龍王岳東尾根と主峰南稜 2013/8/13-15

投稿日時 2013-8-16 5:52:10 | トピック: 山旅

手近にありながら行けそうでなかなか行けない山、龍王岳東尾根もその一つだ。だが、ようやくその機会がめぐってきた。下界では連日酷暑だが好天が続いている。一方山はそんな暑さとは無縁で、夕立の心配も全くない、めったにない夏山の様相だった。

同行者 T 君

8/13 晴れ 雷鳥平キャンプ場まで
午後2時のケーブルで立山駅を立ち、美女平から室堂に至る。室堂ターミナルを出たとたん、涼やかな風が全身を包むみこむ。色とりどりウエアで着飾った山ガール、山ボーイたちがたむろしてい様は、まさに山ブームなのかと感じいる。地獄谷コースは火山ガスの危険性が高く閉鎖されている。みくりが池の脇を通って雷鳥平のキャンプ場に向かう。キャンプスペースはどこでも選べるが、適当に場所を見つけて我々のテン場とした。お隣のご夫婦は数日ここをベースにあちこちトレッキングしているとのことだった。酷暑の下界を避けて、一週間ほどそんな風に過ごすのも一考かと思った。

8/14 晴れ 龍王岳東尾根と主峰南稜
ラーメーンをかき込んで5時過ぎに出発。雲ひとつない晴天、ひんやりとした空気。夏山気分を味わって、一ノ越を目指す。一ノ越からは目指すゴジラの背のような龍王岳東尾根の全体が見渡せる。御山谷を下って、尾根を廻り込むようにして取り付きに到着。どこからでも取り付けるのだが、ここを辿る大半の登山者は下部1/3を割愛したところから登っているようだ。我々は、せっかく来たのだからと、最後に切れ落ちている尾根の末端から行くことにした。
快適な岩稜帯を過ぎるとすぐにハイマツのやぶに突入、これがなかなかの曲者で、覆いかぶさるようにして行く手を阻んでくる。しかし、それもご愛きょうというもの。そのハイマツ帯を過ぎると草付きの斜面にお花畑が広がっていた。そして、真っ赤に完熟したキイチゴ。花とイチゴのご褒美に藪こぎの苦労も吹っ飛んでしまった。
このあたりから右手にいくつかのルンゼや支尾根が上がって来ているのが見うけられ、さらに岩稜帯を行くと踏み跡が顕著なコルに出る。おそらく多くの登山者はここを起点にしているのだろう。ここまではハイマツ帯のルート取りや、やや急な岩稜もあり経験の浅い者が同行していれば難渋すると思われる。だが、このコルからはルートも明瞭で、岩場も立っている場面も少なく、快適な岩稜歩きを楽しめる。さながら八ッ峰上半の稜線を思わせる。剱岳が眺望できるころになると東尾根も終盤である。

龍王岳山頂から一旦五色ケ原へと向かう登山道を下り、南面の岩場へと向かう。下りきってから登山道からそれて、ガレ場を東尾根に沿って進むが、そこには顕著な壁といえるルートらしきものが見当たらない。いくつもの支尾根が主稜線から派生して降りてきている感じだ。「日本登山体系」のルート図と照らし合わせてみても判然としない。どこからでも取り付けるから、なおさら迷ってしまう。結局、尾根の向う反対側に大きなルンゼが降りてきているその尾根の一つ手前の小尾根を取り付き点とした。

Tトップで、その後つるべで登攀する。出だしのワンポイント、ザックを背負った体には難しく左から回り込むようにして尾根に上がる。途中、年代物のボルトやハーケンがたまに出てくる。高度を上げるごとに浮き石、浮き岩が目立ち、ルート難易度よりもそちらの方に注意がいく。右に左に真ん中、どこを選んでもルートはとれる。その分、変化に富んだ稜線ともいえる。4ピッチ目ぐらいから、アレート状の岩質が顕著である。実質の登攀はここで終了。あとはロープ無しでも行けるが、2ピッチおまけでロープを出した。そして登りきったところが龍王岳山頂だった。我々のとったルートが間違っていなかったということだ。今日二度目の山頂を踏んで、雷鳥平へのテン場へと向かった。
テン場に着くとすぐに川で冷やしたビールで乾杯。胸を突き刺す美味さだった。

東尾根登攀 2時間30分 下部1/3 3級、上部2/3 2級
主峰南稜登攀 3時間 全体グレード3級、出だし1ピッチのみ3級上 ナッツ、大きめのスリング有効

8/15 晴れ 奥大日を経由で称名まで
室堂乗越からは涼しい風を体全体に受けながらの稜線漫歩。さすがに早朝のこの山域は人がまばらだ。その分静かな山歩きができる。大日小屋で一本取っていると、足取りも軽やかな女性が登ってきた。聞くと称名口から2時間20分で着いたのだという。信じられないコースタイムに小生は唖然とした。一体どうしてそんなことが可能なのだろうか。下りで抜かれるだろうとTと話していたら、案の定すたすたと降りていってしまった。
大日平小屋ではパラソルの日陰でコーヒーを飲んで大休止。ちょと休んだだけなのに体がだいぶ楽になった。長丁場の山歩きにはこういうことも必要だと実感した。
あとは木道を歩いて大日平をてくてく行く。牛首からの急坂を下るにしたがって気温が上がっていくのが感じられ、称名の登山口に到着したときには、真夏の太陽が照りつけていた。





取り付きは左手前に延びてきている斜面ではなく、そこをさらに回り込んだところ




はんごんたんにて更に多くのニュース記事をよむことができます
http://hangontan.sakura.ne.jp/xoops

このニュース記事が掲載されているURL:
http://hangontan.sakura.ne.jp/xoops/article.php?storyid=625