投稿者: hangontan 投稿日時: 2015-1-6 18:54:33 (523 ヒット)

国立立山青少年自然の家(通称「立少」)の駐車場を出て歩き始めたのは11時過ぎ。気温が高く、雪質はべっとりとして重い。まるで春山のよう。今年の冬は寒気の入り込みが周期的にやってきて、そうでないときは気温も上昇し比較的過ごしやすい。海辺に近い我が家を含め平野部の雪融けも一気に進んだ。

立少からは電車道のようなトレースを辿る。一応ワカンを履いて行くが、無くてもそれほど沈まない。ちょうど1時間で山頂に到着。陽だまりの雪面に座って昼食とする。

いろいろあった昨年だが、それはそれとして、今年の一歩を二人で踏み出した山だった。

登り:1時間 下り:1時間












投稿者: hangontan 投稿日時: 2015-1-3 17:59:18 (639 ヒット)















年末年始の怠惰な生活に自分ながら嫌気がさしてきていた。働きもせず、山にも行かず、かといって他の何かに打ち込むわけでもなく、原因は分かっているが、いかんともしがたい現実は変えようもなく、ただただ時間が過ぎていくだけ。

今日もそんな日になるのだろうかと思いつつ朝目を覚ました。悪天の予報とはうらはらに空は明るい。あわてて準備を整え、家を飛び出した。伊折には越年した登山者の車が4、5台。50センチほどの雪に埋もれている。スノーシューを履いて馬場島に向かうが、すでに先行者のスノーシューのトレースがついている。だが、今日乗り入れた車は自分の以外見当たらない、不思議だ。

馬場島へと向かう道すがら下山してくる登山者とすれ違う。M大学は赤谷尾根に取り付いたが2000で引き返し、今日は馬場島から伊折まで往復し、明日中山あたりを目指すというのだが、この上天気をどう思っていたのだろうか。やや高齢のグループは30日入山で早月小屋までにも達していない。年末から年始にかけて登頂出来たものはいないのではないか、2600までがやっとではなかったか、とのこと。男女二人組は31日トレースを辿って中山登頂、1日再び中山目指したが、夜来からの降雪でまったく歯が立たず敗退してきた、とのこと。あと一組、やや年配の3人グループとすれ違う。

さて、先行者のトレースは馬場島まで行くのかと思いきや、途中から右の植林帯へと向かっていた。場所的には大熊山へと向かうあたり。自分がかつて使った大熊谷東山稜を大きく廻り込んで次の支尾根に取り付く斜面からのエントリーだ。はて、どんな登山者が入っているのか興味がわいてきて、そのトレースを追ってみることにした。

杉林の中のやや締まった雪面を何の躊躇もないルート取り。ルート経験者でなければこれほどのルートはとれないであろう。過去のトラックデータを確認しながら歩いているのか、ほれぼれするようなトレース。傾斜は次第にきつくなり、斜面から尾根上に乗り上げる。ときより膝から上のラッセルも出てきて、二番手を歩いていてもかなりきつい急登もある。先行者の難渋しながらの一人ラッセルが目に浮かぶ。いつかはその後ろ姿を捉えられるだろうと追ってはみたものの、その気配すら感ぜられない。820の尾根に出たところで追跡をあきらめた。

出発に1時間半から2時間の差があったと思われるが、山に取り付いてからも平たん路からも単独行者を視認できなかった。この者はかなり山慣れした健脚者に違いない。はたして彼は大熊山まで達したのだろうか。

歩行時間:4時間(写真撮影をしながら)


投稿者: hangontan 投稿日時: 2014-12-14 18:46:04 (529 ヒット)







今日は久しぶりに仲間達と雪の山。一昨日から今朝にかけて積もった雪は1メートル強。冬山シーズンに入る前に押さえておきたいポイントを確認しあった。ビーコンサーチと掘り出し、弱層テスト、ツエルト搬出、滑落制動など、有意義な一日だった。スキーシールの貼り付け具合が悪かったり、ゾンデ棒が仕舞えなくなったり、軽量スコップの柄が短いのに気付いたり、ビーコンの機能がうまく引き出せない者がいたり、ワカンの結び方がわからない者がいたり、ピッケルにヒモが付いていない者がいたり。参加者それぞれに多くの気付きがあったようだ。

で、自分は。スキーはやらないのでスノーシューで参加。ワカン組よりはるかに楽な登行だが、スキーの威力には到底及ばない。ファットスキーで膝下まで、後を追うスノーシューがそれから30センチ沈む、そこからワカンがさらに20センチ。山スキー恐るべし。足を上げないから股関節や背筋への負担も少ない。もろにワカンでいったら胸までもぐること請け合い。

ビーコンサーチはシーズン初めのこの時期に必ずやっておくべきであろう。滑落制動訓練のとき肋骨の軟骨にヒビでも入ったのか、息を吸うとズキズキ痛む。やわな体やなー。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2014-12-9 18:43:57 (559 ヒット)





先週末に降ったドカ雪。我家周辺でも20センチくらいの積雪。さぞ山は積もっただろうなと思って、今年初のスノーシュー。

馬場島方面も頭によぎったが、まだタイヤを履き換えていないので折戸峠付近の通行が不安。道路状況がましな立山方面に行くことにした。

去年の初スノーシューも美女平だった。ただ、去年とは雪の量がまったく違う。材木坂の登り口ですでに50センチ。登るにつれて雪嵩は増していく。しかも湿った重たい雪にスノーシューの取り回しは難渋する。おまけにゴロゴロ堆積する大きな岩の間は胸まで潜る。そんなこんなで一人ラッセルを楽しんで美女平の一角に出るまで一苦労だった。

静かな美女平のスノーハイクを楽しみに出かけたが、深雪湿雪重雪に入っていく気力はもうなかった。

登り:3時間50分
下り:2時間


投稿者: hangontan 投稿日時: 2014-11-20 17:27:58 (489 ヒット)



のんびりと落ち葉を踏みしめてブナ林のある大品山へ行こうと算段だしていたが、時を逸してしまった。今はすっかり雪の山に変わってしまっていた。山頂付近はくるぶしから脛位までの積雪。雪が融けるまで夏靴もしばらくお休みだ。

登り:2時間 下り:2時間20分(粟巣野P起点)


投稿者: hangontan 投稿日時: 2014-11-11 18:05:16 (633 ヒット)

















いつまで登れるかわからないが、いつしか剱岳は眺める山に変わってしまった。
いつかまた登れる日が来る、その日のために山に入る。

先週降った雪はあとかたもなく消えてしまっていた。初冬というようりは晩秋に近いイメージの山だった。クズバ山は先週登った大熊山より標高にして約250高いのだが、だらだらとした水平移動がない分、大熊山よりはリズミカルに歩けたような気がした。1600を過ぎてからの細尾根は周囲の山々を眺めながらの快適な登行が楽しめる。

登り:2時間半 下り1時間40分(馬場島起点)
一定の調子を保つようにして、山頂までノンストップ。先週下山時に水を一気飲みして持病の不整脈が起きてしまったので、今回は山頂でジュースのパック一つにした。行動中も、下山してからも体調に異変はない。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2014-11-5 17:50:04 (638 ヒット)











昨日キノコ採りに2つの山を登ったが、今日も天気がよいので二日連チャンで山に行くことにした。

1300の肩までの一気登りはなかなか登りごたえがある。だが、ここから山頂までのなだらかな稜線がただただ長い。残雪期であれば周囲の山々を眺めながらの稜線漫歩なのだが、この時期まだまだやぶが眺望のじゃまをする。ときおり、笹が目を突き頬を打つ。1400あたりから雪を拾い、1500を過ぎてようやくあちこちの山々が目に入ってくる。

山頂はくるぶし位までの雪。やっぱりここからの眺めは最高だ。

登り:2時間10分(久々に休憩なしで登ってみた、体調に異変はなかった)
下り:1時間50分(下り1300を過ぎて、水を一気飲みした直後、いつもの発作。下りでよかった。飲まず食わずで行くのが一番のようだ)


投稿者: hangontan 投稿日時: 2014-11-1 17:42:30 (507 ヒット)







この山に名前があるとは知らなかった。
いつも雪が積もってから千石城山に行っているが、その途中に最初に出てくるピーク。電波塔があるので、自分の中では「電波塔のある山」としていた。電波塔があるからには、そこまでに至る巡視路があるとは思っていた。いつかその巡視路を辿って雪のない時期に行ってみたいと思ってはいたのだが、なかなかその機会が巡って来なかった。

今日は、馬場島周辺の山に行くつもりで車を走らせたのだが、その道すがら「笠尻山登山口」の標識が目に入った。これまでなかったような気もするのだが、それとも見落としていたのか、これも何かの縁だと思って、予定を変更してこの山に登ることにした。

