本棚 : 「木曽義仲」 松本利昭 著 ★★★★★ 光文社
投稿者: hangontan 投稿日時: 2014-11-12 17:39:03 (532 ヒット)





私が商売に赴く上州下仁田町の栗山という地区には今井性が多い。というかほとんどが今井さん。この秋に訪問した時、その今井さんからおもしろい話を聴かせてもらった。今井四郎兼平という武将の墓が、この部落にあるのだそうだ。なんか聞いたことのある名前だが、聞くと、木曽義仲の腹心であったらしい。

木曽義仲といえば、今富山県の小矢部市がさかんに大河ドラマで彼を取り上げてもらおうと、市民をあげて招致運動で盛り上がっているところだ。木曽義仲で富山と上州のこの地とが結びつくとは思ってもみなかった。

木曽義仲のことは倶梨伽羅峠での合戦のことぐらいしか頭になく、これは一つ彼につてもっと知ってみようと思って手にとったのがこの一冊。

小説のような、そうでないうような。いうなれば作者の木曽義仲への想いを綴った覚書とでもいえる作品。彼が活躍した時代は、天皇と上皇と法皇、公家と武士、平家と源氏、それらが複雑に絡み合って、混沌極まりなく、武士の時代への過渡期であった。そんな中で、木曽義仲の果たした役割は非常に大きい。なのになぜ賊軍といわれなければならなかったのか。作者はそうではないのだ、彼こそが時代を変えた偉大な武将なのだ、と想いを述べている。小矢部市での木曽義仲大河ドラマ招致運動の発端となった出来事も本書に触れてある。

木曽義仲自身と彼が生きた時代背景を知る入門書としてはとてもよい本だと思う。

印刷用ページ このニュースを友達に送る