富山のくすりの中の生薬 : オウレン(黄連)
投稿者: hangontan 投稿日時: 2006-11-11 7:50:06 (1051 ヒット)








中国では「神農本草経」の上品に「熱気による目痛や、まぶたの傷害により涙がでるを治す。目を明らかにする。腸口による腹痛下痢、女子の陰中腫痛を治す。」と記され、古くから用いられた薬剤の一つです。
 日本では奈良時代に中国からその使用法が伝えられ、「播磨国風土記」(714)には始めて黄連の名が記されています。後の「本草和名」(918)や「延喜式」(927)には国内で野生していたカクマグサを漢字名の黄連に当てるようになり、佐渡、能登、加賀、越前、丹波、丹後、備中など日本海側を中心にした地域12箇所が記され、江戸時代にはこれらの地域を中心に栽培化が進み佐渡黄連、加賀黄連、越前黄連、丹波黄連、因州黄連などの名がつけられました。野生採取品が主であった中国や朝鮮に輸出する良品質の産物でした。中国では近年になってシナオウレン(味連)や三角葉黄連(雅連)などが栽培化され、低価格で輸出するため国内産の生産に大きな打撃を与えています。

植物の特徴
 オウレンの仲間はほとんどが陰地を好む植物です。小型の植物で草丈は大きい種で約25冂です。葉は常緑の根生葉だけで、雪解けと同時に花茎を上げ、白色の花を咲かせます。花後、輪状に先端が開いた多くの袋果をつけ、種子は熟すると風などで自然に落下します。
現在薬用に用いられている国内産黄連はキクバオウレンとセリバオウレンの2種で、前者は富山、石川両県にまたがる地域に野生し、かっては加賀黄連の名で流通しました。名前の通り葉がキクの葉に似ていて切れこみの数が少なく、濃緑色で光沢があります。後者は葉の切れ込みが多く、セリの葉に似ています。緑色であまり光沢がないところが前者と違います。現在栽培されている種は後者で、林間栽培に適した越前山オウレンと畑地(寒冷遮被覆)栽培に適した丹波オウレンがこの種の代表です。

生  薬
 秋に掘取り、泥やひげ根を除いた後、陽乾します。乾燥後、炭火等で残ったひげ根を焼き、表面を磨きます。
 主成分はベルベリンで4〜8%含有します。他に、コブチシン、パルマチン、オウレニンなどを含有します。

薬効および使用法
〔唄嵬瑤箸靴動澑蝓⊂嘆宿堽鼻下痢止めに用いられる外、二日酔いに粉末または煎服されます。
苦味健胃、整腸を目的として多くの家庭薬に配合されています

印刷用ページ このニュースを友達に送る