登山道というか巡視路は想像していより開けていて、さながら電車道。30分で電波塔のあるピークに達する。植生も豊かでとても雰囲気のよい道だった。ただ、剱岳の展望を望むにはこの時期はまだ適しているとは思われない。やぶ木立が眺望を遮っている。ピークに達しても同じ。剱岳を見るには、やぶをちょっと入って、谷筋近くの斜面まで行く必要がある。

今日はそのやぶを漕いで剱の写真を撮りにかかった。剱にかかる三つの笠雲が印象的。予定を変更してよかった。これだから、山は行ってみなければわからない。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2014-10-18 19:30:52 (534 ヒット)











先週に引き続き雑穀谷の岩場へ。
同行者 N夫妻。

秋晴れの岩場は紅葉も真っ盛りで、とても気持ちのいいクライミングが楽しめた。
ウォーミングアップの後「三十代クラック」と「小川山へ行こう」に挑んだが、双方とも全く歯が立たなかった。山登り維持のためこの岩場に通い続けて20年以上。だが、クライミングは全くうまくならない。

先週あちこちに見られたフウロウソウはすっかり数が少なくなっていた。紅葉も随分進んだが、この時期の一週間は花達にとっても大きな変化があったようだ。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2014-10-10 18:01:49 (615 ヒット)









去年はキノコの大爆発だった富山の山。
今年はいかがかと出かけてみた。

昨年の大発生で一般の人も山菜採りなみにキノコの山に入るようになった。中には朽木の皮ごと剥いで根こそぎ獲っていく輩もいて、山はかなり荒れてる感じがしていた。そんな心配もあったが、人の入らない場所に行ってみると、やはりそこには期待通りのキノコが発生いたのであった。

今年もキノコ三昧の食卓が楽しみだ。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2014-8-14 18:35:25 (561 ヒット)

やってきました、白山の夏。
去年の7月に訪れたときは時期が早く、花たちはまだ準備段階であった。ただ一つ印象に残るのはコバイケイソウの大群落。ソフトクリームのように盛り上がった白い花が真っ青な夏空に映えていた。昨年は数年に一度の当たりであったらしい。頑張れば日帰り可能なお花松原であるが、今回二泊三日の行程を組んで十分な余裕を持って臨んだ。

8/12 富山〜別当出合〜砂防新道〜南竜ケ馬場野営場
    自宅から別当出合まで150キロ、南竜ケ馬場まで4時間

朝5時に自宅出。これまで白山に行くときはいつも前日に麓でテント泊して、翌朝早く出発していた。今年はそうしないで、家を早出して初日に入山することにした。
今日は一ノ瀬からのマイカー規制が解除されていて、別当出合まで車が入る。駐車場はすでに満杯状態、路肩の駐車スペースも一杯であったが、なんとか駐車場の隙間を見つけて入ることができた。

出発準備段階から雨がポツポツ。歩き初めてすぐにザーザー降りとなった。カッパを着こんで傘をさして歩く。別当出合のビジターセンターまではすぐ。そこまでが一番ひどい雨だった。その後、小雨が降ったり止んだり。二泊三日分の生活用具一式と食糧とビールの重さが肩にくい込む。

南竜ケ馬場野営場に着くころはガスが巻いていた。管理棟の階段のところでかみさんが太ももをつってしまってしばらく固まってしまう。三回目、二年ぶりの南竜ケ馬場、いつものようにハクサンフウロが我々を出迎えてくれた。テント場には10張りほどのテント。テントを設営し終えたのが1時半。夕飯まですることもなく、退屈な時間を過ごす。

5時ごろから雲が切れ始め夕焼け空となり、明日の天気に期待が持てはじめて来た。ビールを飲みながら米を炊いて、夕飯の準備。今日のメニューは、寿司飯に錦糸卵ときざみキュウリの混ぜご飯とワカメスープ。梅干しと焼き肉を家に忘れてきてしまったのが悔やまれる。ラジオの天気予報を聞いて、7時に就寝。

8/13 南竜ケ馬場〜トンビ岩〜室堂〜ビルバオ雪渓入り口〜室堂〜展望歩道〜南竜ケ馬場〜砂防新道〜別当出合
    南竜ケ馬場からビルバオ雪渓入り口まで行って再びテン場まで 7時間
    南竜ケ馬場から別当出合まで3時間

雲ひとつない空に月が照っている夜明け前、絶好の登山日和だ。もち入りそばを食べて出発。トンビ岩まで行く途中でかみさんの昨日つった太ももが再び痛みだす。空身でゆっくりとしたペースでも、一旦痛みだすと歩きに支障が出てしまう。室堂で一服している間、かみさんは足に自信がないから私一人で行って来いと云う。うーん、それでは一緒に来た意味がない。こんな上天気、時間もたっぷりある。ゆっくりでもいいから、一緒に行こうとビルバオ雪渓目指して歩きだす。

大汝直下、中宮道への分岐を右に入り、いよいよお花松原目指しビルバオ雪渓へと下りだす。お花松原が俯瞰できるところまで来て、かみさんが足の調子を理由に自分には無理だと云いだす。たとえお花松原まで下りていくことが出来ても、引き返しの登りに自身がない、今でさえ痛みがあるのにまた痙攣が襲ってきたら動けなくなってしまう。それを考えると無理はできない、と云うのだ。仮に足がつっても、ほんとうにゆっくりでいいから登ればいいよと私は返すのだが、かみさんは、つった足を騙し騙し引っぱって登って来れても、ここから室堂、テン場まではとても無理、ここで待っているからあんた一人で行っておいで、と念押し。私はかみさんと一緒に行くことに固守して、一人で行くことなんて眼中にない。去年の7月は日帰りで同じくここまで来て、そのときは、かみさんがばててもう動けそうになかったので、かみさんを一人残して雪渓を下り、お花松原まで行ってきた。だがそこにはお花畑はなかった。雪が解けたばかりの斜面から草花がようやく目覚め始めてきたばかりだったのだ。だが、今年は違う、必ずやあそこには夢のお花畑が広がっているはず。そして神様が恵んでくれたこの上天気。今行かずしていつそのときが巡って来るというのだ。その地で、夢のお花松原のど真ん中で、かみさんと昼食をとりながら至福のひと時を過ごしたかった。それが一心でここまで来たのに。一人で行って来るなんて到底考えられない。私もかみさんと一緒にそこから引き返すことにした。

室堂に向かう道筋は二人とも無言の行進。だが、その沈黙を破るきっかけとなったのは、室堂への迂回路に見られたクロユリの群生だった。どちらともなく声を掛け合いその姿を確認し合う。あっちにも、こっちにもクロユリが今が見ごろと咲き誇っている。そこはクロユリロードと言っても過言ではない。ここがこの咲き具合ならば、本家お花松原はさぞすごいことになっているのだろうな、と思ってみてもせんないことだった。

室堂からは展望歩道を辿ってテン場へと向かう。そこにも思わぬ光景が待っていた。これはすごいわ。赤や紫、ピンクの花々一面のお花畑。その花々の周りにはアサギマダラが舞っている。お花松原には行けなかったけれど、これを見れられただけでも白山に来てよかった。そう思わせるほどの楽園が広がっていた。

お花松原までは行かなかったので12時過ぎにテン場着。一日早く下山することにした。来年こそはきっと「お花松原」という想いを胸に抱いて、テント場を後にする。












































投稿者: hangontan 投稿日時: 2014-8-8 5:52:00 (493 ヒット)

日本列島、南には勢力の強い台風11号、北には低気圧から延びる前線、南東には夏の高気圧。今、日本はこの三つに翻弄されている。東北から北海道と九州四国は局地的記録的な豪雨、関東は猛烈な暑さとゲリラ雨と雷。で、富山の天気と言えば、台風の影響があるようで、前線にかかる雨雲が来ているようで、また、夏の高気圧の縁に沿って南からやって来る風でフェーンにさらされているようで。こんなだから天候が全く読めない。山とならばなおさら読めない。そんなさなか、いつもの大日岳に出かけた。

前の晩に冷蔵庫に冷やしておいたポカリと果物ジュースと桃を保冷バッグに移し替え、歯を磨いてから家を出ようとしたら、テーブルの上の飴ちゃんが目にとまった。これを持っていこうとポケットに入れたが、そのときすでに、保冷バッグのことは忘れてしまっていた。それに気付いたのは、桂台のゲートに着いてから。うまい具合に自販機があったのでスポーツドリンク2本とクーのオレンジを買って、行動水とすることにした。さすがに水なしではおられんだろう。それにしても、最近の忘れ物は酷すぎる。

