山旅 : 霞沢岳西尾根 2012/12/29〜31
投稿者: hangontan 投稿日時: 2013-1-1 18:13:17 (600 ヒット)















同行者 T
体調も気分も気まぐれな私に同行してくれたTがいなかったら、この山はあり得なかった。

「カスミサワダケ」なんと心地よい響きを持つ山の名前だ。そしてなんとなく魅惑的な名前でもある。釜トンネルから上高地に入って、いくらも歩かずに取り付けるこの山は、標高も2645、高差1200の手ごろな山である。また、上高地を挟んで対面にある穂高の山々の絶好の展望台。その展望を求めての年末山行となった。

12/29 曇り〜晴れ 2162TS 取り付きから4時間30分
平湯のバスターミナルに車をデポ。そこからバスで中の湯まで。釜トンネルを出て、久方ぶりの上高地の余韻に浸りながら林道を歩く。ルンルン気分で歩いていたら、いつのまにか取り付きの尾根を見過ごしてしまっていた。すこし戻って西尾根に取り付く。

この尾根は終始登りに徹し、アップダウンが少ない。ひたすら樹木に覆われた尾根を行くだけ。天気が予想していたよりよくなり、焼岳の雄姿が迫りくる。西穂から奥穂、前穂から明神までの絶景が青空をバックに映える。気分もよろしく、登る、登る。ただ、テン場が少ない。1900付近と、2000のジャンクション付近、そこを過ぎると平らな場所が少なく、また尾根上の灌木が邪魔をして、テントスペースがなかなか見つからない。我々が確保したのも、本当にやっと一張り張れるくらいの灌木帯の斜面だった。

12/30 曇り小雪 2162TSからアタック 登り4時間、下り2時間
夜半から風が強まり雪混じりの空となる。ラジオから流れる天気予報から判断すると、今後の天候は芳しくないらしい。富山を出発する前は今日の午前中くらいまではもってくれそうな感じでいたのだが。天候の崩れは予想より早そうだ。昨日天気図をとらなかったのも、行動を逡巡させた要因だ。予定では6時にテントを出ることになっていたが、コーヒーなどを飲んで様子を見ることにした。

7時頃、明るくなり始め、風も弱まって来たようなので、出発することにした。昨日追いつけなかった先行者のトレースがうっすら残っている。彼らのテン場は我々より約50メートル先を行った2200付近であった。平らで無理をすれば二張りくらいは張れそうなスペース。ここから、彼らのトレースを利用させてもらって、2400付近でようやく彼らに追いついた。なんと7人パーティー。8テンを背負っての縦走だ。全員かなりのデカザックを担いでいる。

空身の我々が彼らの先を行くことになると、いよいよ冬山の醍醐味が待っていた。2500手前から尾根がやせはじめ、降雪後のミニナイフリッジやミニキノコ雪が予期せぬ雪山気分をプレゼントしてくれた(なにせ、参考にしたネット上の記録はルンルン登山ばかり)。2500の岩峰手前のミニナイフリッジ手前でアンザイレン。そこから2ピッチで岩峰を乗っ越す。

あとは緩やかな尾根を行く。2つのにせピークを越え、三つ目のピークで頂上台地の一角に出る。岩峰を越えてからここまでかなりきつかった。私の後ろをサポートするTはあくびをしながら歩いている。申し訳ないが、これ以上のペースでは歩けない。頂上台地に着いた途端、私はそこでへたり込んでしまった。かまわずTは先に行き、50メートル進んだところが本ピークだった。私もやおら腰を上げ、ゆっくりとTに歩み寄る。迎えてくれたTとがっちり握手を交わしたとき、ひさしぶりに達成と勝利の喜びが全身を駆け巡った。実に2年越しの山。冬山としては初級の山であるが、私にとって、本当に遠い、遠い山だった。

12/31 曇り 2162TSから下山 上高地まで2時間

今回の山行きで起こった発作は6回。
もしかしたら、ならないかもしれないと根拠レスに思っていたのだが、今回それが出てみるとやはりショック。

先々週に行った八方尾根で掴んだペースを意識しながら登っていたが、急登などで心拍を上げると発作が誘発される傾向があるようだ。また、一本とったあとの登り始めにも脈が乱れる。下山時もテントを出た直後一回起こった。

ただ、以前と違うのは、目がまわってうずくまり、引きずり込まれるような恐怖心に包まれ、行動不能となるような重篤な症状にまで発展しなくなったことだ。発作が出た時は慌てず、5分くらいじっとして回復を待つ。ただ、登りの場合、明らかにペースダウンとなり、時間との勝負となると先が読めない。また、まだ余力があるうちに撤退しようとする意識が強まり、登頂への執着が薄れてしまう。

今回は、たまたま運がよかっただけかもしれない。はて、どうしたものか。

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