投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-8-14 5:57:47 (426 ヒット)

T・ジェファーソン・パーカー著 ★★★★★ 早川書房

前に読んだ『サイレント・ジョー』も面白かったが、本書も期待に違わず楽しませてくれた。想像というか、自分の思い描くアメリカ、1960年代のアメリカ、の物語。それは、いろいろなメディア、映画、本などによって蓄積、醸造されていった自分の中のアメリカだ。
頭部を切断された女性の事件を追いながら、主役となる兄弟の成長とその人間関係が横軸として描かれている。ベトナム戦争、刑事、新聞記者、ロック、宗教、セックス、政治、を題材として1960年代のアメリカを切り取っている。事の顛末は、終盤に登場人物の一人が発する一言、「なんてこった」に象徴される。自分も読みながらそう呟いてしまった。物悲しい結末、えも言えない余韻が残る。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-8-11 6:52:46 (464 ヒット)

幸田 真音 著 ★★ 中央公論新社

この手の小説をなんというのだろうか。しいて言うなら軽いタッチのテレビドラマ風。広告業界を題材としているが、恋愛ものなのか、社会派小説なのか、中途半端。いかんせん、薄っぺらな文章で、内容も予定調和的な印象が否めない。本は手にとってみないとわからない。この世界は玉石混合といったところか。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-6-24 18:43:06 (389 ヒット)

トム・クランシー 著 ★★★ 新潮文庫

ジャック・ライアンシリーズ。前作までは版権が文藝春秋であったが、本作品から新潮社に移っている。

「恐怖の総和」でアメリカへのテロを描いて見せたときはそのリアルさと臨場感に圧倒された。それは中東、欧米のテロリストとの戦いであった。我々からは遠い存在であるだけに、余計にそのまま自分に入り込んできた。しかし、今回は日本とアメリカの戦い。バカな日本人実業家が画策した夢物語の発端は証券市場の麻痺。アメリカは深刻な打撃とショックを受けたかのようにみえたのだが、ここに切れのいい愛国者が登場しライアンとともになんなく解決してしまう。軍事面でも自衛隊の優秀さは少しだけ披露されているが、所詮アメリカの敵ではない。やはりアメリカは強いのだ。誰にも負けはしない。クランシーはそう言っているように見える。
読みものとしては面白いのだが、日本人の愚かさが単純すぎてあっけなく負けてしまうのがどうにも気になった。日本人以外の、特に欧米の人々が読んだら痛快なのだろう。あれよ、あれよという間に日本は窮地に追い込まれていく。そして、唯一の頼みの綱の核ミサイルも破壊され、一件落着。誰もがそう思ったであろう。しかし、最後に悲惨な結末が待っていた。そのときそれが物語りに止まらず現実のものとなって、全世界の人々がテレビでその場面を見ることになろうとは誰が想像できたであろうか。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-6-23 19:28:26 (438 ヒット)

ジェフリー・ ディーヴァー 著 ★★★ 文藝春秋

「石の猿」を読み終えてから、やはりシリーズ第一作から読みたいと思っていた。リンカーン・ライムの四肢麻痺については、これで納得がいった。事件の捜査中の事故で、一命をとりとめたものの、なんとか自由になるのは左手の薬指と顔だけという非常に重度な障害を負ってしまった。ライムはまるで死に体の自分に対して、生きている証を見つけられず、そんな自分には死は当然の権利だと考えてしまう。幾人ものセラピストとの触れ合いからも、その意志は変わらなかった。しかし、彼に未来への希望を抱かせたのはたった一人の女性、アメリアサックス捜査官だった。愛にも勝る妙薬はないのか、とあらためて感じ入ったしだい。
さて、物語ではライムの緻密な捜査手法が次々に披露される。犯人暴きも楽しみだが、これまでにはなかった「証拠」の分析には何度もうならされてしまった。ジェットコースター・サスペンスとはダン・ブラウンの十八番かと思っていたが、ジェフリー・ ディーヴァーもその第一人者であった。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-6-13 20:36:16 (436 ヒット)

手嶋龍一 著 ★★ 新潮社

NHK元ワシントン支局長の手嶋氏は特派員としてよくテレビに出ていた。商社など海外勤務となれば、外交のお手伝いから、来訪者の接待、旅行ガイドまで八百万のことをこなさねばならない。それはNHKであっても例外ではないだろう。そうして築かれた人脈こそが彼らにとっての資産となり、会社の財産となる。より精度の高い、的を得た報道はそうした地道な活動から生まれてくる。本書にはそんな筆者の経験がもとになっていると思われる箇所が随所に見受けられる。偽100ドル札に秘められた陰謀と、それを巡って繰り広げられるインテリジェンスの世界。まるで見てきたかのように描かれているのは、さすが報道マンというところ。ただ、話がうまいこと運びすぎるのと、全てにおいて上辺だけというか描写が足りないというか、そのせいか、深く心に入り込んで来ない。話の筋とモチーフは秀逸だと思うのだが、そのへんが気になった。結末にいたっては、なんだこれ?という終り方。本当にもったいない。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-6-13 20:32:51 (452 ヒット)