家から称名までの車中は晴れていたが、登山道に向かう頃にはすでに雲が広がってきた。午前中が勝負だろう。歩き始めて体が重い。今日の調子は5点評価で2とみた。登山道は乾いている。昨夜、うちの周辺は雷交じりの夕立ちで激しい雨となったのだが、ここは降らなかったようだ。

大日平に出てからは、大日岳はすっかり雲で覆われており、登行意欲ゼロ。降りそうで降らない山の天気、そんな言葉がピッタシのお山。それでも、たまには空が明るくなったりして期待を持たせるが、まぁ、あてにならないだろう。

ばてないように、スポーツドリンクをこまめに飲む。木道の脇には派手さはないが可憐な花がちらほらと咲いている。白山のあの山全体のお花畑には到底及ばないが、ここはここで静かな佇まいでよいところだ。

体調がいまいちながらも、なんとか大日小屋まで辿りつき、すぐに山頂へと向かう。北斜面にはまだ少し雪渓が残っている。ここからはチングルマロードだ。ガスの中に白い点々となって斜面一面に浮かび上がっている。山頂もガスの中、展望はまるでなし、剱の方角を見定めてその姿を想像する。パンをかじりながら、寒いくらいの涼風に体をさらして、クールダウン。水場で汲んできた沢水で喉を潤し下山にかかった。

登り 3時間半 下り 3時間20分 
下山して車で帰路に着いた直後、ザーっと雨が降りだした






















投稿者: hangontan 投稿日時: 2014-7-21 17:31:33 (533 ヒット)

「沼沢」という言葉を初めて知ったのはジャック・ヒギンズの「鷲は舞い降りた」の中でだったと記憶する。

2012年に立山弥陀ヶ原と大日平がラムサール条約加盟湿地となった。そのこともあってか、大日平の壊れかけた木道の復旧作業が今年から始まった。先週、大日岳に登ったのは登頂も目的だったが、大日平のトキソウを確かめたくもあったからだ。だが、昨年まで木道脇にチラホラみられたトキソウは今回一つも確認できなかった。

そこで今度は称名川を挟んで対岸の弥陀ヶ原まで足を運んでみた。八郎坂を登り、弘法を過ぎて弥陀ヶ原の一歩手前の通称七曲に差し掛かると、トキソウがあっちこっちで咲いていた。木道の脇にはワレモコウが揺れ、湿地にはワタスゲが乱舞し、ニッコウキスゲがぴんと背を伸ばして自分を主張し、足元にはうす桃色したトキソウが点々と小鳥が羽を広げているような格好で咲いている。

ちょうど今がトキソウの時期。花が咲いていなければ、まずそれとはわからない。
そんな花達を愛でながらの草原歩きはまさしく一服の清涼剤だ。
これだから山歩きはやめられない。

称名駐車場から往復4時間






















投稿者: hangontan 投稿日時: 2014-7-16 9:21:01 (591 ヒット)

梅雨の中休みともいえる今日という一日。今季5度目の大日山塊、今年初登頂の大日岳を楽しんできた。

山頂に立って山稜を吹き抜ける涼やかな風に身を任せていると、その風が体中にしみ込んで来て新しい自分が出来上がったような気分になった。

登り:3時間40分 下り3時間

今日の獲物:途中で見つけたハリギリを帰りに採ろう思っていたら、帰路見過ごしてしまった。










































投稿者: hangontan 投稿日時: 2014-6-25 20:26:24 (535 ヒット)

先週の土曜から日、月と三日間、体が熱っぽく、だるくて、めまいもするし、起きていてもほとんど死に体同然だった。どっかで風邪でももらったのか、あるいは自堕落な毎日のツケが回ってきたのか、なんにしろ体調は最悪の状態。コーヒーもまずいし、酒を呑んでもすすまない。今週末からは旅に出かけなければならないし、どうなることやら、マイナス思考まっしぐら。

朝起きてからも熱っぽさはとれていないが、とりあえず、山に行ってみよう。下界でうだうだ悩んでいても問題は解決しない。今日しか空いている日はないのだから、と思って家を出た。

称名駐車場からのコンクリート道路を歩き始めたとたん、目が回る。登山道に入ってからも吐き気とめまいが襲う。一歩一歩、ゆっくりゆっくり、だるい体を引きずるようにして、牛首までの道を行く。一汗かくと、体はいくらか軽くなったような気分。

この調子ならなんとか小屋までは行きつけそうかなと思いながら、木道を歩いていると、薄黄色のチングルマが目に飛び込んできた。まったく予期していなかっただけに、ハッとさせられた、というか驚かされた。この一瞬にして、自分の中の何かが弾けた。

初夏の風にゆられて歌っているような立ち姿。梅雨空ながらも時々雲間から届く陽射しのもと、木道の脇に次々と現れてくるチングルマは燈明のように大日平へと導いてくれている。それは、同時に自分の明日へと続く木道だ、ひたすら歩き続けるのみ。チングルマが途切れると、もう終わりか、とがっかりさせられるが、再び出てくるとほっとするような安心感。チングルマを追って歩く山道。こんな気分で山を歩いたこと、今までにあっただろうか。こんな目で山の花を見たことがあっただろうか。平時なら「おぅ、咲いていたか」、パチリで終わり。今日という絶不調な日だからこそ感じられる「山」があった。
やっぱり、山は行ってみなければわからない。

大日平小屋まで1時間45分、下り1時間30分
今日の獲物 ウド














投稿者: hangontan 投稿日時: 2014-6-10 18:24:48 (502 ヒット)

初夏といってもまだ小屋付近はたっぷりと雪が残る。そんな小屋まで歩いてきた。

6月に入ってから早々と梅雨入りして、文字通りのうっとうしさというか、晴れ間が出れば暑いし、木陰に入ればまだ涼風が心地よいし、平地では雨が降るようで降らなかったり、かと思うと山だけは厚い雲に覆われていて夕立があったり、じとじとと雨が続くような典型的な梅雨とはちょっと違った今年の梅雨。

そんなふうだから、今日の天気も当てにはならない。午前中が勝負とみて出かけることにした。

起きてから、FBのチェックをして、庭の鉢の水やりをたっぷり30分。おにぎりを作って家を出たのが5時半。馬場島に着いてから持ち物検査、なにしろ最近の忘れ物はひどい。ストックよし、ピッケルよし、アイゼンよし、おにぎりよし、水よし、非常食よし、カッパよし、ピンチ袋よし。今日は完璧だ。

出がけにクズバへ行くという二人組と声を交わして、早月尾根に向かった。
さすがにこの時期になると、春を彩るカタクリ、サンカヨウの季節も終わり、それらは緑一色の周囲の草花と完全に同化している。なんら新鮮に目に映るものもなく、ひたすら足を運び続ける。雲の切れ間から見える周囲の山々の雪もほとんど消え、残るは谷筋の雪渓のみ。緑なす山々に白い筋となって張り付いている残雪は夏の訪れを感じさせる。

あっというまに1200を過ぎ、1400、1600まで。体調は悪くはないようだ。ここで一本とって、再びゆっくりと歩きだす。夏道は整備されていて歩きやすい。いったいどこから雪が出てくるのかなと訝しげに思っていたら、1900を過ぎると急に雪の斜面が現れた。迷わずアイゼン、ピッケルを出して、その残雪を拾って登る。雪はまだ堅雪とはなっていないが、アイゼンの方がつぼ足よりは歩きやすい。

見上げると早月小屋手前のピークがガスで見え隠れする。天気が持つかどうか。雪原の両側にダケカンバの色鮮やかな芽吹きが目に入って来る。青空ならもっときれいに映えるのにと思いながらもカメラを向ける。曇り空のもと、眺めもよくなく、のっぺりとして単調な色合いの残雪歩きにあって、その芽吹は一服の清涼剤のように心にしみいってくる。

小屋に着くころには少し明るくなってきたが、2400から先ははやり雲に覆われている。今回も剱は見送り。早々と下山にかかる。ガスっていれば1900までの雪の斜面も迷いやすい。なんとか視界が効いてよかった。1900の夏道に出て一安心。アイゼンとピッケルを仕舞って、ダブルストックに切り替える。

登山道には砂の流れ止めにと板を設置してあるところがかなりある。そこを跨いだつもりだったのだが、その板の縁に爪先を引っ掛けてしまい、前のめりに勢いよく地面に突っぷした。咄嗟に両手を突いて顔面直撃は避けられた。手のひらを突いたところが石の上だったのでよかった。が、そこに登山道修繕用の針金や木の突起などがあったら、大変なことになっていたかもしれない。ストックを突いていてもこの有様、最近山に来るたびにすっ転んでいるような気がする。今回のように、足を上げたつもりが上がってなかったり、濡れた岩で滑ったり、木の根っこに躓いたり・・・。中高年の登山中の事故というのは案外こんなちょっとしたことから起こるのかもしれない。

