早月小屋まで 2015/6/11

投稿日時 2015-6-19 16:55:53 | トピック: 山旅

















前回五月の中旬に来てから約一カ月たって、山は春から初夏へと変わっていた。

松尾平のカタクリ、サンカヨウは盛りをとうに過ぎ、種を付け始めている。カタクリに至っては葉っぱがすっかりなくなっていて、それとは知らずにいたなら気付くこともないだろう。カタクリの種のふくらみに目が留まる。可憐な花とは裏腹に、茎のてっぺんに載せた粘土細工のような塊りに力強さを感じる。

1200付近から続いていた残雪の斜面はすでになく、ただ夏道を行くのみ。1700付近で一旦残雪を踏むが、すぐに登山道に入る。1900から左に残る残雪を拾ってなごりの春山を楽しむ。というか、夏山ジョイに近い気分。

周辺の山々も雪解けが進み、山肌の白い部分がはるかに少なくなっている。かといって夏はまだ始まったばかりで、山全体が濃い緑に覆われるまではもう少し時間がかかる。

一先ずの目標としていた早月小屋に到着。雪が完全になくなった小窓尾根が目に飛び込んでくる。雪のガウンが外された今、山肌はもろい瓦礫が露出しているように見え、心なしかひ弱な印象を与える。静寂で荘厳な剱のその場所に独り座り込んで、剱の一部に融け込む気分はなんともいえない。ナッツとオレンジーナを飲んでから下山にかかる。

2000付近、登りに追い越して来た途中下山の男性と一緒になる。なにも考えずにその人の後に付いていたら、1700あたりで残雪の末端に出てしまい、登りのトレースを見失ってしまった。その男性は登りの時もルートを間違えたとのことであったが、下りで道を見失うとただではすまない。私が藪に分け入り、木登りして方向を見定め、ちょっとの藪こぎで登山道に出ることができた。知らない人の後を付いていくのは危険だと再認識した。いつもなら平日の山ではめったに人に逢わないのだが、逢ったとしても春まだ浅い時期に山に入る人はある程度経験を積んだ人に限られる。しかし、夏めいてくると、登山道を辿って雪山に不慣れな人も山に入って来るようになる。そんな人が途中から残雪歩きになると、下りの時に迷う可能性は少なからずある。自分でも気を付けているつもりだったが、まさかその当事者になるとは思ってもみなかった。

今回の山の幸はススタケとワラビ。季節の移ろいとともに、採れる山菜も変わってくる。この尾根のコシアブラやアマナはもう終わりに近い。先日烏帽子山で摘んで来たワラビの昆布〆が非常にうまかったので、それに味をしめ、今回も昆布〆にすることにした。ススタケは茹でてからすぐに昆布で〆て冷蔵庫に、ワラビはあく抜きのため茹でてから一晩置く。翌日ススタケの昆布〆を堪能した後、その昆布を使ってワラビを〆て、ワラビの昆布〆にありついたのは三日後であった。晩ご飯のとき再びそのまろやかなうま味に舌鼓をうった。。

登り:3時間40分 下り:3時間



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