山旅 : 単独行者 伊折からの道 2015/1/02
投稿者: hangontan 投稿日時: 2015-1-3 17:59:18 (639 ヒット)















年末年始の怠惰な生活に自分ながら嫌気がさしてきていた。働きもせず、山にも行かず、かといって他の何かに打ち込むわけでもなく、原因は分かっているが、いかんともしがたい現実は変えようもなく、ただただ時間が過ぎていくだけ。

今日もそんな日になるのだろうかと思いつつ朝目を覚ました。悪天の予報とはうらはらに空は明るい。あわてて準備を整え、家を飛び出した。伊折には越年した登山者の車が4、5台。50センチほどの雪に埋もれている。スノーシューを履いて馬場島に向かうが、すでに先行者のスノーシューのトレースがついている。だが、今日乗り入れた車は自分の以外見当たらない、不思議だ。

馬場島へと向かう道すがら下山してくる登山者とすれ違う。M大学は赤谷尾根に取り付いたが2000で引き返し、今日は馬場島から伊折まで往復し、明日中山あたりを目指すというのだが、この上天気をどう思っていたのだろうか。やや高齢のグループは30日入山で早月小屋までにも達していない。年末から年始にかけて登頂出来たものはいないのではないか、2600までがやっとではなかったか、とのこと。男女二人組は31日トレースを辿って中山登頂、1日再び中山目指したが、夜来からの降雪でまったく歯が立たず敗退してきた、とのこと。あと一組、やや年配の3人グループとすれ違う。

さて、先行者のトレースは馬場島まで行くのかと思いきや、途中から右の植林帯へと向かっていた。場所的には大熊山へと向かうあたり。自分がかつて使った大熊谷東山稜を大きく廻り込んで次の支尾根に取り付く斜面からのエントリーだ。はて、どんな登山者が入っているのか興味がわいてきて、そのトレースを追ってみることにした。

杉林の中のやや締まった雪面を何の躊躇もないルート取り。ルート経験者でなければこれほどのルートはとれないであろう。過去のトラックデータを確認しながら歩いているのか、ほれぼれするようなトレース。傾斜は次第にきつくなり、斜面から尾根上に乗り上げる。ときより膝から上のラッセルも出てきて、二番手を歩いていてもかなりきつい急登もある。先行者の難渋しながらの一人ラッセルが目に浮かぶ。いつかはその後ろ姿を捉えられるだろうと追ってはみたものの、その気配すら感ぜられない。820の尾根に出たところで追跡をあきらめた。

出発に1時間半から2時間の差があったと思われるが、山に取り付いてからも平たん路からも単独行者を視認できなかった。この者はかなり山慣れした健脚者に違いない。はたして彼は大熊山まで達したのだろうか。

歩行時間:4時間(写真撮影をしながら)

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