「Q」 ルーサー・ブリセット 著 ★★★ 東京創元社

投稿日時 2014-8-21 18:06:57 | トピック: 本棚

訳者あとがきによると・・・
『小説刊行から遡って1994年、イタリアのアーティストや活動家や悪戯好きが集まり、ひとつのプロジェクトを起動させた。誰でも自由に参加できて、決まりごとはたったひとつだけ。各人が作ったものをルーサー・ブリセットの名前で発表すること。・・・やがて主旨に賛同する人々の輪は各国にひろがって参加者は百名を超え、そして当初の予定通り、五年後にプロジェクトは幕を閉じる。その締めくくりとして発表されたのがこの小説だ』

舞台はローマカトリック教会の腐敗が進んだ16世紀の欧州。宗教改革と農民戦争の渦中にあったドイツから話は始まる。宗教改革で有名なルターが冒頭に登場する。私の知っているルターは教科書で出てきた「改革者ルター」であり、通り一遍の知識しかなく、彼が宗教改革の引き金になった、ということぐらい。本作品ではそのルターを脇に置いといて、下層市民と農民の闘争と権力者と宗教者の闘いを泥臭く描かれている。

最初、時系列が行ったり来たりするので相当理解に苦しむ。だから、読み返しが何度も必要になる。そのうちそれが中盤になるとだんだん話も見えて来て、物語の行く先に興味がわいてくる。

難解といえば難解な作品。16世紀の欧州についての素地がまったく無ければ眠たくなる作品だと思う。何回も何回もうとうとしながら、やっとのことで読み終えた。



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