八ヶ岳・石尊稜 2010・12・10/11

投稿日時 2010-12-17 5:54:00 | トピック: 山旅

久しぶりの山は、十年ぶりの八ヶ岳。山ガール一人含め、5人で一つのテントというのもまた久しぶり。年末山行のトレーニングと体調の確認のためという目的もある。集合場所の大沢野役場から登山口の美濃戸口車止めまで三時間とちょっと、昔から比べれば随分近くなったものだ。ここから歩いて約四時間、キャンプサイトの行者小屋に着く。我々は、テン場の喧騒を避けるため、近くの樹林帯の中にテントを設営した。一服したのち、ジョウゴ沢に向かう、翌日登攀する石尊稜への取り付きの確認も兼ねて。ジョウゴ沢の氷は完璧ではないが、ほどほどに発達しており、アイスクライミングの真似ごとをする程度ならば、十分に楽しめる。途中、通り過ぎた赤岳鉱泉のにぎわいに、少しの驚きと戸惑があった。大人数を収容できるホテル並みの設備を備えた立派な山小屋に違和感を覚えたのだ。すぐ脇には、雑誌やテレビで見たことがあるアイスクライミングのための人工氷の施設がこれもまた威容を放っている。

冬のテントの中は忙しい。まず水作り。夕食と明日朝の分を確保しなければならない。5人分となれば結構時間がかかる。ビール缶を開けると、本日のメインイベントの始まりだ。肴は事欠かない、特に今回はうら若き山ガールがいるため、和やかな雰囲気になる。ツマミにと各自ザックから出してきたのが「イカ」ばかり。これには笑ったが、すぐに無くなる。そうこうしているうちに、水作りも終盤。最後に、コッヘルに水を少し残し、シャウエッセンをボイルする。自分的には、山の初日はこれが定番となっている。ここまで来ると、ツマミで腹一いっぱいで、もう食べられないという者もでてくる。しかし、そうはいかない。明日のためにはしっかり食べておかねば。ということで、次は、アルファ米とレトルトカレー。これもまた初日の定番。しめはキュウリのキューちゃんと松茸のお吸い物。もうさすがに、腹いっぱい。酔いも手伝って眠気を誘う。七時半ごろシュラフに潜り込んだ。

二日目の朝。
三時起床。すぐに飯を作りにかかる。昨晩準備しておいたアルファ米と水を鍋に入れ、温める。雑炊とはいえ、五人分は大鍋で目いっぱい。雑炊の素は六人分、「梅かま」の赤巻きを二本刻んで入れる。一煮立ちするとたちまち出来上がり。昨晩に続き、キュウリのキューちゃんをお伴とする。こんなに食べられるかと思われるほどの量だったが、なんとかみんなの腹に収まった。次はコーヒーだ。簡易ドリップ式の紙の包みは破らずにそのまま鍋に放りこんで、コーヒーを抽出。ドリップするより手っ取り早く、味も香りもそん色はない。最後に、今日の行動中の水を作り、テルモスにお湯を入れて、朝のお勤めを終える。さて、予定通り五時に出発だ。

テントを出ると天上に星々がきらめいている。今日の天気はよさそう。朝の冷え込みもさほどきつくはない。目指すは、八ヶ岳のバリエーション入門コース「石尊稜」。前に来たときは、主稜と中山尾根だったが、すでに中年を過ぎたおじさんにはこのくらいのレベルがちょうどいい。昨日確認しておいた取り付きへ向かう沢にはすでにトレースが付いている。これを拾って、先行者を追う。空が白み始めてきたころ、取り付きに到着。

そこは右手に中山尾根、日岳稜が見渡せる窪地、石尊稜の末端尾根を廻り込んだところ。ロープを結びあって、いざ登攀開始。上部に見える大きなダケカンバを目指して雪壁を直上する。最初は緊張も手伝って、体が硬く、ムーヴがぎこちない。一本登るとリズムもよろしく、アイゼンとアックスが氷に雪に食い込み心地よい。トップを交互に代わりながら快適な尾根を行く。上空は雲ひとつないド快晴、風も弱く絶好のコンディション、周囲は岩と氷と雪の絶景が迫り来くる、八ヶ岳はこうでなくては。其処に取り付いているパーティーの声がこだまする。最後の岩稜を慎重に乗っ越すと、登攀はほぼ終了。ゆるやかな雪の斜面を一歩きして主稜線に出る。久々に望むでっかい富士山、感無量。皆が登ってきて、満面の笑顔、がっちりと握手を交わして、勝利と達成の喜びを分かち合う。



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