「蒼き山嶺」 馳星周 著 ★★★ 光文社

投稿日時 2019-3-13 16:50:29 | トピック: 山の本

「ゴールデン街コーリング」ではいささか面喰ったが、この「蒼き山嶺」ではそれに輪をかけるくらいびっくらこかされた。馳星周が山岳小説を書いていたとは。だが、これがまたおもしろい。中の上の上、くらいの出来。サスペンス的にはややダイナミック性に欠けるが、山の部分がかなりよくできている。山とサスペンスの融合は難しい分野だけに、この作品はよく出来ている方だと思う。早春の白馬稜線から日本海へ抜ける逃避行。裏社会の匂いを漂わせながらも、心温まる青春小説風の仕上がりとなっている。馳星周の転機となったのはな辺にあるのか、突っ込んで読んでみたい気になった。


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