「蓮と嵐」ラン・カオ 著 ★★★★ 彩流社
投稿日時 2017-8-6 6:17:32 | トピック: 本棚
| 重いという印象が先にたつベトナム戦争という主題だが、本小説にはそれもあるが、それよりはむしろ全編を通してさわやかな風が吹き抜けているという読後感となった。
ハスはベトナムのシンボルであり国花でもある。題名の「蓮」は様々な意味合いを想像させる。ベトナムという国そのものであり、ベトナム人の心、主人公のマイとその母のクイ。そして「嵐」はベトナム戦争であり、それに翻弄されながらもしたたかに生き抜くベトナム人のいきざま、クイの葛藤、マイの父が抱く友人への疑念。
訳し方もよかったようで、大変読みやすい。テーマは多重で深いが、飾り気ののないさらりとした文章がその重さを消してくれたようだ。
作者一作目の「モンキーブリッジ」も読んでみたい気になった。
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