投稿者: hangontan 投稿日時: 2022-8-3 11:18:37 (71 ヒット)

ウンベルト・エーコの「バウドリーノ」つながりから手に取った。
「ローマ人の物語」でもそうだったが、作者はまるで見てきたように歴史を語っていく。歴史探求と好奇心の追及はたいしたものだ。これまで抱いていた「十字軍」への認識を大幅に書き換えてくれた。学校では「十字軍遠征」についてはほんの二、三行で終わってしまい、歴史年表でそれを確認するくらい。大人になってから、こういった書籍で勉強するのもよいものだと思った。学生時代、私はいったい何をやっていたのだろう。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2022-7-14 9:24:28 (63 ヒット)

著者はスコットランド出身。グラスゴーで過ごした貧困の少年時代をモチーフとして物語を膨らませ作品に仕上げたという。
完成までに30年を要し、出版に際しては30社以上から断わられたという。それが英語圏で100万部突破の話題作となったというから、出版を拒否した出版社はどんな基準でこの作品を捉えていたのか、そこが一番興味ある点。
邦訳の良さもあるのだろうが、主人公を取り巻く社会的背景と、登場人物の内面描写はすなおに読み手に伝わってくる。哀しくて、重い内容だが、どん底に生きる主人公らの矜持が随所に描かれていて、テーマとは裏腹の心地よい読後感をともなって、本作品への好印象につながった。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2022-7-14 9:23:29 (77 ヒット)

ウンベルト・エーコ、二作品目。前回手にした「薔薇の名前」よりかははるかに読みやすい。十字軍の史実半分、ファンタジー半分、そしてちょっとしたミステリーの味付け。「薔薇の名前」同様、キリスト教とその文化史が素地にあるとさらにおもしろく読めたと思う。これを機に十字軍の物語を紐解いてみようという気にさせられた。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2022-7-14 6:05:28 (63 ヒット)

























連日40度を超える酷暑の中出かけた。
群馬に仕事に来ていてなかなか山に行く機会がないまま30数年。ようやく仕事にも空きが出てきて、山に向かう環境は整ってきた。しかし、近辺の山にはヤマビルの脅威があり、夏場は腰が引ける。そこで、ちょっと遠いが、思い切って以前から気になっていたレンゲツツジで有名な湯ノ丸方面に行ってみることにした。
浅間サンラインから湯ノ丸高原1800mまで一気に車で上がれるのは感動もの。気温も一気に下がり、清々しさを感じる。山頂までは、車止めから1時間30分くらい。牧場のレンゲツツジの群落を抜け、振り向くと、どーんと富士山が望め、また感動。山頂までの登りも緩やかで、体へのの負担も軽い。
山頂からの眺めも超一品。またまた大感動。富士山、八ヶ岳はもちろん、遠く北アルプスも望める。もしかしたら、剱かと思える山並みも垣間見えたが雲に隠れてしまい、自信が無い。
360度の絶景と山稜を吹き抜ける涼風に心も体もリセットされた。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2022-6-19 15:52:53 (263 ヒット)







先日撮った称名滝の遠景をもう一度と思って出かけた。
だがしかし、先日と同じ時間にもかかわらず、出てきた絵には雲泥の差があり、がっかりした。その日の気候条件、雲の在るなし、日の照り方によって被写体条件も異なることを改めて感じた次第。
ついでに、大日平まで足を運ぶことにした。登山道脇の草は茂っており、早夏模様。ヤブの中に垣間見えるウドも背が高い。しかし、牛首まで来て、雑穀谷を見下ろすと、まだ雪渓がたっぷり。大日平へと向かう途中の左のくぼ地にも雪がべったりと付いている。
木道脇のコシアブラの木は細っているものが目立つ。十数年前までは、今の時期は採り放題だったと思うが、今は木を選ばなければならない状態。「猫も杓子もコシアブラ」の弊害がここにも及んでいる。癒してくれたのは、シラネアオイ、ミツバオウレン、ヒメイチゲ、イワカガミ達で、ツバメオモトにはちょっと早かったようだ。

駐車場起点 ラムサール条約プレートまで2時間


投稿者: hangontan 投稿日時: 2022-6-19 15:26:49 (61 ヒット)

