本棚 : 「恋歌」 朝井まかて 著 ★★★★ 講談社
投稿者: hangontan 投稿日時: 2014-8-10 17:36:54 (377 ヒット)

「まかて」という名前には???と思ってしまう。なんか意味があるのかな。
第150回直木賞のこの作品はすっきっりとした時代劇だった。
歌人中島歌子の人生をその弟子が紐解いていく。

語り口が今風なら、物語の運びも今風で、とても読みやすい。やっぱり時代が作らせる作品というものがあるのだなと実感する。
水戸藩士と会津藩士の区別も知らない小生であったが、天狗党VS諸生党の物語を軸として、水戸藩の立ち位置と苦労ぶりが垣間見えた。そして、幕末の混沌としたやや男ばかりが目立つ中にあって、歌人中島歌子が水戸藩がらみで描かれている。そういうことだったのか。と、うなることしきり。

一つ心にぐさっときたのは、歌を詠うときは命がけであらねば、ということ。

君にこそ恋しきふしは習ひつれ さらば忘るることもをしへよ

萩を彩った表紙カバーが秀逸。

印刷用ページ このニュースを友達に送る