「精鋭たちの挽歌」長尾三郎 著 ★★★★★ 山と渓谷社

投稿日時 2015-12-13 17:46:34 | トピック: 山の本

本の帯には『1983年10月8日、運命のその日、エベレストで何が起こったか 世界最高峰の無酸素登頂に挑んだ二つの日本隊。一つの頂点を目指した男たちの生きざまを追う』とある。さらにあとがきの中で『尖鋭的な登山に挑戦した日本屈死のクライマーの栄光と悲劇。イエティ同人と山学同志会が頂上にアタックした日、チベット側から登って来たアメリカ隊がこれまたエベレスト頂上直下で遭遇、日米三隊がかちあい、エベレスト登攀史上空前の登頂ラッシュとなった』と書き記されている。
1983年といえば、自分が山を始める前の年。それまで山にはなんの興味もなかったので、エベレストで起こったこの日の出来事は全く知らなかった。山を始めてから、山の本にも目を通すようになって、そのとき手にしたこの本を通して、初めてその惨劇を知ることになる。
その日の出来事を詳細に追うだけでなく、生と死の運命を分けた男たちそれぞれの山と歩んできた“人生=生きざま”を描いている。人生の不思議は時として何かが起こることが帰結されるかのように刻まれることがある。それまでやってきた何か一つが欠けても、その結果には至らなかったであろうということが起こり得る。そんな思いにさせられた一冊だった。


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