スティーヴ・オルテン 著 ★ 角川書店

先史時代のサメ「メガロドン」(古生物学的には歯の化石も発見され、実在していたと思われる)が深海に封じ込められ、現在まで生き延びてきたという設定。B級映画を観るような感じで、深みはない。古書店で100円というのもうなずける。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-6-11 5:28:16 (449 ヒット)

宮尾登美子 著 ★★★ 宮尾登美子文学全集 朝日新聞社

「櫂」を読んだら次に読みたくなるのが、やはりこの「春燈」である。
「櫂」では主人公の母親の視点で描かれているが、「春燈」は主人公の目線で書かれている。宮尾登美子は出だしがうまい。さらりと、あれやこれや話題を拾っていきながら、いつの間にか主人公の世界に入っいる。
幼少の頃から、小学校の代用教員となり求婚されるまでが描かれている。ほのぼのとした純真な少女の成長記である。主人公の存在は一服の清涼剤のようなものであり、朝の連続ドラマを彷彿させる。求婚される場面ではなぜか目頭があつくなる。ふむふむと次のページをめくってみたら、そこで終わりだった。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-6-8 6:16:28 (462 ヒット)

トム・クランシー 著 ★★★★★ 文春文庫

ハイテク軍事サスペンス
東西冷戦時代、ソ連の最新原潜「レッドオクトーバー」がアメリカに亡命する。CIAの話や、潜水艦の話、手に汗握る展開。描写力、ストーリーもさることながら、そこに携わる人間を描くのが実にうまい。読みきったときの感動、充実感は最高です。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-6-8 6:15:48 (396 ヒット)

トム・クランシー 著 ★★ 新潮文庫 全四巻

四巻は多いので、二巻にして欲しかった。
「ジャック・ライアン」シリーズはどれもお薦めなのだが、この作品にはやや期待をそがれた感がる。お気に入りの潜水艦乗りやパイロットが出てこないせいもあるし、アクションシーンが少ないこともある。ライアンの活躍はこれまですさまじいものがあり、次などんは展開になるのかと期待して買った人が大半ではないだろうか。作者もその点、ファンの要望にどう応えるか、並大抵の話では満足できないのは十分承知のはずだ。話をライアンの初期の頃に戻したのは苦肉の策ではなかったろうか。私としてはもっと大活劇を期待したかった。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-6-8 6:14:26 (472 ヒット)

スティーヴン・キング 著 上・下 ★★★ 文芸春秋

最初いくつかの話のネタを書き足していった内容だったが、読み進むにつれて加速度的に面白みが増してくる。主人公らはなぞの物体の影響で特殊能力が備わる。と同時に体にも変化が生じ、歯が抜けてしまう。これを読んでから自分の前歯の下の先端が欠けました。なんか怖かったです。

この本は進化論学者グールドの「ワンダフルライフ」から辿り着きました。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-6-8 6:13:48 (431 ヒット)

スティーヴン・キング 著 上・下 ★★★ 文芸春秋

「いいもん」と「ワルもん」のお話。読みながらブックカバーのイラストを何度も何度も見返した。本の内容も期待を裏切らないが、もっとすごいのは、この2枚のイラストで物語のすべてを言い表しているところ。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-6-8 6:13:09 (521 ヒット)

ジョー・R・ランズデール 著 ★★ 早川書房

1958年のアメリカの小さな町が舞台のミステリー。主人公の少年時代の回想という形をとっている。少年たちの交流や、家族の絆があたたかく描かれており、少年文学といってもなんら問題はない。
当時のアメリカの生活様式がよく分かる、すでにドライヴインシアターや冷房クーラーが一般化していたのには驚いた。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-6-8 6:12:27 (428 ヒット)

T・ジェファーソン・パーカー 著 ★★★ ハヤカワ・ノヴェルズ 
アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞受賞