極上の娯楽作品に出会うことも本読みの醍醐味、この作品にはそんな言葉が当てはまる。冒頭、漫画風の乗りでぐいぐいと引き込まれていく。次第に風刺のきいたテーマが入り込んできて、一時の浅田次郎を彷彿させる物語展開。「悪もん対いいもん」の単純な構造かと思いきや、複雑なスパイ戦と情報戦を呈してくる。天使役の「マリア」も登場するが、浅田次郎プラスアルファとしてはやや類型的な展開となったのはちょっと残念。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2022-6-19 15:26:12 (88 ヒット)

著者の作品六作目にして、ようやくアイスランドの地名、人の名前、捜査官である主人公のバックグラウンドに違和感なく溶け込めるようになってきた。それも理由の一つなのか、物語にすーっと入っていける。これまでの作品を通して主人公を含めたアイスランドの社会背景はおぼろげな印象であったが、それでもサスペンスとして読むには十分な作品であった。ここにきて、バックグランドが自分の中で明瞭になってくると、より作品群への親しみも増してきた感がある。アイスランドという未知な世界の物語だが、自分の中のアイスランド像を膨らませてくれた一連の作品となった。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2022-6-10 16:40:14 (103 ヒット)















去年みつけたあの場所へ。久しぶりのバリエーションは楽しいが、4年前の事故がトラウマとなって、慎重になりすぎる感がある。時期的に雪渓が割れ始めており、処理に手間がかかる。藪漕ぎも3回。なんとかやりすごして現場着。眼前にはニンニクの畑が広がる、歓喜の涙。。。アイゼン、ピッケルで這い上がるが、高いところは独りだと危急時対応ができないので、放置してきた。来年は総採りだ。アサギマダラにも出会えたし、人生まんざらでもないな、と思った一日。

しかし、帰路、最期の難所を乗り切って、安全圏に達した直後から急に足が重くなってきた。下りでも息が切れる。こうなると発作性心房細動の予兆。脈をとると案の定乱れている。しばらくは深呼吸しながらカタツムリのように歩いていみるが、どうにも体が重い。血液の流れが滞り、酸素が各器官に回ってないのだろう。サンリズムを飲んでみる。シベノールよりは切れ味がよいとのことで、最近は発作時にはこれを試している。家にいるときなら、30分程度で回復するのだが、今回は行動を止めないので、体は重いまま、ずるずるとまで車止めまで歩くことになった。家に着いてもしばらく脈が乱れていたが、ギョウジャニンニクの始末をしているうちに(2時間くらい)、いつの間にか収まっていった。

心房細動への対処法を改めて考えさせられた日でもあった。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2022-6-6 15:44:12 (73 ヒット)

明治維新の動乱を勝海舟の視点から描いた作品。
小説的な内容を期待して手に取ったが、どうも当てが外れたようだ。文献からの引用、訳が多く使われており、論文的な意味合いが強い。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2022-6-6 15:43:11 (78 ヒット)

日本史の中では、いわゆる戦国時代が群雄割拠した三国志的な印象があった。しかし、江戸時代末期から明治維新にかけては、それに優るとも劣らない三国志があったといっても過言ではない。まず、テンポが格段に速い。今日明日の動き、決断が未来の日本を決める。その時間軸上にそれぞれの藩と勇士が落としどころを求めて蠢いている。そしてそれは怒涛の勢いとなって見事に新時代の幕開けへと収斂されていく。しかも、戦国時代には無かったものすごい外圧がかかっている。もはや死に体となっていた幕府だが、それに対して着実に手を打っており、これもまた新時代への一つの流れとなっていった。
本書はその中でも、主に鍋島藩の動きに軸を置いて描かれている。また、作者が歴史学者ではなく、かつて日本登山界の重鎮であり、あの山学同志会を率いていた第一級の登山家であることにも興味がもたれる。幕末から明治維新の概要について知るにはうってつけの書だと思う。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2022-6-1 18:11:20 (108 ヒット)



















先日撮ってきた画角に不満があったので、望遠レンズを持って再びダケカンバを撮りに行ってきた。山頂からの絶景を狙わない限りこのレンズでいけるのでのではとの感触を得た。ただ、朝6時ごろの出だと、撮影時間帯がどうしても天中に差し掛かる頃となるので、それを克服すれば、もっとよい絵になるのではと思った。
ミネザクラが咲いていて心和ませてくれた。今まで全然気づかなかった。

