本棚 : 「ディア・ライフ」 アリス・マンロー 著 ★★ 新潮クレスト・ブックス
投稿者: hangontan 投稿日時: 2014-5-7 19:06:03 (509 ヒット)

アリス・マンロー、三冊目。

2103年10月にノーベル文学賞をうけたアリス・マンロー。
本書はその後に日本で発刊された短編集。

訳者あとがきの中で、ノーベル文学賞受賞のあと日本の読者に読んでもらいたい作品は、と問われて、作者はこの本「ディア・ライフ」を勧めている。

本書は、高齢の作者にとっては、もしかしたらこれが最後の短編集となるかもしれない。
はたして、ノーベル文学賞受賞者の神髄はいかに、と思って手にとった。

だが、これまで二作品、作者の作品を読んできたが、そのなかでも、もっともおもしろくない作品であった。ネット上の書評でも指摘されていたが、とても読みずらいという印象が先に立つ。

作者が得意とする短編。それが短編集としてまとめられたときに、そのあつめられた作品が合わさって、倍の魅力を引き出してくれる。それが、アリス・マンローの真骨頂で、それが故でのノーベル賞だったのでないかと思う。しかし、本書「ディア・ライフ」は、短編集の部品となる短編の精度が著しくよくない。というか、あまりにも話が唐突すぎ、抽象的すぎて、もしかしたら、自分がそれについていけないだけなのかもしれないが、わかりにくい作品がほとんどだった。

彼女の作品で初めて読んだ「林檎の木の下で」で受けたインパクトが強烈だっただけに、本作品はどうしてもそれと比べてしまい、作品的に劣るし、おもしろくない、という感想に至った。

ノーベル賞作家ということで、初めて彼女の作品を手にとる人もいるかと思うが、そんな人が本作品を読んで、はたしてどう感じるだろうか。「これはおもしろい」と絶賛する人はそんなに多くはいないだろう、と思ってしまった。

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