馬場島までもう少しというところ、松尾平に入る少し手前から強い雨が降り出し、カッパを出すことになった。その雨も馬場島まで下りてみるとその痕跡すら感じられない。明るく晴れていた。
朝別れたクズバへと向かった二人組の車がまだ止めてあり、クズバの急な下りで雨に遭っていたら大変だろうな、などと思いながら馬場島を後にした。

きょうの獲物:ウドとゼンマイ
小屋までが3時間15分、馬場島までが2時間45分

























投稿者: hangontan 投稿日時: 2014-5-29 19:26:34 (601 ヒット)

朝7時出勤、称名駐車場8時出、大日平山荘10時、2023P11時

ここ二三日の暑さは異常で、まるで梅雨明け後の夏の陽気。
庭の花たちも戸惑い気味。鉢植えの草花は特にダメージが大きい。花たちの様子をみながら水やりを終えてから、一服ついて、それから家を出た。

昨日は黄砂とPM2・5の影響で遠方が霞んで見えたが、今日はすっきりとした青空。大日平までと目標を定めて歩きだした。

牛首に出るまでは一、二か所残雪があるが、ほとんど夏道を行く。牛首から大日平までの間は雪の付き方が中途半端で、トレースがなければルートファインディングが難しい。いっそザクロ谷の支流を辿った方が楽かもしない。しかし、一昨日の天候大荒れの影響と思われる斜面からのブロック雪崩が谷を埋め尽くしていて、そこを行くのはやめにした。

大日平に出たとたん、雪の多さに驚かされる。
それまでの山の表情が一変し、初夏から春に逆戻りした感じ。大日平は一面の雪、木道は雪の下に埋もれている。ド快晴のもと、雪の平を行く。周囲の山々を眺めながらのトレッキングはまさに春山漫歩。気分爽快。いつもなら何気なく視界に入ってくるだけの早乙女岳も先日かみさんと行ってきたばかりなので、愛着もひとしお。

だいたい予定時間通りに大日平山荘わきに到着。水を揚げるためのホースも雪面に敷かれていて、7月早々の小屋開きに向けて着々と準備はすすんでいるようだ。もとより大日岳登頂の予定はなく、ここから引き返してもよかったのだが、山荘裏手というか、中大日岳から下りて来ている稜線の末端にある小ピークに目が留まった。もしかしたら、あそこに登れば剱が見えるかもしれない。そう思ってその尾根に取り付くことにした。

下から見上げいても、雪が切れているのはなんとなく想像がついていたが、一登りすると、やはり雪が切れていた。強烈なネマガリの藪が行く手を阻む。なるべく雪を拾って行こうとするが、結局ピークに立つまで四カ所雪が切れていて、上部に行くに従い藪は薄くなるのだが、そのたびに余分な力を使わせられ、脈が乱れがちになった。

最後の登り。真っ白な雪と真っ青な空との間の雪線を目指す。あの向こう側には剱が・・・。ピークに立って、今季五度目の雄叫び。だがしかし、期待していた剱の眺望は無かった。奥大日の稜線に阻まれて、剱はその陰にあったのだ。

それでもここに登らなければ見られない光景がそこあった。雪に埋まった称名川と、そこに架かる大滝、そして大日平に切れ込むザクロ谷を俯瞰することができた。いつもとは違った角度から眺めるいつもの山々。それらを見られただけでもよしとしよう。それにしてもこのピークから臨む中大日岳までの稜線はなかなか堂々たるものがあった。





























投稿者: hangontan 投稿日時: 2014-5-20 20:25:23 (533 ヒット)

今年から社会人となった息子は今日東京での初出勤。はりきって会社に向かったことだろう。
で、お父さんは・・・こんな天気が良い日はせっせと山登り。

先日の明星で、はからずもというか当然というか、鍛錬不足を露呈してしまった。年をとってくると、毎回毎回、信じられない体調の異変に遭遇する。日々体は衰えていくばかり。山の訓練は山に勝るものなし。ということで、試練と憧れの聖地、剱岳早月尾根に修行に行ってきた。

だがしかし、馬場島に着いて朝飯を食べようとしたら、家を出る前に作ってきたおにぎりがない。この前もザックを忘れてきたことがあったし、今回も手痛い忘れ物。今回はザックを忘れないように前の晩に車の中に入れておいた。体力も衰えていくが、脳みそもボケていく。しかし、こんなときに力を発揮するのが、いつもザックの底に忍ばせてある非常食。今こそそれを使うとき。

松尾平付近は広く刈り開けられていて、明るい雰囲気。いつもどろんこべっちょんになる水たまりにも木の刻んだ切り株が飛び石のように置かれていて歩きやすい。

1200からも夏道は出ているが、いつものように左手の雪渓に降りて1600までつめる。1600からは夏道のところどころに雪が残っている。1700を過ぎると完全な雪面歩きとなる。無風快晴のもと、アイゼンを効かせての春山歩きは最高だ。周囲の山々がくっきりすっきり見える。雪解けもすすんだ山の斜面は残雪がまだら模様となっている。1900までの登りがきつく、長く感じられる。

予定していた時間きっちりに早月小屋着。いつ来てもここは素晴らしい。5月の今の時期が一番好きだ。
過去に登った山々が一望でき、そのときの思い出が走馬灯のように駆け巡る。

さて、待ちに待った下り。これがあるから春山は止められない。腐りかけた雪の斜面の一気下りの快感。1600から1200まではものの10分。

ここからは、山の幸を収穫しながら、テクテク歩く。目指す獲物は上と下。キョロキョロしながら歩いていたら、木の根っこに足をとられて、すっ転がってしまった。まぁ、これもご愛きょう。

12時過ぎに馬場島に降り立ったときは腹ペコ。家に置き忘れ来たおにぎりが気になってしょうがなかった。

早月小屋まで3時間半 馬場島まで2時間10分(山菜採り30分含む)


投稿者: hangontan 投稿日時: 2014-5-18 20:45:05 (598 ヒット)





















同行者 M嬢 天気 晴れ

半年ぶりの西壁、13年ぶりの竜ルートの再登。
去年は春と秋の二回明星西壁風ルートに挑戦したが、二回とも敗退。去年の春は4月5月と雑穀の岩場で、かなりとまではいかなまでも、いくらか登りこんでいたので、ある程度の登攀準備は整っていた。だが、雨に泣かされ敗退。秋は最強のパートナーと組んで楽勝のはずだった。それでも、うまくいかないときはうまくいかないもんだ、という結果に終わった。

去年の春からほぼ一年ぶり、再びM嬢と西壁にやってきた。登攀は実に去年の西壁以来、岩に触ったのは今年に入ってから一回だけ。自分の登攀態勢はまったくなってなかった、一方のM嬢、毎週のように岩場に通い様々なバリエーションをこなし、冬に入ってからもアイスクライミングに情熱を傾け、登攀系スーパーウーマンへと変貌を遂げていた。その、M嬢がどんな登りを見せてくるのか、それも楽しみの一つであった。

夜半に雨が降ったらしく、家を出るときは道路が濡れていた。去年と同じパターンになるのかと、少し重い気持ちで明星に向かった。

サカサ沢沿いの登山道を歩いて西壁取り付きまで。山の春は遅く、芽吹いたばかりの新緑で満ち溢れていた。急ぎ足のMのピッチに併せて歩いていると、息が上がってきて、これはまずいと思ったが、ペースを落とすのもかっこうが悪く、そのままの歩調で取り付きまで歩く。雪渓は昨年来たときよりはるかに多く残っていた。

雪渓の下の大岩の陰で登攀準備を整え、雪渓と壁との間のシュルントを廻り込んで取り付きに向かった。だが、廻り込んでびっくり。覆いかぶさるようなシュルントの高さは7、8メートルあり、1ピッチ目の終了点までもうすぐというところにまで達していた。雪渓と壁との間も70、80センチくらいしかなく、人一人が通るがやっと。足元は湿っていて泥んこ状態。風ルートの取り付きも、雪が無い時より1メートルくらい高いようだ。壁自体は乾いているが、雪渓と壁に挟まれた空間の威圧感に気押され、クライミングモチベーションが上がらない。左の竜ルートはシュルントがなくて、明るく開けていたので、そちらにルートを変更することにした。

1ピッチ 掘棔。隠毅蹇。戰蝓璽
ボルトに導かれ覆いかぶさる壁まで直上。ハング下にビレイ点はあるがスルーして、左から回り込むようにして登るとしっかりとしスタンスがある。この後やや右上ぎみのルートとなるが、ロープの流れが悪くなるのでここでピッチを切る。

