「スティール・キス」ジェフリー・ディーヴァー 著 ★★ 文藝春秋

投稿日時 2017-12-9 11:22:19 | トピック: 本棚

リンカーン・ライムとアメリア・サックスが登場してから20年、最初のこの頃のようなときめき感は薄れ、パターンも定型化してきて、マンネリ感が否めない。

IOTが急速に進んできて、監視カメラやスマート家電、スマート自動車が手近に感じられるようになってきた。ハッキングや思わぬ通信障害によってそれらが暴走する可能性を危惧しているのは私だけはないと思う。先日も、電波障害が原因と思われる不具合でドローンが墜落するという事案があった。IOTによって世の中便利に、楽になっていくのはありがたいが、いったんそれに頼り切り、社会がシフトチェンジしてしまうと、それらが暴走したとき、機能しなくなったとき、混乱は避けられないだろう。

今回の主題は、まさしくそのスマートデヴァイス社会の脆弱性。
だが、推理小説のわりには、我々の考える範疇で物語が進み、推理する楽しみが薄れている。物語の山や谷も少なく、ほぼ平たんな調子で、考えなしで読めてしまう。リンカーン・ライムにはもっと凄みのあるサスペンスやあっと驚くような推理を期待している読者にとっては、並み以下の作品ととられてもしかたがあるまい。



はんごんたんにて更に多くのニュース記事をよむことができます
http://hangontan.sakura.ne.jp/xoops

このニュース記事が掲載されているURL:
http://hangontan.sakura.ne.jp/xoops/article.php?storyid=1090