本棚 : 「西太后秘録」 ユン・チアン 著 ★★★ 講談社
投稿者: hangontan 投稿日時: 2015-8-18 6:06:49 (389 ヒット)

ユン・チアン、三冊目。

歴史の真相はその渦中またはその直後よりしばし時間を置いた方がほうがより明らかになるようだ。あたりまえか。

「ワイルド・スワン」「マオ」では目からうろこの話ばかり。自分の知らなかった中国を描いていてとても面白かった。だが、この作品は期待外れに終わったようだ。題名にあるようにこれまでは表になっていない裏話を中心に構成されている。訳し方のせいもあるのかもしれないが、なんか学術書を読んでいるかのような硬いイメージ。裏話とくれば興味津津のはずなのだが、ふーん、そうなのか、だからどうした、で終わってしまう。前二作は作者自身にまつわる話を盛り込んでおり、迫力と説得力があったが、この作品ではそれが感じられなかった。膨大な資料から抽出した秘録のわりには上滑りの感が否めない。

浅田次郎の「蒼穹の昴」「珍妃の井戸」をもう一度読んでみたい気になった。

印刷用ページ このニュースを友達に送る