2ピッチ 検棔。腺亜。横毅蹇。
出だしは、ややかぶり気味の一手。MはA0で豪快に越えていく。越えてからは壁の弱点を縫ってのライン取り。要塞ハング下の突き当たったところでピッチを切る。このピッチ、Mを確保しているときから、両手の指がつって、痛いのなんの。足のつったのが、そのまま指に来た感じ。カラビナを掴んだ状態で指が固まって動かなくなったり、指の付け根から固まって動かなかったり、はたまたミイラのように変なかっこうに曲がったままだったり。明らかに鍛錬不足。歳をとればとるほど日ごろの鍛錬が必要だと痛感した。

3ピッチ 検。腺亜。横毅蹇。
トラバースピッチ。ビレイ点から少し下がって、ゆるやかな右上。2ピン目をとったところで、足を滑らせて2メートルほど落ちる。Mの的確なボディビレイで止まった。油断だったが、精神的ダメージはゼロ。出直しとなる。ちょっと取りにくいピンがあってA0となってしまったが、フリーでも行けたはず。足がまったく信用できない。13年前はフリーで越した。垂壁を廻り込むとビレイ点がすぐそこに見えるが、ランペ状の足場をさらに進みルート全体が見渡せるリッジで切る。風ルートのスラブ帯も観察できる絶好のビレイポイント。爽やかな風が心地よい。

4ピッチ 検棔。腺亜。横娃蹇。
テラスから直上するとすぐにしっかりした懸垂支点がある。ここで前のピッチを切ってもよかったかもしれない。さらに10メートルほど登るとややかぶり気味の凹角。Mは20分ほど苦戦。しかし、思いを決してやっとこせと越えていった。力を使い切ったMはそこでピッチを切る。この間もビレイをする小生の指はつったり、ほぐれたり、の繰り返し。上腕がパンプしたまま復活しない。
登って来いとのコールがかかったので、登ろうと、セルフビレイを解いてテンションをちょっとかけたら、Mが取っていた支点の一つが外れてガクンとなる。あとで聴くと、浅い溝にセットしたカムが外れたとのこと。Mが支点を構築し直して再度コールがかかる。Mがてこずっていた一手は立っていて、ホールドやスタンスがありそうで、しかし、どれもがうまく掴めなかったり、指が掛かりずらかったり、足を乗せずらかったり。フリーで越すにはちょっと勇気がいる。足がぴったり決まれば越せそうだが、そこが難しい。フォローする自分もMが残していったアブミを掴んでなんとか越える。

5ピッチ 検檗。横娃蹇。
4ピッチ目の残り。直上後、体を外に出すようにして左のラインに移る。途中、イヌツゲに隠れた足場に大きな浮き石があったので冷やっとした。フォローしてきたMはその浮き石に触れてしまったのか、落としてしまい、大落石となって、砕け落ちる音が壁に鳴り響いた。

6ピッチ 掘棔。横娃蹇。
カムを岩溝に噛ませながら登る快適ルート。しっかりとした懸垂支点があり終了とする。13年前はさらにこの上の木登りラインを行ったが、実質の登攀はここで終了であろう。

2回の懸垂で、岩と雪渓に挟まれたシュルントに降り立った。
計画書通り、8時半登攀開始、15時終了。

今回の登攀を通して目を見張ったのはMの登攀力の向上だった。一年前とはえらい違い。この一年間、執念とも思えるほどの根性でクライミングに打ち込んできた、Mの真摯な姿に敬意を表したい。共につるべで登るクライミングほど楽しいものはない。そんな時間を共有させてくれたことにも感謝。

また、この時期の明星の魅力を再発見できたことも、今回ここに来てよかったと思う点。それは春まだ浅いこの時期にしか見ることのできない山の姿。山の春は雪融けとともに急ぎ足で過ぎていく。その移ろいの中の一コマを壁までのアプローチで感じた。登山道の脇に道標べのようにして咲いているヒトリシズカがまず目に留まる。ミツバやイラクサ、アサツキも豊富だ。サンショの葉っぱもまだ柔らかく、いい香りを放っている。山桜も今なら見られる。そして、今までどの山でもいくら探しても見つけられなかった花にも偶然出会うことできた。ある意味今日の登攀以上の成果であると言ってもいいくらい。あの花をこの場所で目にするとは露にも思っていなかった。それだけに驚きと大感動ものであった。

しかし、もうあと二週間もすると山の緑も濃くなり、今日見てきたすべてのもが様変わりしているはず。ヒトリシズカは花を終え、サンショの葉っぱも固くなり香りも薄く、イラクサは化け物のようにデカクなっていることだろう。あの花も成長した他の草たちにまぎれて見わけがつかなくなっている違いない。

岩場にへばりつくようにして咲いていたヒメウツギも今でなければ見られなかった。
山の出逢いも一期一会、これだから、山は行ってみなければわからない。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2014-5-5 20:30:32 (693 ヒット)

























先日(4/26)の“リベンジ”というほど大げさなものではないが、かみさんと連れだって早乙女岳に行ってきた。
前々から、コット谷を歩いてみたいとかみさんが言っていたので、それに付き合うことにした。

5/3 曇り
寒冷前線が通過する見通しで、富山は朝から風がとても強かった。そのうち雨も降り出したが、昼過ぎごろには前線も去ったとみえて、風もやや収まってきた。1時ごろ家を出て、小又川へと向かった。セブンイレブンで弁当を食べて、ついでに晩のおかずも調達。家から持参したのは米とラーメンと酒と嗜好品のみ。便利な、というか、ルーズな世の中になったもんだ。

2時半に小又橋の車止めを出発。林道をコット谷出合いへと歩く。途中、十数人の下山者とすれ違った。1時間50分かけてようやく、出合いに到着。最初の堰堤を渡渉して、コット谷のまん真ん中の木のたもとの雪面にテントを張った。前線の影響が残っていて、山は雲に覆われている。

一段落ついて、外の様子でも伺おうと、テントから顔を出したら、夕日に照らされた山稜が光輝いていた。山の端だけが刀の峰のように光っていて、神秘的な光景だった。これを見られただけであとはどうでもいいや、というくらの絶妙な光の当たり具合だった。

いつものように、コメを炊いて。今夜のおかずはセブンイレブン特選の「金のハンバーグ」と「金のビーフシチュー」とパックサラダとわかめスープ。これじゃ、家にいるのとおんなじだ。

5/4 晴れ
天気予報では雨の降る確率は一日中ゼロ。そんな予感にさせてくれるほどの朝の澄んだ空。
ラーメン餅を食べて、コーヒーを飲んで、お茶を作って出発。

テントの外で準備をしていたら、男女二人組が歩いてきた。あれー早いな、と声をかけたら、我々のすぐ下にテン張っていたとのことだった。昨日大日尾根を登って、今日は山ノ神尾根を行くのだと。やっぱり、コット谷出合いは格好のベースとなるようだ。ルートも色々選べるし、スキーも出来るし、水もあるし、なにより静かだ。定着してあっちこっちの山を登るにはもってこいの場所だ。

我々は、彼らより少し遅れて出発。コット谷を歩きながらふり返ると、山ノ神に上がるルンゼに二人が取り付いているのが見える。コット谷を登っていると、一ノ谷ばかりだけではなく、左手にいくつもの登攀意欲をそそられる谷や尾根がある。右手は大熊山の側斜面。雪がつながっていれば、大熊山の主稜線から一気に駆け下ることが出来る。

我々は直接コット谷のコルに突き上げないで、一つ手前にある左手の小さな沢を辿ることにした。下から見ると緩やかな斜面に思えたが、上部稜線に近付くに従い、斜度がきつくなり雪も堅くなってきた。この登りがかみさんにはこたえたらしかった。アイゼン、ピッケルが効くのでゆっくり登ればなんてことはないのだが、滑り落ちたときのことを考えるとつい力が入ってしまった、とは後の弁。

稜線に出てからはなだらかな雪面歩き。天気もよろしく、剱岳をはじめ周辺の山々の眺めを堪能しながら行く。この稜線がこんなにもすばらしいビューポイントとは想像していなかっただけに、なおさら感動しっぱなしだった。遠くには白山も見える。

かみさんにとっては最後の登りもちょっときつかったようだ。それでも、一歩一歩足を前に出して進んでいる。頂上台地に出ると、そこは野球ができるほどの平らな雪原だった。ホワイトアウトになれば、迷いやすい地形。GPSを使っても登ってきたログがなければ、かなりルートファインディングは難しいだろう。どこがピークだか判然としないので、大日岳に向かって歩いて、次の鞍部に下る地点まで進んで、少し引き返してきた。ピークは踏んでいるだろう。我々は早乙女岳が目的地だったが、大日岳を目指すなら、このピークはもしかしたらスルーしてくこともあるかもしれない。トレースはやや下の斜面をトラバースしいていた。

