「教団X」 中村文則 著 ★★ 集英社

投稿日時 2017-7-24 10:25:49 | トピック: 本棚

中村文則、何やってんの?
四年前、NHK朝のラジオ「すっぴん」のなかで、水道橋博士がゲスト出演していた中村文則を評して、まだ若くして芥川賞をとって順風満帆の彼に対して、「今は何をやってもうまくいっていると思うけど、これでいいんかなと思う時がきっと来る」とアドバイスしていた。それに対して中村文則の反応は「自分はまだそんなに苦労していないから、そんな気持ちはわからない」と。

水道橋博士の予感的中。宇宙の塵芥を凝縮した大作を描こうという意欲は感じられるが、持ち込んだテーマのわりには、すべてにおいてうすっぺら、物語も中途半端、挿話を繋いでいく書き込みが全く足りない。作者自身もそれには気付いているだろうに。なんでこんな作品に仕上げてしまったのだろう。作者あとがきの中で「現時点においては、これが僕のすべて」と述べているのがなんとも苦悶に満ちている彼を象徴しているように思えてならない。次回作に期待。



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