1950までゆっくり4時間。雪は1700手前からで、1820の乗越をすぎてからべったり。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2022-5-25 16:52:42 (117 ヒット)



山のアスパラを探して白萩川、立山川を散策。
白萩川、立山川共例年より残雪多し。立山川は導水管へと右に曲がる分岐から雪渓が始まる。アスパラは無かったが、アカコゴミ、ウドブキはそれなりにあった。
帰り、折戸でタケノコとシイタケを頂いた。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2022-5-25 16:46:35 (93 ヒット)

















快晴、1600から雪を拾うが、ときどき夏道に出る。1700過ぎて雪の上。

1850まで3時間30分


投稿者: hangontan 投稿日時: 2022-4-26 18:47:18 (74 ヒット)

こんな事実は初めて知った。長州藩が下関を通る外国船を砲台でぶっ放していたこと、そしてその反撃に連合艦隊(フランス、イギリス、アメリカ、オランダ)が結成され、長州藩と一戦を交えたこと。連合艦隊と戦うための武力を長州藩が備えていたことの驚き。時代は待ってくれないというが、時代を見越した長州藩の先駆的行動は恐れを知らぬというか、いやはや大したもんだ。これがまた倒幕、維新への礎となっていくのだから、激動の時代というのはただ一つの事象が引き金になるのではなく、様々なものが必然的有機的に働いてうごめいていたことの証左であろう。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2022-4-26 18:46:08 (75 ヒット)

学校の授業ではただ五、六行で終わっていたように思うし、またそれだけの知識しかなかった。だが、こうしてそれだけをクローズアップしてみると、江戸幕府末期の「もがき」の一面であった感が募った。主として張本人である井伊直弼とその腹心長野主善の視点から語られている。脇役も多数登場するが、次はその脇役を主人公として描かれた本を読んでみたい。歴史にはいろんな角度から読み解く面白さがある。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2022-4-26 18:45:37 (66 ヒット)

幕末から維新にかけてのトリビアを会津藩中心に描いた本。敷居も高くなく、激動の幕末をさらっと見渡すことができる。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2022-4-26 17:52:41 (82 ヒット)

かなりの長編。半分程まで読み進めて、返却期限が来たので一旦図書館に返却した、その再読。今回は一気に読み込んだ。ソ連崩壊前後の青春群像。ネット上では評価が高いものばかりだが、私にはどうにもなじめなかった。物語としては中盤あたりで一つの幕が降りている。それだけならまだ★三つだったかもしれないが、後半に入ると、前半の物語をカバーするというか隙間を埋める挿話が散りばめられていて、それが、時系列でもなく、かつ場当たり的散漫的に描かれているものだから、頭の中で整理することに気がいってしまい、物語全体を追って楽しむことが出来なかった。それにもう一つ、これが当時としてはごく普通の青春群像だったのか、それもひっかかった。もしそうだとしたら、ソ連時代、人々はとても人道的とは言えない生活を強いられていたことになる。はたして実態はどうだったのか、気になるところではある。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2022-4-26 17:51:33 (76 ヒット)

登山遠征隊の記録・報告書としては極めてよくできている。登山が大成功裏に終わったこともあるのだろうが、この種の報告書として群を抜いている。
圧巻は冒頭から始まる総ページの三分の一以上を占める写真群。K2ベースキャンプまでのキャラバンの模様や、現地住民との交流、ルート工作、頂上アタック、そして見たこともないような高山の花々、それらすべてが上質で、それだけ見ていても遠征気分を満たしてくれる。もちろんK2の雄姿はほれぼれするくらいのカッコよさ。これに匹敵する山はまず見当たらない。高さこそエベレストに及ばないが、その存在感はそれを凌ぐものがある。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2022-3-29 18:36:46 (96 ヒット)

朝刊に連載されていたということなのだが、はたして評判はどうだったんだろう。ネット上では高評価のものが多いが、私はそうは思わない。「芥川賞作家」中村文則はどこにいってしまったんだろう。何がこうも見苦しい内容の作品を彼に書かせているのだろう。そう思わずにはいられない。高評価を与えている人たちの気持ちもわからない。私の方が異端なのだろうか。
ただ、見どころがないわけではない。それはポーカー賭博の場面。はらはらドキドキする心理戦を見事に描き出している。この路線でずーっと通していたなら、もっとましな作品になっていたと思う。新聞連載という枠がそれを許さなかったのだろうか。次回作に期待。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2022-3-29 18:36:09 (97 ヒット)

