「囮弁護士」 スコット・トゥロー 著 ★★★ 文藝春秋

投稿日時 2014-12-17 18:27:25 | トピック: 本棚

法廷サスペンスを得意とする彼の作品には、はずれがない。これまで手にしてきたどの作品もそうだったし、本作品もその期待を裏切らなかった。

おもしろいのは、判事の汚職事件を暴きだすのに使っている手法。収賄容疑で起訴された弁護士を囮として泳がせ、それに連なる汚職判事らを一網打尽にしようとする計画。FBIを駆って大々的に仕組まれる囮捜査が見どころの一つ。

囮にされた弁護士はいわゆる「救急車追い」といわれていて「Personal Injuries」を専門に扱っている。決して世間からはいい目では見られない役柄だが、彼には彼なりの言い分があり、彼の生き方がある。捜査する側とされる側の法律家同士の物語が錯綜し、重層さを増し、物語的には単なる囮捜査をテーマとしたサスペンス一辺倒で済まない構成となっている。

FBIの機器専門家が次々と出してくる盗聴装置とその手法はチープ過ぎてホントかいなと思わされるものもあるが、囮となる主人公の役者ぶりがお見事。



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