伊折から その4 2015/2/21

投稿日時 2015-2-23 17:00:57 | トピック: 山旅













確定申告のため群馬から富山に戻ってきた。宿のある富岡から下道で6時間半、夏ならば1時間短縮できるが、今年は山間部の雪が多く、特に長野〜白馬〜小谷村〜小滝あたりは例年の倍以上はあるかと思われる。山肌から懸垂するかのような今にも崩れ落ちそうな雪庇にびくびくしながら車を運転してきた。

その翌日、北陸は高気圧に覆われ絶好の登山日和となった。確定申告は後回しにして、いつものごとく伊折へと車を走らせた。上市から伊折へと向かう道は危険がいっぱい。核心は折戸トンネルの出口、前日に融けた雪が道路を覆って、放射冷却も手伝ってそれが完全なスケートリンクと化している。下りの急斜面は滑ったら一巻の終わりだ。いつものこととはいえ、緊張の面持ちで通り抜ける。

伊折もやはり雪が多い。馬場島へと向かう道はまっさらな雪で完全武装状態。今日の雪はなんか変。踏み込むと、グググーッと膝下までやんわり沈み込んでいく。軽いのか重いのかどっちだか、分厚い低反発クッションのマットに足を踏み入れたような気分。あるいはジムにあるクライミングマシンの踏み込みにも似た感触。時間もかかるし、一歩一歩が非常に疲れる。同じ沈み込むにしても、軽い新雪の方がはるかにまし。歩き用のファットスキーが欲しいと本気で考えてしまう。

そんなだから、なるべく道路脇の杉の植林帯を歩くことにした。杉林の中は落雪が固まって歩きやすい。それでも道路に戻ればまたズボズボと沈み込み、遅々として先が見えてこない。これでは馬場島まで一日かかっても辿りつけない。たまらず、剱センターすぐ手前の屈曲点から右の植林帯にエントリーして、いつものごとくあてのない徘徊と決め込んだ。

となれば、あとは剱展望の地を目指すだけ。高度を稼いで開けた場所を探すが、そこに出れば出たで周囲の藪がうるさく剱の眺望が閉ざされている。そしてまた次の場所を求めて登りだす。顕著な尾根に出てからは登行もやや楽になり、700を超えてからは軽くなった雪を蹴散らしながら行く。そして待望の場所へ。そこは標高800ちょい手前で、立山杉がちらほら目に付きだす地点。そこだけ灌木が途切れた恰好の剱岳眺望の斜面があった。ここまで、飲まず食わずひたすら歩き続け、3時間。ようやく満足のいく地点を見出し、今日の行動を打ち切ることにした。



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