山旅 : 晴れなのにずぶ濡れの大熊山 2016/9/10
投稿者: hangontan 投稿日時: 2016-9-16 13:38:04 (496 ヒット)

























家を出て、車で馬場島方面へと向かい始めたとき、山々は厚い雲で覆われていたが、伊折を過ぎたあたりから雲が上がってきて、小又川の林道に車を止めたときには、すっかり晴れ上がった上天気となっていた。

帰り、林道まであと100メートルくらいというところで木の根っこに乗って滑べり、両足揃えたまま仰向けにすっ転んでしまった。幸いザックが緩衝材になってくれたおかげで後頭部をぶたなくてよかったが、衝撃で頭が後ろにもっていかれ、鞭打ちのようなかっこうになってしまった。両足揃えたまま滑るというのもどうかと思うのだが、仰向けにバタンと勢いよく滑るというのも我ながらあきれてしまった。ふつう尻から落ちるか手をつくかするだろう。中高年の山の事故というものは案外こうして起きるものなのかもしれない。若いころには考えられないところで、滑ったり、転んだり、転び方が変だったり。反射神経も確実に鈍っている。一般道であってもヘルメット着用ということを本気で考えてしまう。

この時期の登山は朝露で濡れた夏草や笹が一番やっかいだ。空はよく晴れていても、その露のおかげで着ているものはたちまち濡れてしまう。登山靴の中も同様。あらかじめ濡れることを想定している沢登りと違って、濡れて泥んこになりながらの山歩きはあまり楽しいものではない。特に大熊山の登山道は主稜線に出てからの道幅が狭く、背丈ほどの水気を含んだ笹が覆いかぶさってきて悲惨きわまりない。全身びしょ濡れになってしばらく歩いていたが、いくら行けども状況は変わらない。たまらず、ズボンとシャツを脱いで、カッパに着替えることにした。だが、そのカッパもこすれるようにして襲ってくる笹にたちまち防水性を失って、まるで雨の中を歩いているかのようだ。

その苦行は山頂直前のちょっとだけ開けた湿地帯まで続く。そこに出た瞬間、それまで藪で覆われていた視界が開け、周辺の山々が目に飛び込んでくる。ここで笑わない者はいないだろう。山頂では濡れた衣類を乾かしながら、晩夏とも初秋ともつかない山の世界に浸り込んだ。

いつだったか赤谷山に向かったときも朝露でびしょびしょになったことを思い出した。この時期濡れることを前提にした足回りや行動着がよいかもしれない。ヘルメットも用意しよう。

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