直すという点にあると思う。原書で読めば、もちろん理解できるはずもないが、ちんぷんかんぷんに違いない。この日本人から見て鋭いと指摘された分析は、どの程度米国人に理解されているのだろうか、それも気になる点である。

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