「米中開戦」全4巻 トム・クランシー 著 ★★★ 新潮文庫

投稿日時 2015-6-1 20:50:38 | トピック: 本棚

今、巷を席巻している一番の話題は「ドローン」。

トム・クランシーの作品の中で原爆製作過程を描いたものがあった。そのときは「こんなに簡単に作れるものなのか」と思ったものだ(プルトニウムやそれなりの設備、工作機械が必要ではあったが)。それから幾年もたたないうちの「ドローン」の出現。IT技術の進歩がそうさせたのか、他の技術革新が著しいのか、無線操縦飛行機は小型軽量化しその進化は著しい。しかも安価で誰でも手に入れることができる。それをテロに悪用しようと思えば出来ないことはない。
当局がこれに警戒を示しているのも無理のない話。

本作品ではドローンの代わりにアメリカの無人攻撃機が悪者に利用される。中国がサイバー攻撃によってアメリカ側の操縦を無力化し、テロの道具としてアメリカに攻撃を仕掛ける。

いわゆる「脅威」の対象としての中国を取り上げ、これまでの「イスラム悪役」「ホームググロウン・テロリスト」路線とは一線を画している。

物語を形成するバックグラウンド(中国のサイバー部隊)の物語と描写が緻密で、トム・クランシーの面目躍如といったところ。ふむふむと引きつけられるようにして読んでいく。これでこそトム・クランシーと思うことしきり。ライアンと中国総書記とのホットラインでの読み合いも見もの。

ジュニアを取り巻く物語もライアン・シリーズに馴染んできて、クラーク、シャベスにメアリ・パットも登場し、CIA要員のはらはらする物語も加わって、おもしろさてんこ盛りの作品であった。



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