副題に「会津藩士・秋月悌次郎」とある。
以前からちょっと気になっていた「会津」。確固たるイメージがあるわけでなく、自分の中ではもやもやとしたものがいつもくすぶっている、そんな「会津」を知るうえでの端緒になればと思って手に取った一冊。

幕末から明治への移行期を主題とした小説はそれこそ山ほどあるが、この作品は一人の会津藩士の視点からそれを捉えている。秋月悌次郎は昌平坂学問所に進み、当時日本一の文士と言われたほどの逸材。そんな彼が会津藩主松平容保の信を得て維新期の会津藩の下支えとなり、戊辰戦争、会津戦争を乗り切っていく。読んでいて、まるで講談を聴いているかのような心地よさに浸る。まさに秋月悌次郎こそが維新の立役者だ。悌次郎無くして維新は語れない。そんな作品に仕上がった。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2022-3-29 18:35:27 (95 ヒット)

短編集。文字通り女性がウソをつく場面をいくつか載せている。
短編集としてはよく纏まっている方だと思うが、「ウソ」が最初からわかってしまっているというのは推理小説好きの私には、いまいちという感がぬぐい切れなかった。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2022-3-29 18:34:52 (82 ヒット)

実在したポーランドで生まれイスラエルに移り住んだユダヤ人のカトリック神父をモデルとした作品。イスラエルにはユダヤ教、ロシア正教、キリスト教、イスラム教が混在しているらしい。「イスラエルのユダヤ人カトリック神父」にはいささかビックリ。イスラエルはユダヤ人の国で、当然彼らの生活基盤はユダヤ教にあるとばかり思っていたからだ。中東、東欧には世紀が始まる以前から現在に至るまで流浪の生活を強いられてきた人々は少なくない。そんな人たちの一面を切り取り、宗教や人種、国家を超えた普遍のものを、うまく表現できないのがもどかしい、主人公とその関わりのある人々との交流を通して描こうとしている。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2022-3-29 18:34:04 (74 ヒット)

一月に入ってから、同じ著者の「緑の天幕」を読んでいたが、図書館の返却期限内で読み切れなくて、一旦返すことにした。おもしろいのか、どうなんだか、よくわからない本だった。長編ではよくあるパターン、じっくり読んで味がでてくる、そんな気がして、もう一度読み直すことにした。この際、作者の作品をいくつか読んでみようと思って、手に取ったのがこの作品。
フランスで最も権威のある文学賞の一つである「メディシス賞」をとったとのことだが、自分的にはなんともピンとこない小説であった。ソ連時代の世相は、女性の視点からの、なんとなく伝わってくる。しかし、主人公の女性の数奇な一生を描いたわりには、抑揚が無いというか、淡々と描かれ過ぎていて、物語としての醍醐味に欠ける。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2022-1-18 18:54:03 (103 ヒット)

最近気になっているK2。
以前読んだ、日本初のK2女性サミッター、小松由佳の著書ではK2登頂の部分はさらっと触れられているだけで、その遠征隊のことがとても気になっていた。当然、大成功に終わった遠征記録は出されているだろうと、探し当てたのがこの一冊。今の時代、キーワードを打ち込めば簡単に検索できる。遠征隊の公式記録集は別に出版されているが、本著はK2遠征を振り返って、隊長が記した随筆みたいようなもの。
2006年、東海大学山岳部は創部50年の節目としてK2に登山隊を送った。そのとき、日本人初の女性サミッターとなった小松由佳は23歳、そして世界最年少登頂者となった青木達哉は22歳。決してヒマラヤ経験が豊富でない二人の登頂は大快挙と言える。本書では、その登山隊結成から登頂に至るまでの、文字通り「苦難の道程」が隊長の個人的目線で描かれている。文章使いは本家ノンフィクション作家には及ばないが、その時々での隊長としての思いが十二分に伝わってくる。二人がアタックに出てから登頂、そしてベースキャンプに戻るまでの克明な描写は、そのときの著者の鼓動が伝わって来そうなほど胸を打たれた場面であった。

著作権の関係からなのか、絵図や写真が一つもないのが残念であった。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2022-1-17 11:55:39 (112 ヒット)

