山旅 : 錫杖岳中央稜P2右岩壁左ルート 2011.6.4
投稿者: hangontan 投稿日時: 2011-6-5 21:12:55 (894 ヒット)


余裕をかますT


フィナーレを行くK

1988/6/11、初めての錫杖の感動を今も忘れない。新緑と空の青さ、渓流の水しぶき。あの時の自分にもう一度戻りたい。いやいや、年寄りは昔の思い出をよすがに生きるのみ。そんな思いがせめぎ合う。

前回の錫杖の岩登りは2002年の6月だから、実に9年ぶり。そしてホンチャンもその時以来。今回選んだルートは、中央稜P2右岩壁左ルート。今の自分の力量を鑑み、かつ、ホンチャン再開の手始めとしては妥当なところであろう。

1P:30m 3級 リードY
北沢に残る雪渓を詰め、階段状の草付き斜面を登り切ったところにあるテラスで登攀準備。左手の浅いルンゼを少し登った所からスタート。3級よりはやや上の感触だが、久々のホンチャンのリードは緊張感でいっぱい。体も固く、喉もカラカラ。心臓もバクバク。落ちてはいけないという恐怖が先に立つ。とても登攀を楽しむどころではない。やっとかっとで30mほど登ったところにあるビレイ点に這い上がる。よく見るとその10m先にもしっかりとした支点があったのだが、まるっきり見えなかった。先を伺う余裕など全くない。

2P:45m 4級上 リードT
その10m進んだ地点からは、正面から右手にフェース、左にチョックストーンのあるチムニーが望まれる。チョックストーン直下から一旦右に出て、再びルンゼ状の右壁を行く。このあたり、ところどころ濡れていたり、壁が立っていたりして、ルート的には4級上ではないだろうか。Tは滞ることなくすいすいロープを延ばす。45m、目いっぱい上がったところがバンド状になっていて、ビレイ点がある。

3P:40m 3級 リードT
実質的登攀は下部2ピッチで終了。ビレイ点のあるバンドから上部は岩質が異なっているような感触。傾斜は緩やかでホールドやスタンスも豊富。だが、ピンやクラックもあまりなく油断は禁物。

4P:30m 2級 リードK
フィナーレを飾ってKが行く。階段状の草付き交じりから松の木を分けながら一登りする。着いたその地はさながらパラボラアンテナの焦点。前衛壁から烏帽岩、本峰の眺望が素晴らしい。しばし、達成と勝利の喜びに酔いしれる。

最終ピッチのみクライムダウンで降り、あとは懸垂下降、3ピッチ。取り付きに降り立って仲間同士固い握手。帰路お目当ての山の幸を収穫しながらてくてく歩く。大体予定通りの行動時間で登山口に到着。お互いの無事と健闘を讃えあって再びの握手。登攀時間3時間半、下降時間2時間。今日の獲物:コシ、ゼンマイ、ウド(極上)

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