本棚 : 「女たちのジハード」篠田節子 著 ★★★★★ 集英社
投稿者: hangontan 投稿日時: 2015-4-6 18:47:38 (422 ヒット)

今ならば「ジハード」という言葉を本の題名に使うのはちょっとはばかられるかも知れない。9.11以後、「ジハード」という言葉には神経質にならざるを得ない。

ただ、この小説において、「ジハード」には「聖戦」という意味合いなど全くなく、奮闘とか努力といった意味になるのだと思う。ただ単にゴロ合わせがいいから使われたのだろう。「女たちのジハード」、良い響きで、読む気をそそられる題名だ。これが「「女たちの奮闘」とか「「女たちの努力」という題名だったら興味がわかなかったかもしれない。

さて、物語はテンポがあって小気味いい。しかも痛快な筋立て。第一印象は「女性版半沢直樹」といったところ。バブル後のOL達の生活を軽妙なタッチで描いている。5人のOLが悩みや困難に直面しつつそれぞれのやり方で奮闘努力しながら前に向かって進んでいく。あと味すっきりとした読後感。

読み終えてから、表紙カバーになにげなく目をやると、カラフルなトマトが描かれていた。そのトマトに物語の中で登場するOLの名前「risa 、yasuko 、saori 、noriko 、midori」がラベルしてあった。表紙絵の遊び心に座布団一枚。

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