富山のくすりの中の生薬 : ゲンノショウコ(現効草)
投稿者: hangontan 投稿日時: 2006-11-20 6:10:21 (1334 ヒット)








即効性のある薬という意味から「現の証拠」または「験の証拠」という漢字名が当てられています。江戸時代の本草書『大和本草』(1707)の牛扁の項に「レンゲ草と云、山野近道所処々に多く繁生す。藻塩草にタチマチ草と訓す。又、俗にゲンノセウコとも云。‥‥葉茎花ともに陰干にして末にし、湯にて服す能く痢治す」とあり、この頃にはすでに下痢止めとして使われていたことが伺えます。タチマチグサ(忽草)の名がすぐに効くところから名付けられたと推測すると、『本草和名』(918)や『和名抄』(931)に「多知末知久佐」と記されており、平安時代からすでに使われていた日本独自の薬草であったのかもしれません。今でも各地にイシャイラズやセキリグサ、テキメンソウなどのいかにも効きそうな名前が残っています。また、ウメズルソウ(花の形体)、ミコシグサ(果実の形体)、ネコアシグサ(葉の形体)など姿形から名付けられた呼び名もあります。因みに属学名のゼラニウム(フウロソウ属)は鶴を意味し、果実の形が鶴の嘴に似ているところから付けられました。ただし、園芸種やハーブのゼラニウムは現在はペラゴニウム(コウノトリ)属の植物のことです。


古い中国の本草書には該当する植物は無く、先の牛扁も『本草綱目啓蒙』(1803)では「古くより牛扁をゲンノシャウコに充るは非なり。‥‥これ救荒本草の牻牛兒、一名鬪牛兒の一種なり。」とあり、牛扁はキンポウゲ科のレイジンソウであるとし、文中の牻牛兒も牧野は他属のキクバフウロであろうと言っています。現在の中国ではネパールなどに自生するゲンノショウコに非常に近い同属のネパレンゼをネパール老鸛草(鸛はコウノトリ)と言い筋骨を強くし、リウマチや解熱に使用しています。

植物の特徴
 全国の山野に普通に自生していた植物でしたが、都市化などにより平野部ではあまり見られなくなっています。葉は掌状で軟毛があり、夏に白〜赤の5弁花を多数開き、次から次へと結実します。前述したように鶴の嘴に似た果実で、実ると基部から5稜に沿って巻き上がり(ミコシグサの語源)、種を飛ばすため、種子をまとめて採取することができません。
 
生  薬
 土用の頃(開花始め頃)地上部を刈り取り、軽く水洗いしてから風通しの良い日陰で乾燥します。葉部が多く、開花した花が少なく、緑色を帯びたものが良品。成分はゲラニンを主成分としたタンニンで、葉には20%程含有します。他にクエルセチン、ケンフェリトリンなどのフラボノイドを含みます。

薬効および使用法
 止瀉、整腸、利尿薬として家庭薬に配合される外、民間薬として重用されています
_捨、食あたり、慢性の胃腸病に1日量20gを水600mlで半量になるまで煎じ服用します。
∪按押∧部の膨満感、便秘、利尿に1日量10gを水500mlで10〜15分煎じて服用します。
9盞谿詰祝匹砲魯殴鵐離轡腑Ε10g、ドクダミ10g、ケツメイシ5gを煎じてお茶がわりに飲みます。
の笋╂、渋り腹、血の道症に浴剤として使います。

印刷用ページ このニュースを友達に送る