座り込んでサンドウイッチを作っていたら、朝出会った二人連れが山ノ神を終えて下ってきた。昨日大日岳を踏んだので今日はもうよいとのことだった。

さて、腹いっぱいになったので下山にかかるか。
かみさんも満足げだし、自分も先週2011で涙をのんだだけに、気分もよろしく腐りかけた雪を蹴散らしながら下っていった。右手には飛びこんでみたくなる沢が次々と出てくるが、忠実にコット谷コルまでトレースを辿ることにした。

テクテクあるいてテン場に到着。ゆっくりペースだが目的を達せられてよかった。
かみさんと次はどこの春山を行こうか、としゃべくりながら帰路についた。

小又橋からコット谷出合い(CS)まで 1時間50分
CSから早乙女岳まで4時間50分 CSまで2時間


投稿者: hangontan 投稿日時: 2014-4-29 18:20:52 (671 ヒット)



























4月5日に人津谷に入ろうとしたが、ザックを車に積み忘れてしまって、称名の滝見学に転進した。その“忘れ物”を取りに、再び人津谷に向かった。

林道は雪融けがすすんで、かなり先まで地面が出ている。標高760地点からようやく雪を拾うことができた。この時期になると入山する者もそこそこいるらしく、山はなんとなく人間臭さが漂う。それとも春の訪れがそう思わせるのか、周囲が真っ白で一人ラッセルする音が新雪に吸収されていくあの静寂さはもうなく、雪融けが始まった谷川のせせらぎが幾重にも響き合う。

過去ここに来るときは人津谷から右手の1350台地に突き上げるルンゼと尾根を辿ってきたが、今回は忠実に文登研の避難小屋のあるコルを目指した。さすがにコルまで来ると雪は深い。2メートル半は積もっている。

コルからトレースを辿って先に進む。歩いてみて、やっぱり直接1350台地に上がっておけばよかったと思った。文登研経由だとルート的にかなりのロスがある。アイゼンを効かせた堅雪登りもこの時期のちょっとした醍醐味でもあったのに。来年はやっぱりショートカットして登ることにしよう。

雪見平を過ぎてからは、気温も上昇、シャツ一枚でいく。連日の晴天のせいもあってか、雪はぐさぐさ。つぼ足からワカンに切り替える。

文登研のコルを過ぎたあたりから、右足股関節外側に違和感が出ていた。そのうち治るだろうとたかをくくっていたが、一向に治る気配はない。それどころか足をあげるたびに痛みが増してくる。それでもなんとかだましだまし登っていったが、だんだん辛くなっていった。剱が見えるところまで、との一念のみで歩く、歩く。

前大日を越えると、雪稜のトラバースも出てくるのでワカンをデポし、アイゼンに履き替える。早乙女岳の登りにかかる細尾根はちょっとしたリッジになっている。今度はストックをデポして、ピッケルを取り出す。陽射しに負けて腐った雪稜はいまにも崩れそう。あと2時間くらい早ければ、前爪を効かせた快適なアイゼン登行が楽しめたかもしれない。

前大日から三山四山越えて、ようやく早乙女岳の肩に到着。早乙女岳はすぐ目の前。だが、ここまで来る間に股関節痛でエネルギーを相当費やしてしまって、もう体はへろへろだった。これ以上痛みを我慢して歩くガッツはなく、水切れも口実にして、本日の行動を打ち切った。

登り:車止めから文登研のコルまで 2時間15分 前大日まで 1時間20分 2011Pまで1時間15分
下り:2011Pから車止めまで3時間10分


投稿者: hangontan 投稿日時: 2014-4-28 17:56:27 (421 ヒット)















かみさんが登山靴を新調したので、その靴慣らしにと出かけた。
厳冬期にも使えるというその靴は、出番はあと何回くらい来るのだろうか。そんなことは百も承知の上で揃えた靴だった。厳冬期は無理としても初冬、残雪期には十分力を発揮するに違いない。それでもそんなに出番はないだろう。すべてはかみさんのやる気次第だ。

どこを歩くか迷ったが、手軽で、気軽な、上市ダムから辿る千石城山に行くことにした。
上市ダムの脇にある剱親公園は雪融けも進み、その間を縫うようにして登っていく車道も反対側の早月川へと下る峠まで簡単に行くことができた。あまり上からだと歩きも物足りないので、そのいくらか下にある大きな駐車場に車を止めて、そこのすぐ近くの登山道から取り付いた。

山は春まっ盛りとまではいかなものの、春を待っていた木々や小鳥たちで賑わっていた。一番に目に飛び込んで来たのがユキツバキ。これが山全体に咲き乱れている。長い冬と深い雪を耐え忍んで、訪れた春にめがけて咲きだした、そんな感じ。そして小鳥たちのさえずりがかまびすしい。もう少し雪が残っているかと思ったが、早月川側の斜面に少し残っているだけで、山の春は思ったより進んでいるようだ。下界では早散り始めたサクラが周辺の山肌にちらほらと見られる光景が、なおさら山の春を感じさせてくれた。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2014-4-27 19:07:17 (1340 ヒット)







今でこそ3Dモデル花盛りのご時世。機械に通せばなんでも3D模型が瞬時に出来て来てしまう。山の3Dモデルもそんなに難しくはないだろう。3Dモデル用の地形図データも出回っていると聞く。

しかし、小生がこの模型を作ったのは二十年以上も前のこと。旅先での暇つぶしにと思って作りはじめた。以下にその手順を示す。

〆遒蠅燭ぬ老燭了外茲鬟バーした二万五千図の地形図、厚紙(使用した厚紙は約1ミリ)、糊、替え刃が出来る細身のカッター、を用意する
二万五千図の地形図一枚だと大きすぎるので、そこから、だいたいこれくらいの大きさにしたいという範囲を切り出す
C老楚泙鬟灰圈爾靴董厚紙に糊付けする
ぃ毅哀瓠璽肇覺岾屬飽かれている太い線に沿って、厚紙ごとカッターで切り抜く
イ海虜邏箸鮖海両紊ら、裾野から、飽きが来ないように適当に切っていってパーツとする。たとえ紙であっても刃物の切れ味が悪くなると力ばかり入ってすぐに疲れるので、頻繁に替え刃を交換する
Δ海譴世汎鷦仝掬には1/25000になるが、三次元的には約1/50000
Г修海猫イ悩遒辰織僉璽弔鬚發Π貪抔紙の上に糊付けして、輪郭をカッターで切り抜き最終パーツとする
┐修離僉璽弔鯆イ蟾腓錣擦道馨に形成していく(上から重しをする)
最後に裏から木をあてて糊付けし台座とする
これでだいたい山の形が出来上がるが、50メートルごとの厚紙の段差がくっきりしすぎる
そこで、彫塑などに使う形成用のセメントを指先で薄く塗る
セメントが乾いてから、もう一度作業を繰り返す。その作業を何回か繰り返し、だいたいのところで作業を終える

これで山の3D模型としては完成だが、第二段階として、この模型を原型として量産できるようにした。
〔老燭すっぽり入るプラスチックのケースをホームセンターで用意する
△修涼罎縫轡螢灰鷦脂(これが結構値段が張る)を流し込み、そこに模型を入れて、樹脂が固まるのを待つ
樹脂が固まったら、模型を取り出し。それをメス型とする
い修海貿輓ズ泙鯒く塗り、石膏を流し込んで固まるのを待つ
ダ亶僂固まったら取り出し、純白の山の3D模型の出来上がり

最初は石膏でメス型を作ろうとしたが、剥離剤を塗ってもうまく型抜け出来ないため、シリコン樹脂で型をとることにした。石膏を流し込む際の手際も大事で、あまりかき混ぜないのがコツなようだ。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2014-4-16 20:45:24 (488 ヒット)

同行者 KとT

この山域は二十年も昔の春に烏帽子岳に登って以来。
小雨模様の中、ブスブスの雪稜を登った記憶があるのみ。どんな山域だったのかは一向に覚えていない。

4月12日 晴れ無風 焼山温泉から早川のコルまで 4時間30分
焼山温泉付近はスキーヤーのものと思われる車でいっぱい。少し手前の路肩に車を止めさせてもらう。
すぐに雪を拾って山に入って行く。ルートは川に沿ってほとんど平らな林道から少し入り組んだ地形へと変化していく。どこを通っても行けそうな感じなのだが、雪融けが進んだ今頃はなるべく谷に下りないように気を付ける。幸いスキーや歩行者のトレースがはっきりとしているため、それに従う。トレースはアケビ平から川を挟んで吉尾平へと上がっていく。周囲を山々で囲まれた吉尾平は、すり鉢の底のようなところだった。

吉尾平までくると今日の目的地早川のコルまではそう遠くはない。正面に鉢山、その右手の鞍部目指していく。傾斜が緩やかで、ついペースが上がりがちだが、心拍数を抑えぎみに、一定のリズムを意識ながら歩く。