誘拐事件を追っていきながら、主人公を完璧に描き出している。女、金、政治とモチーフはよくある設定だが、登場人物の存在が実にリアルに伝わってくる。最初は淡々とした、散文的な文章にややとまどったが、これが次第に悦に入ってくる。日本語訳なのでなんとも言えないが、おそらく原著もこうした文体で書かれているのだろう。主人公の飾り気のない人物像を表現するのにも一役かっていいる。「サイレント・ジョー」というよりも「セイント・ジョー」といってもいいくらいだ。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-6-8 6:11:32 (570 ヒット)

グレッグ・ベア著 上・下★★★ソニー・マガジンズ
遺伝子ウイルスサスペンス

最初に雪山のシーンが出てくるので山本にしたかったけど、ちょっと無理っぽいのでやめました。ヒト内在性レトロウィルスがなんたらこうたら。進化論がらみとなると興味をそそられます。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-6-7 6:05:04 (433 ヒット)

宮尾登美子 著 ★★ 新潮社

「櫂」から始まる3部作に引き続き、少し間を置いて書かれた続編。満州から文字通り裸一貫で引き上げてきて、やっとのことで辿りついた故郷。そこにとうとうと流れる仁淀川を見て、綾子は生きて帰り着いたことを実感する。そこで一年ぶりにつかる風呂。本来ならえにも言われぬ幸福感に満ち溢れるはずなのだが、綾子には全くそれが感じられなかった。そして、息つく暇も無く、日々の生活に追われていく。
先の作品の回想を散りばめながら、話は進行し、いつの間にか農家に嫁いだ綾子の物語へと移っていく。そしてそれは、母の喜和との通い合い、父岩伍の余生のことどもを交えた話と絡み合い、「櫂」シリーズの幕引きへと向かっていく。出だしと最後の一文が印象に残る作品であった。
ネット上の書評には続編をのぞむ声も聞かれるが、この物語はこれで終わりではないだろうか。喜和と綾子と岩伍の三人があってこその「櫂」だと思う。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-6-7 6:04:07 (336 ヒット)

宮尾登美子 著 ★★★★★ 新潮文庫 第9回太宰治賞(昭和47年)

高知の言葉と富山弁とが似ている様に感じるのは私だけだろうか。前々からそう思っていたのだが、この本でやっぱりとうなずくのであった。
和文というのがあるのなら、宮尾登美子の文章はまさしくそれだ。読んでいてまず心が落ち着く。見たまま、思ったまま素直な気持ちで書いている。始まりの心和むような話からは予想もできない結末。途中で「なんとかしてやってくれ」と願うことしきり。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-6-5 5:04:14 (420 ヒット)

秦建日子 著 ★★★ 河出書房新社

旅先で昼間何気なくテレビを見ていたら、思いの他引き込まれていった推理物のテレビドラマがあった。それが「アンフェア」の再放送だった。それも初回からではなく、途中の2回目だか3回目ぐらいからで、誰が犯人だか本当に見当がつかない。しかも、最終回までは見ることができなかったので、犯人は分からずじまい。筋もしっかりしていて、配役もはまっている。よく出来たサスペンスだ。主人公の篠原涼子の刑事役がまた破天荒かつ魅力的で、新しいヒロインの登場といったところか。しばらくして家に帰り、ネットで調べてみて、今年の春に放映された本放送でもかなりの人気と視聴率を得たらしいことを知った。ちゃんとしたものを作くれば、みんなが共感できる作品に仕上がっていくということの証であろう。
ドラマのエンディングには原作となった本書と著者が流されていて、これはなんとしても読まねばならぬと思った。これまで小説を読んでいて、これがスクリーンに写し出されたらさぞ楽しいだろうなと、思ったことは幾度もあるが、その逆のことはほとんど思い当たらない。しかしなぜか、このドラマに限って、原作を読んでみたいという衝動にかられた。話の結末を知りたい、という気持ちもあって、わくわくして手に取った。ところが、その日の夜「アンフェア」の特別バージョンの放映があった(この偶然の一致はいったい何ののだろうか)。これは見逃せないと思い、眠たいのを我慢して見ることにした。そこでは、前シリーズのフラッシュバックが前振りとしてあって、なんと犯人が分かってしまったではないか。そんな状況の中で、読んだ一冊だった。
驚いたことに、ドラマの中では原作がほぼ忠実に再現されていた。逆に本書を読んでからドラマを見たとしてもさほど違和感は抱かないであろう。と思う。文章は劇のト書きとセリフを思わせる書きぶり。むしろ劇の脚本に近い感じ。著者はシナリオライターなので、こういう書き方が自然体なのかもしれない。読み進むにつれて、ドラマのシーンが頭の中に呼び起こされ、文章から受けるイメージと交錯する。なにか新しい本の世界を味わった感がある。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-6-3 5:46:25 (389 ヒット)

