山旅 : チングルマの大日平 2014/6/24
投稿者: hangontan 投稿日時: 2014-6-25 20:26:24 (535 ヒット)

先週の土曜から日、月と三日間、体が熱っぽく、だるくて、めまいもするし、起きていてもほとんど死に体同然だった。どっかで風邪でももらったのか、あるいは自堕落な毎日のツケが回ってきたのか、なんにしろ体調は最悪の状態。コーヒーもまずいし、酒を呑んでもすすまない。今週末からは旅に出かけなければならないし、どうなることやら、マイナス思考まっしぐら。

朝起きてからも熱っぽさはとれていないが、とりあえず、山に行ってみよう。下界でうだうだ悩んでいても問題は解決しない。今日しか空いている日はないのだから、と思って家を出た。

称名駐車場からのコンクリート道路を歩き始めたとたん、目が回る。登山道に入ってからも吐き気とめまいが襲う。一歩一歩、ゆっくりゆっくり、だるい体を引きずるようにして、牛首までの道を行く。一汗かくと、体はいくらか軽くなったような気分。

この調子ならなんとか小屋までは行きつけそうかなと思いながら、木道を歩いていると、薄黄色のチングルマが目に飛び込んできた。まったく予期していなかっただけに、ハッとさせられた、というか驚かされた。この一瞬にして、自分の中の何かが弾けた。

初夏の風にゆられて歌っているような立ち姿。梅雨空ながらも時々雲間から届く陽射しのもと、木道の脇に次々と現れてくるチングルマは燈明のように大日平へと導いてくれている。それは、同時に自分の明日へと続く木道だ、ひたすら歩き続けるのみ。チングルマが途切れると、もう終わりか、とがっかりさせられるが、再び出てくるとほっとするような安心感。チングルマを追って歩く山道。こんな気分で山を歩いたこと、今までにあっただろうか。こんな目で山の花を見たことがあっただろうか。平時なら「おぅ、咲いていたか」、パチリで終わり。今日という絶不調な日だからこそ感じられる「山」があった。
やっぱり、山は行ってみなければわからない。

大日平小屋まで1時間45分、下り1時間30分
今日の獲物 ウド













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