パナワンの成分 : ダイサン(大蒜)
投稿者: hangontan 投稿日時: 2006-11-14 16:54:22 (1476 ヒット)

西アジアまたは中央アジア原産と推測されていますが、はっきりしたことは分かっていません。紀元前3,000年以前のエジプトの墓から球根の粘土模型が発見されいることからピラミッド建築の労働者が疲労回復のために食用にしていたことが伺えます。古代ギリシャやローマでも薬としてよく食べられ、現在でも地中海沿岸で栽培が盛んに行われています。
 
一方、現在世界一の生産国である中国には漢の武帝(紀元前140年)の頃部下の張騫が西域から持ち帰ったことが記されています。日本への渡来も古く、『古事記』には「倭建命が東征の帰途‥‥、坂の神が白鹿に化けて出てきたので、食べ残した蒜をもってこれを打ち殺した」とあります。おそらく、朝鮮半島経由でもたらされていたのではないかと推測されます。平安初期の『本草和名』(918年)や『倭名類聚抄』(932年)には「葫、和名於保比留(大蒜)、今俗呼仁牟仁久(にんにく)」と記されています。因みに、ニンニクの語源は仏教語の「忍辱」という説があります。修行中の僧侶がにおいを気にしないでも食べるという隠語を表すという。なぜ隠語で表したかというと、仏教では、ニンニクやニラなどの、匂いの強い植物を食べると、元気が出て精がつき過ぎて、それが原因で邪念を持ち修行に専念ができなくなるから、僧侶が食べてはいけない食べ物とされいたらしいのです。
 

滋養強壮、疲労回復に重要な食材ですが、その強い臭気で嫌われた面も持ち合わせています。禅宗では門前に「不許葷(臭気のある野菜ニラ、ラッキョウ、ネギ等)酒入山門」と記し、ニンニク等臭い野菜と酒は不浄のものと敬遠されました。西洋では魔よけとして用いられ、ドラキュラを遠ざけるために窓等に吊るし、日本でも弘前市の神社の例大祭でニンニクを買い求め、戸口に吊るして無病息災、悪魔よけをする風習が残っています。

植物の特徴
 葉は長さ60僂曚匹嚢線形、互生し、中央脈で内側に船底状に折れます。夏に花茎を出し、先端に花芽と珠芽が混成する花序をつけます。この花は通常未開花で枯死し、種子はできません。地下部には6〜10個の小鱗茎からなる鱗茎を冬から夏にかけて肥大させます。
 古い時代に東西に伝播したため、その地方地方での固有種に変化し、葉の幅が狭いヨーロッパ型、非常に葉が広く先端が地に垂れる中国型、その中間型の日本型等があります。また、花茎が1mにもなる完全抽苔品種と花茎が葉鞘内に留まる不完全抽苔品種がある外、秋から冬に鱗茎を成長させる熱帯・亜熱帯型と秋から冬には成長が進まない温帯北部型があります。

生  薬
 秋に小鱗茎を植付け、翌年の夏に掘取ります。2〜3日畑で乾燥し、茎を30僂曚匹棒擇辰涜ねて軒下などで乾燥させます。成分はアミノ酸の一種アリインを含有しています。傷つけたりして細胞を破壊すると、アリナーゼという酵素が働き、強い臭いのあるアリシンが生じます。このアリシンはビタミンB1と容易に結合し、体内に吸収されやすいアリチアミンを作ります。

〔オキソアミジンの製法〕
大蒜1,000gをとり、水浴上で約15分間加熱した後、圧搾して得た圧搾汁液約100mlに1〜2g水酸化鉄を加え時々かき混ぜながら室温に2〜3日放置し水溶液タンパク質を除去した後、沈降炭酸カルシウムで中和し、少量の活性炭を加えた後、ろ布を用いて加圧ろ過し、ほとんど無色透明の中性液を得る。これを減圧下60℃以下(濃縮、抽出、乾燥は60℃以下で行う)で約30gまで濃縮し、メタノール90mlずつで3回各5時間浸出し、メタノール浸出液を得る。この浸出液を減圧下約20gまで濃縮し、適量の水に溶かし、カオリン40〜60gを加えて吸着させた後、水約1,000mlで洗い、エタノール(99.5)400〜600mlにて脱着溶出させ、減圧下、約15gまで濃縮した後、適量の水に溶かし活性炭約30gを加えて再び吸着させる。水約1,000mlで洗い、この吸着物をメタノール約300 mlにて5時間浸出し、約11gまで濃縮する。濃縮物を少量の水に溶かし、かき混ぜながら少量の水酸化バリウム試液を加えた後、ろ過する。
ろ液に炭酸ガス及び希硫酸を加え、過剰の水酸化バリウムをろ過して除去した後、ろ液を減圧濃縮し、減圧乾燥後粉砕する。

薬効および使用法
 食欲増進、血液の循環促進、疲労回復、強壮、健胃整腸、冷え性等に生食または加熱、粉末にして用いられます。他にニンニク酒、醤油漬け、蜂蜜漬けにして利用されます。香辛料として粉末のガーリック・ソールト、パウダーも使われます。

印刷用ページ このニュースを友達に送る