小説 京極夏彦 著 ★★ 講談社 

探偵、榎木津礼二郎が絡む中篇小説三篇。
それぞれ、招き猫、鏡、お面がモチーフとなっている。いつものごとく妙ちくりんなやり方で榎木津が事件を解決していく。彼の子分のような脇役が登場するが、これがまた、見ていてかわいそうなくらいに榎木津に感化、翻弄される。それはそれで面白く、おかしいのだが、冗長にすぎる印象を与えた。京極堂はこういったウイットに富んだ作風も好きなのだが、どちらかと言えばホラータッチの方への期待感が強い。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-6-3 5:45:53 (406 ヒット)

高嶋哲夫 著 ★★ 実業之日本社

大蔵省キャリアになれなかった東京地検特捜部の敏腕検事が、銀行合併の裏工作をあぶりだす。表向きは贈収賄劇の顛末ということになっている。しかし、そのまた影に潜む知られざる真実。そのために一人の財務省官僚が死ぬことになる。果ては日米間の裏取引までにまで及ぶ。話の筋はそう複雑なものでもなく、人間描写に見所がある。NHKの金融物のドラマを見ているような感じ。終盤に来て一気に筆圧が増してくる。贈収賄、殺人がモチーフなのに、読後はすがすがしさが残った。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-6-2 5:48:39 (410 ヒット)

塩野七生 著 ★★★ 新潮社

カエサルはルビコン川を渡ってローマに入る。元老院派に担がれた格好になったポンペイウスとの決着をつけ、その体制を磐石のものとする。しかし、これからという矢先に暗殺される。そして、カエサルの後継者となるオクタビアヌスの登場。ローマ一千年の歴史の中で最も重要な時期とされる紀元前1世紀の様子が詳細に第検第拘に描かれている。時期は共和制から帝政への移行期。カエサルはもちろん、かのブルータス、アントニウス、ポンペイウス、キケロ、クレオパトラ、オクタビアヌスという大物役者が勢ぞろいする。これがおもしろくないわけがない。次から次と繰り広げられる歴史絵巻にわくわくさせられる。様々なパーツによって成り立っている歴史のおもしろさ、その醍醐味がここにある。

著者は本書の中でこう書いている。
「歴史はときに、突如一人の人物の中に自らを凝縮し、世界はその後、この人の指し示した方向に向かうといったことを好むものである。これらの偉大な個人においては、普遍と特殊、留まるものと動くものとが一人の人格に集約されている。彼らは、国家や宗教や文化や社会危機を、体現する存在なのである。危機にあっては、既成のものと新しいものとが交ざり合って一つになり、偉大な個人の内において頂点に達する。これら偉人たちの存在は、世界史の謎である」ブルクハルト『世界史についての諸考察』より

『歴史的必然性が生んだ一人の人格』歴史のおもしろさはこの一言に尽きると思う。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-6-2 5:48:01 (429 ヒット)

塩野七生 著 ★★★ 新潮社

『ルビコン以前』と副題にうたってあるように、ちょうどシーザーがルビコン川を渡ったところで終わっている。まだまだ続く本シリーズであるが、ドラマの一つのクライマックスを迎えている。シーザーは前巻より登場しているが、本書ではまるまる全部シーザーについて書かれている。そして物語は次巻へと引き継がれる。ローマ時代のシーザーとは知らないものがないくらい有名だが、恥ずかしながら小生、彼が何をしたかについてはほとんど覚えが無い。本巻の圧巻は彼が残した『ガリア戦記』だ。それを詳細に辿った本巻だけでも読み応えは十分にあるが、前三巻を読んでいるとその重みが格段に違う。というよりも前三巻はこの巻のために、シーザーの物語のためにあったといっても過言ではない。著者はこれを書きたいがために長々と三巻にわたる前座を書いたとのではないか思ってしまう。元老院制が一つの統治の形として長い間その役を担ってきたが、いたるところでほころびが出始め、その役割はゆらいできていた。そこに現れたのがシーザーで、それは次の時代の幕開けとなる歴史的必然の予感がする。ガリアを制圧しても、元老院と対立することから国賊となってしまったシーザー、次巻ではどうなっていくのか興味津々。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-6-1 6:11:23 (424 ヒット)

浅田次郎 著 ★★★ 毎日新聞社

くすぶり小説。ラスベガスで一発逆転。くすぶり人生とオサラバ。おなじみ、涙と笑いの浅田節が炸裂。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-6-1 6:10:46 (439 ヒット)