同行者 KとT。
このルート、2018年の3月から4年目、通算3度目になる。それまで、単独であったが、今回初めてのグループ登山。

年末寒波による大雪は、正月以降寒気が緩んで、雨の日もあったりしてかなり積雪が減った。だが、寒波第2弾、昨日までの大雪で再び山は冬本来の姿に戻っている。車止めでの積雪は1メートルくらい。
足回りは、私はスノーシュー・ライトニング・アッセント(改)、TはTSLのスノーシュー、Kはアルミワカン、と三者三様。Tはストックなしでもガンガン行く、私はスノーシューによる浮力を借りてわりと楽、二番目はかなり楽になる。Kのアルミワカンはさすがに潜る。かなり難渋しているが、持ち前の馬力とテクニックでこなしていく。

深雪のおかげで笠尻から鞍部に降りる斜面はヤブが隠れてしまっていて、助かった。以降ヤブらしいヤブは出てこない。ラッセルを交代しながら進む。二重山稜になる平坦部からはルート取が難しい。地図をみれば一目稜線なのだが、今回は本来なら登らずに済む右手の尾根に向かってしまって一苦労。大汗いて700のピークに立つ。

剱を真正面に据えるそこからの眺めもすばらしいのだが、目指す千石城山がかなり遠くに感じる。ここで、昼食がてら一本取っていたら、眼下を行く単独行者が目にとまった。さらに、我々のトレースを追ってきた若者がひょいと現れた。彼はすぐに下って行き、先の単独行者の後を追って行ってた。

これで二人分のトレースが出来たわけで、それなら以降の工程も楽になるに違いないと思い、我々も先を目指すことにした。案の定、一旦下ってトレースを拾ってみると、楽ちん楽ちん。それまでのラッセル地獄がウソのように足が軽い。

そして、何の苦労もなくあっという間に目的地に到着。山頂はダム側から登ってきた人たちで賑わっていた。万感の眺望を楽しんで、下山にかかる。単独のときは往路を引き返していたのだが、今回はKの勧めもあって、少し下った地点から早月側に降りることにした。問題は、先行者のトレースがあるかどうかだったが、だいたい予想を付けていた地点からの下りのトレースがあった。灌木にはマーキングも見える。ルートは導水管に沿って一直線に降りていく。導水管を過ぎ急斜面が終る頃にはトレースは作業林道と思しき痕跡に向かう。以降、杉の植林帯を抜けながら早月川左岸に平行に沿った林道を行き、最後は橋のすぐたもとで道路に降り立った。そこから、車止めまで雪の融けたアスファルトを歩いて帰路に就いた。

車止め発8時 700ピーク11時30分 大休止 千石城山13時 中休止 車止め着15時 















投稿者: hangontan 投稿日時: 2022-1-17 11:31:56 (103 ヒット)

「三体」三部作の最終章。
前二作よりもSF度がかなりアップしていて、ついていくのに一苦労。はてな?という場面もしばしば。そこはサクッと読み飛ばして、本筋のみを追っていく。物語は、「スリー・ボディ・プログラム」を片一方に置きながら、宇宙の真理に迫りつつ、人類存続への道程が綴られている。
全体的には、時間軸、空間軸とも前2作品を遥かにしのぐ壮大なスケールで描かれる抒情詩。そこで描かれるアイデア手法には度肝を抜かれるという言葉がぴったし。いずれにせよ、全世界を席巻した中国発SFをようやく読み終えて、自分的にはほっとしたというか、肩の荷がおりたという感じ。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2022-1-17 11:31:20 (93 ヒット)

懸賞金稼ぎの探偵コルター・ショウの第二弾、今回の主題はカルト。
題名から「山の本」と思って手に取ってみたが、実際はそうでもなくて、ちょっとがっかり。いくら山ブームとはいえ、日本語タイトルの付け方にはもう少し配慮して欲しい。
軽めの仕掛けがポツポツ出てくるのは、初めてジェフリー・ディーヴァーの作品を手にする人へのサービスなのかもしれないが、どうだろう?と思う場面もある。ただ、前作品でちょっとだけ触れられていたショウの本当の敵に関する伏線も散りばめられていて、次回以降の成り行きが気になるところ。これでは、どうしても次の作品を読まねばならないだろう。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2021-12-25 19:04:55 (85 ヒット)