ブナの木が立つコルは、広場のようで、テン場としては最高の場所。そこから見える烏帽子岳の尖鋭峰がマッターホルンのようだ。

コルに到着後、明日の取り付きとなる鉢尾根の偵察にいく。鉢尾根はコルからすぐで、案じていた雪壁もさほどでもなそう。コルに戻り、テントを張って、夕方までまったりとした時間を過ごす。

4月13日 晴れ 鉢尾根上部経由主稜線縦走後早川のコルに帰幕
         主稜線に出てから西の肩まで3時間50分
         東のコルを経てテン場まで1時間40分
 
3時起床。朝食は雑煮、永谷園のお吸い物に餅三つ、薬味に我家の庭のアサツキとミツバ。

いざ出発。この時期としてはあまり寒くはない。標高が低いせいもあるのだろう。歩き始めて直後、胸のざわつきを覚えたが、ゆっくりペースで歩いているうちに消えていった。

昨日偵察しておいた鉢尾根から取り付き、鉢山の主稜線に出る。登攀スタートの1ピッチ目は全く雪が付いていない。傾斜も緩くロープを出すまでもない。そこを登るとほぼ水平の縦走となる。両側がすっぱりと切れ落ちた尾根は雪も付いていない。岩を積み重ねたような、今にも崩れ落ちそうなもろい稜線だ。ロープなしでも行けそうだが、安全を期してスタカットとする。ヤブを漕いだりして4ピッチ。窓と呼ばれるキレットの上に立つ。そこから約10メートルの懸垂。半分死にかけたブッシュからとった残置スリングがあるが、補強のためスリングを足して懸垂支点とした。浮き石が堆積しており、落とさないように気を使う。コルからは直登も可能だが、右手からトラバース気味に1ピッチ行く。ブッシュくぐりと雪の斜面のミックスだが、問題はない。そこからは本当に細いかろうじて残った雪のナイフリッジ歩きをちょっとだけ楽しんで鉢山の西の肩に出る。

東の肩には3人組のパーティー休んでいた。向こう側から登頂を終えたところだった。山頂からの絶景をしっかりと目に焼き付ける。雨飾山が思いのほか大きく見え、金山へと続く稜線に興味を魅かれた。

軽くレーションをとって下りにかかる。雪は東のコルまでびっしりと付いているが、ナイフリッジがコルまで続き気が抜けない。気温が高めでグサグサになりつつある雪もいやらしい。リッジを巻いたり斜面を下ったり、コルまでは精神的によくない下りだった。

コルからはトラバースぎみに、左に縦走してきた鉢山の側壁を仰ぎながら、テン場へと戻る。登り返しも思ったほどではなかった。

久しぶりの一泊登山。気のおけないいつものメンバーとの山行。二日間とも穏やかな快晴でなんの不安要素もなかった。ロープを使った登攀も久しぶりだったが、案じていた自分の体調も大崩れせず、春山を手放しで楽しめた二日間だった。もしかしたら、もう少し上の山もこなせるかも知れない、との感触を得た山行でもあった。

































投稿者: hangontan 投稿日時: 2014-4-6 17:49:56 (597 ヒット)





















朝、目が覚めてみると障子の向こうが明るかった。昨日の時雨模様の雨は止んだみたいだ。布団から跳ね起き、あわてて支度を整え家を出た。今年はまだ足を踏み入れていない一津谷周辺の山を登ろうと車を走らせる。アルペン村に着いて、コンビニで食料を調達してザックに入れようとしたら、ザックが無かった。あわてて家を飛び出して来たものだから、ザックを車に積み忘れたのだった。それにしては登山靴は三足も入っている。ストックもピッケルもアイゼンもワカンもカメラも、ただザックだけが無かった。ここまで来たら取りに戻るのも面倒なので、目的を称名の滝見物に変更した。

藤橋のゲートは当然ながら閉鎖されている。だが道には雪はない。昨日降った雪は除雪車でかき消されていた。コンクリート歩きは底の固い登山靴にとっては歩きにくい。

桂台ゲートまで除雪されている。はたしてその先はと思ったが、ゲートから先も除雪されており、驚いたことに称名の滝の滝見台まですでに除雪は終わっていた。さらには称名の駐車場まで除雪されている。この時期にしては珍しい。おそらく、今冬は平野部の積雪が例年と比べて極端に少なかったため除雪費が浮いたので、3月中に称名道路の除雪が進んだものと思われる。今年の称名道路の開通は例年より早まるかもしれない。

ただ、昨日降った雪が桂台より先に残っていて、そこはまだ掃かれていなかった。雑穀橋で10センチ、称名の滝で20センチ程度。この雪は陽が射して気温が上がれば自然に消えていくだろう。あるいは、除雪車が入るかもしれない。

この時期の称名道路歩きの楽しみはなんと言っても悪城の壁見物。今日は昨日の降雪のおかげで、壁はうっすらと雪をまとい、黒い地肌と白いガウンとのコントラストに魅了された。写真をパチパチ撮りながら歩く。称名の滝周辺の雪の付き具合もほどよく、滝の流れと共に変化に富んだ表情が楽しめた。

帰路、人津谷出合い付近で重荷を背負った単独行者と出逢った。聞くと、単身赴任で富山に来ており、一人でアパートで寝るのもつまらないので、山で一晩寝て過ごそうと思って来た、ということだった。なるほど、そいつはいい考えだ。そういう山の入り方もありなのかと思うのであった。

サックを忘れたおかげで、思いもよらぬ拾いものをした感じ。これだから、山はやってみなければわからない。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2014-4-2 20:33:54 (371 ヒット)















気になる山があった。伊折から馬場島方面に向かって歩いてきて小又川にさしかかるころ、小又橋の上の方に見えてくる山がある。雪の無い時期はそうでもないのだが、冬から春にかけて、雪をかぶった白い山は薄い水色の鉄骨の小又橋とマッチして妙にしっくりとくる。

伊折のゲートは無くなっていて、剱センターのゲートまで車は入る。除雪はその先も続き、小又橋の手前200〜300mに除雪車は止まっていた。その両脇にはまだ除雪しきれていない雪が残っている。除雪された道路はさながら廊下のようだ。雪の上を歩いたほうが気持ちがいいので、左端に残った雪の上を歩く。ところどころに右斜面からの小雪崩が廊下を塞ぎ、落石が散乱している。

さて問題の山、東芦見谷右稜。道路を歩いていくと対岸に台地上の尾根末端が見えてくる。そこから取り付こうと思うのだが、二日前の雨のせいなのか、ただ単に融けだした雪代の分なのか、水量が多くてとても渡渉できる流れではない。東芦見谷正面に架かる吊橋の底板は取り外されている。吊橋の両脇に乗って、慎重に足を運べば行けなくもないが、滑らせでもしたら致命傷となるので、この橋は使えない。

渡渉出来る地点を探し、先を行くが、だんだん予定していた取り付きの台地から遠ざかってしまう。唯一使えると思えるのは川幅が広くなっている堰堤。いくつかの堰堤を過ぎて、なんとか使えそうな堰堤がようやく見つかった。それは、地形図上の「大出し」の直下に設置された堰堤であった。となるとこの大出しから廻り込むようにして尾根に取り付くしかなさそうだ。でもやっぱり、雪融けがまだそんなに進まない3月中旬までに東芦見谷右稜末端台地目指して渡渉するのがベストだろうな。

剱センターから小又橋まで45分 馬場島を超えて引き返し地点まで1時間


投稿者: hangontan 投稿日時: 2014-3-17 19:45:54 (640 ヒット)

昨夜、かみさんが言った「明日晴れだよ」。
この一言で今日の山行は決まった。

一昨日のスノーシューの取り回しに懲りて、今日はワカンとピッケル、念のためアイゼンもザックに入れた。一昨日自分が付けたトレースを辿って高度を稼ぐ。たった二日しかたってないが、雪は随分沈んだようだ、細尾根では地肌がみえているところもある。ワカンが正解だった。

1340Pを過ぎると、雪質は一変し、膝まで潜る。ここから先はトレースもないから、結構きつい。なだらかに見えても細かな起伏があり、小ピークは巻き気味に通過。そろそろ熊も巣穴から出てきそうな時期なので、時々大声を出しながら歩く。巣穴になりそうな太いタテヤマスギが随所にみられる。そのわきを行くのはなかなかのスリルだ。1500付近で、一羽のカラスが鳴きわめいていた。ギャーギャー、ゲーゲー、クワ、クワと威嚇するような鳴き声は不気味な響きだった。

1340から下った最低コルから、4山5山越して、ようやく大熊山の肩にでる。そこからは一歩一歩かみしめるように行く。そして、ついに山頂。今季4度目の雄叫びをあげる。