浅田次郎 著 ★★★★★ 光文社

ピカレス小説クここにあり。
何回読んでもおもしろい、先がわかっていてもおもしろい。登場人物の個性が並じゃなく、それぞれ光っている。みんないい人ばかり。「せんびき屋」のメロンというのはここで覚えました。「戦場のマリア様」も印象に残りますね、患者さんの「スパゲティ状態」、なるほどとうならせてくれました。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-5-29 5:44:20 (428 ヒット)

フィリップ・カー 著 ★★★ 徳間書店

ウイルス、未来社会、月での生活などなど。おまけに「血」が主題となってSF度はかなり高い。やや難解な未来テクノロジーもでてくるが、深く考えないで読み進む。最後の最後になって話の脈絡が繋がる。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-5-29 5:42:13 (457 ヒット)

トレヴェニアン 著 ★★★ ハヤカワ文庫 上・下

ハードアクション。話的には山とはぜんぜん関係ないのだが、中に出てくるケイビングの描写がリアルで結構長く面白い。登攀と相通ずるものを感じた。あきさせないストーリーにはのめりこんでしまう。とにかくスケールが大きい。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-5-28 5:17:17 (480 ヒット)

トム・クランシー 著  ★★★ 文春文庫

ハイテク軍事サスペンス
この人の本は本当に勉強になる。軍事面の知識はもとより、国と国との駆け引き、人間行動の根源、人としての在り方。おすすめです。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-5-25 6:09:29 (413 ヒット)

ダン・シモンズ 著 ★★★ 早川書房

『ハイペリオン』の後編。前編同様「多人数同時進行」。人物によって文体や表現の仕方を変えている。話はそれらが有機的に結びつき複雑に絡み合って進んでいく。単純明快な人物もいれば、分かりにくい人物もいるが、全体としての雰囲気はなんとなく伝わってくる。前編ではそれらの人物の話が物語自体の伏線となって描かれていた。それが後編でどう収束するのか、それが楽しみだった。だが、謎解きは尻切れトンボに終わったような感がある。どのエピソードも完全に消化しきれていない。謎は残るまま。読む方の相当な力量が試される作品ではないだろうか。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-5-25 6:08:31 (391 ヒット)

ダン・シモンズ 著 ★★★ 早川書房

SF度たっぷりの長編。ネットでの書評は大きく分かれるが、おおむね好評。SF小説特有の専門用語が飛び交う。作者オリジナルの造語をどう邦訳するのか、その辺も見ものである。邦訳者も苦心したのではないだろうか。本書の内容もさることながら、その邦訳者の酒井氏のあとがきも秀でている。最近の小説手法についてこうコメントしている。「アメリカ大衆小説全般の巨大化傾向と、それにともなう造りの変化」「重厚長大なプラットフォームが標準として確立してしまった」その結果「人物や背景の細かい描写、複数プロットの同時進行などに移り変わってきた」「アメリカベストセラー型多人数同時進行」ふむふむと納得。小説どころか「24」や「ロスト」「ヒーローズ」などの人気テレビドラマもこの手法で描かれている。話があっちに飛んだりこっちに飛んだりとするため、読むほうは読む力が試されるし、見る方も話の展開について行けなかったりもする。より複雑化したエンターテイメントの膨大な情報量に人間の脳はよくついていくものだと思う。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-5-12 6:24:30 (397 ヒット)

ジェフリー・ディーヴァー 著 ★★★ 文藝春秋

リンカーン・ライムシリーズからスピンオフしたキネシクス捜査官のキャサリン・ダンスが主人公。彼女の前ではちょっとしたしぐさで、その言動の真贋が見抜かれてしまう。人間ウソ発見器なのだ。彼女の相方になる人はどんな人だろうかと思ってしまう。その敵となるからには相当の悪でなければ勤まらない。今回はそれにふさわしい悪役が登場する。が、その悪行のわりには、なんとなく迫力に欠ける、というか、凄みが感じられない。おバカな悪役というところ。もうすこしまともな敵との対決を期待する。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-5-12 6:24:06 (365 ヒット)

ジェフリー・ディーヴァー 著 ★★ 文藝春秋
期待して読んだわりには、裏切られた感を持たれた方も多いと思う。ネット上での評価もやはり分かれている。アメリアとライムの超洞察力を駆使して、犯人を追い、また追い詰める。だが、あまりにもすいすいと事が運びすぎる。追っているのは真犯人ではないことは明らかだ。このまま終わるはずではないとページをめくり続けて、最後になって明かされた真相にがっかり。トリックがてんこ盛りだが、やや技巧に走りすぎた感が否めない。


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