副題として「5人の女性サミッターの生と死」とある。
文字通りK2に登頂した5人の女性を追ったノンフィクション。5人は登頂後に亡くなったものもいれば、その後、他の山で帰らなくなった人もいる。8000メートルを超える高所での過酷で壮絶な登攀場面やビバーク場面での死と直面した描写は秀逸。そこでは「生」が描かれている。そして、その「生」のちょっとした先にある「死」、それは山という特殊な条件下だけにあるわけではないが、山においては「非情」という言葉が必ず付いてまわる。これが通常の死と過酷な山での死との違いだろう。後に「ブラックサマー」あるいは「嵐の夏」と呼ばれることとなった1986年のK2、以前読んだ「K2 嵐の夏」の中で登場したジュリー・トィリスもそこでの犠牲者の一人。「K2 嵐の山」の中ではパートナーのクルト・ディームベルガーとの山行を中心に描かれているが、本書ではジュリー・トィリス個人についても幼少期の頃から追っていて興味深かった。他の4人も同様、なぜK2を目指したのか、なぜK2でなければならなかったのか。彼女らの山での死の非情さが切々と描かれている。
ただ、ひっかかった点が一つ。それは山に対する著者の先入観。冒頭からそれは出てくるのだが、「山においては、女性は男性から蔑まれている」「チームにあってはお荷物でしかない」と本書に登場する女性クライマーが感じていた、と著者が断じている点。そういう下地のもとに本書が成り立っているのが、ちょっと残念だった。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2021-12-18 11:16:47 (88 ヒット)

30年ほど前になる。いわゆる「満州帰り」という方の話をいくどか聞いたことがあった。その内容はおしなべて、「とても良い暮らしだった」「お手伝いさんもいて、贅沢三昧、よい時代だった」「ところが、戦争に負けた途端にお手伝いさんを含め満州人の様子が手のひらを反すようにがらりと変わった」「命かながら、引き上げ船に乗って帰国した」「裸一貫から、がむしゃらに働いて人並みの暮らしができるようになった。それは大変だった」、というもの。
以来、満州では日本人はみな良い暮らしをしていて、終戦を境にその生活が激変した、という漠然とした印象が私の中にはあった。

しかし、本作品を通して、その曖昧な私の概念はがらがらと崩れ落ちた。実際は、そんな良い暮らしばかりだったわけではなかった、開拓団として入植してきた人々然り。もともと満州に対する歴史的認識に乏しかったので(ほぼゼロに近い)、ここで語られることはまるで歴史の講義を受けているかのような感があった。

満州という国は単に満州一国で完結する話ではなく、ドイツ、ソ連、イギリス、フランス、イタリア、そしてアメリカ、もちろん日本も含めて、当時の各国の時代背景と密接に結びついている。本書はそういう満州国の歩みを小説という形で知らしめてくれている。

学校で習うのは、史実上の点だ。こういうことがあたった、満州事変とは、盧溝橋事件とは、蒋介石がどうした、ナチスドイツは、ムッソリーニは、ポツダム宣言とは・・・。作者もあとがきで記しているが、歴史は点と点が線になり、それが面へと発展し、しまいには空間となる(戦争の形態を模して)。いわば、いくつもの事象が有機的に結びついて歴史を形成していく。それは当然今にも通ずることなのではあるが、満州はそれがとても密に、凝縮された時代だったといえるのではないか。そして、悲惨な末路に至った我が国の大戦への認識もまた新たなものとなった。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2021-12-17 8:16:30 (91 ヒット)

























補修したスノーシューの具合を確かめに中山へと向かった。結果はあえなく撃沈。
取り付きはくるぶしぐらいの雪なので出る幕はなかった。1000mくらいから装着。靴へのフィット具合いは申し分ない。山頂手前距離にして100mぐらいのところで、まだ使えると思って交換していなかった旧のストラップが劣化破損。ツボ足でも行けなくもないが、1時30分を過ぎており、時間も時間なので、そこから引返すことにした。まだ雪が少なく、粉雪状態のなので、ガツガツ、岩や木の根に当たる。下りだと、靴をホールドした部分が前に行こうとし、スノーシュー本体はそこに留まろうとする。そのときのせん断応力にカシメ部分が耐えられなくて破損し可動底板からはがれてしまったと考えられる。やっぱり可動底板とシートの連結にはリベットがよいのかな、と思った。

ゲート出10時 中山取付き11時40分 行動打ち切り13時30分


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