昨年暮れから、実に5回のトライを経て、今日ようやく山頂に立つことができた。本当に遠くて、長い道のりだった。一つ喉のつかえ物がとれたような感じ。

さて、下山はどこからにするか。来た道を戻ってもよいのだが、コルからの長い登り返しが嫌なのと、あの不気味なカラスを避けたかったので、去年使った、大熊谷東山稜を行くことにした。途中まではルンルン気分で降りていたのだが、大熊谷に直接落ちている支尾根に入り込まないようにしていたら、1400あたりから右の斜面を拾ってしまった。もっと地形図で確認すればよかったのだが、何とかなるだろうとそのまま下っていった。すると、その斜面はすぐに尾根では無くなり、谷に吸収されてしまった。そこはほとんどデブリで埋まり、そうでないところは雪崩れたあとの滑り台のような急斜面となっている。引き返そうにも、すいぶん降りてきてしまっている。

そこでワカンを外して、アイゼンに切り替え、腹をくくって下ることにした。狭い総デブリの谷。早く抜け出したい一心で飛ばそうとするのだが、でこぼこの谷の下りはそんなに楽ではない。高度も下がってきて、堰堤が視野に入ってきたころ、恐れていた場所にでてしまった。滝場である、これがないことを願っていたのだが、やっぱし、というか当然というか、そんなに甘くはなかった。そこで脇の尾根を一つ乗越してみることにした。急傾斜だが、アイゼン、ピッケルならば問題はない。その尾根の反対側は雪崩れたあとで半分氷化した急な斜面だったが、滝場は無さそうな気配。降りてみなければ、なんとも言えないが、とりあえず、バックステップでアイゼンを蹴り込みながら降りていった。この高巻きとクライムダウンが、久々に”しびれた”。

滝場がなくて一安心、だがその先もデブリで埋まった狭い谷。だが、行くしかない。右に左にカーブする龍のあぎとのような谷をしばらく行くと、堰堤に出た。これで一安心。さらに下ってスギの植林帯を歩いて、林道に降り立った。その場所は小曽谷の一つ手前の小谷で、家に帰ってから下降路を同定してみたら、地形図上の1006Pのすぐ下を通るとんでもない谷であった。

久々に緊張した場面をこなして、口の中は苦く、カラカラに乾いている。陽の当たらない谷を歩いていたので体も冷えていたようだ。道を伊折へと向かい、陽の当たる場所で腰をおろして、パンを胃に流し込んだ。

伊折から取り付きまで 55分 山頂まで3時間45分
山頂から東山稜を途中まで行き、1400から右の谷を通り林道まで 2時間半
伊折まで1時間半




















投稿者: hangontan 投稿日時: 2014-3-16 19:03:17 (537 ヒット)

今季5度目となる大熊谷西山稜。
天候が回復基調なので出かけることにした。だが、1340ピークを過ぎたころから、あたりは急に雲に覆われ始め、雪もちらつきだし、とても春山ハイクどころではなくなり、下山することにした。ところが、家路に着くころから、みるみるうちに雲が切れはじめ、青空を背景に剱周辺の山々がくっきり浮かび上がってきた。これだから、山はわからない。

いつものごとく折戸峠付近はスケートリンク状態。伊折には先客はなく、ただ県警の雪上車が定位置に停めてあった。剱センターへと向かう道すがら、晴れ間も広がってきて、春山気分に足も軽い。いつもの場所からエントリー。

いくらか雪は締まっているが、今日も一人、ラッセル、ラッセル。820台地を過ぎると、堅雪の上に10〜20センチの新雪が乗った急な細尾根が数か所出てくる。スノーシューにとっては最悪の状態。下りには難渋すること請け合いだ。吹きだまりのところでは膝上まで潜るし、陽の当たる側では適当に締まっていて歩きやすい、トラバースでは足元から雪崩れて行く場面もしばしば、誠に飽きさせない雪の状態だ。

1340ピークまでは、ときおり雲間から暖かな陽も射して、剱も見えていたりして春山満喫。だが、1340から先のなだらかな稜線に入った途端に、天候が一変した。ガスが巻き始め、風も出てきて、小雪も舞い始める。こうなると一挙に冬山に逆戻り。先ほどまでの余裕は全くない。視界不十分なら気力も急に失せていく。寒気と弱い気圧の谷の通過かと思ってみたりしたが、山頂まではあと1時間半〜2時間、いつ天候が回復するかもわからないので、ここで行動を打ち切ることにした。

下山にかかって、堅雪の上に薄い新雪が乗った斜面に出くわしたが、案の定危なっかしいことこの上ない。つぼ足となって蹴り込んで降りて行った。伊折に着いた時点でも、剱方面の山々は厚い雲に覆われていたので、下って来て正解だと思ってのだが、家に向かっていく道すがら、急に雲が上がっていって、しまいには完全な青空となってしまった。そして、家からは、その青空を背景にクッキリと映え渡った山々が臨めたのだった。

伊折から取り付きまで 45分 1340過ぎて引き返した稜線まで 2時間50分
取り付きまで1時間半 伊折まで45分













投稿者: hangontan 投稿日時: 2014-2-26 17:33:43 (1719 ヒット)

伊折を出たのが9時半。

馬場島までの道は雪上車で慣らされていた。その上をクロカンのスキーの跡が二組。今週に入って陽気は急に春めいてきて、時間が遅いせいもあるのだろうが、伊折での気温は今季初めて零度以上。薄手の手袋一枚で十分。歩くうちに、その手袋も不要に。右手の急斜面からの落雪、雪崩の跡が数か所。この陽気だといつ雪崩があってもおかしくはない。早月川を挟んで、対面の陽の当たる斜面には多くのデブリが見られる。

馬場島に着くなり携帯電話が鳴った。馬場島でも携帯がつながるようになったとは聞いていたが、本当だった。電話は群馬の山間部のお得意さんからだった。「薬屋さん、雪降って、出て来れないの?心配で電話したのよ。こっちは道路の除雪もほとんど済んで、大丈夫だから。薬屋さん、待ってるよ」という内容。昨日も似たような電話が2件あった。群馬での記録的な大雪のため、一旦富山に引き返したことを話し、また向うの雪の具合いも聴いて、近々伺うことを伝えた。災害とも言える大雪の手助けはなんにも出来なかったけど、せめて笑顔で伺うことにしよう。

群馬の母ちゃん達、待っとってね〜、もうじき行くからね〜

伊折から馬場島まで 2時間15分 伊折まで2時間


















投稿者: hangontan 投稿日時: 2014-2-25 6:58:42 (644 ヒット)

大熊谷西山稜、今季4度目。これまで少しずつ高度を上げてきている。はたして今日はどこまで。

今日も「しまむら」の特売品780円の上下のアンダーをに身を着けて家を出た。
伊折付近の雪は前回来た時よりも多くなっているようだ。馬場島への道も雪上車が通ったのか、自然沈下のせいなのか硬くなっている。その上に昨日のものと思われるスノーシュー、ワカンの跡が残る。

締まった雪の上を歩いてい、つものごとく剱センターを過ぎたスギの造林帯の緩斜面から取り付く。いくらか締まった雪は、踏み込むとぐぐっと沈み込む。新雪のときとはまた違った感触。やや重たいが、すねから膝下までなので歩きやすい。樹林帯の中は陽が射さず雪解けが進まないため硬くなるのも遅い。ときおりスギの木の枝の上に乗った大きな雪の塊が、どどどーんと落ちてくる。あれに当たったらイチコロだろう。

820台地を過ぎてからも前回と違って随分歩きやすい。陽の当たる東側の斜面を選んで先を行く。前回の新雪、深雪地獄の場所もなんなく通過。いつのまにか1200天国の台地に到達した。そこから、なだらかな斜面をゆっくりと足を運んで1340Pに到着。今年三回目となる雄叫びはこのピークからだった。

だが、このピーク、付近は落葉樹の疎林帯で眺めが期待したほどではなかった。下りながら、眺望のよいところを探して、そこを休憩の地とした。
ここから見るとまっ平な大熊山が正面に、その右にはたおやかな大日、左に剱岳とその北方稜線。なかでも異彩を放つのがピラミダスな釜谷山。

さて、ここに来て大熊山がようやく射程圏に入ってきた。1340Pからはしばらくなだらかな稜線、そして一旦下りの後、最後の登りとなる。だが、地形図上からはその下りの部分がキレットになっているような気配。行ってみなければなんとも言えないが、雪の着き方によってはそこが核心部となるような気がする。次回は3月、一気に陥せるか。

伊折から取り付き 45分、取り付きから1340P 3時間10分
1340Pから取り付き 1時間50分 伊折まで45分




















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