富山のくすりの中の生薬 : センブリ(当薬)  民間薬の横綱 
投稿者: hangontan 投稿日時: 2006-11-13 18:25:15 (1100 ヒット)

「良薬口に苦し」の代表的な生薬です。千度振り出してもまだ苦い汁が出る、当に苦味健胃薬であることを和名が示しています。漢字名の「当薬」はこれらのことから付けられた当て字であろうと推測されますが、何時の頃から使われたかは定かではありません。
 現在では和薬の代表的な薬になっていますが、薬として利用されだしたのはさほどに古くありません。薬として用いることを記したのは遠藤元理の「本草弁疑」(1681)で腹痛に用いるとがされています。江戸時代のほとんどの本草書は、古くからの使用法である蚤や虱に使う殺虫剤のことのみが記されています。本格的に苦味健胃薬として用いられたのは江戸末期からのようで、大正9年(1920)改正の「日本薬局方」4局から収載されています。

植物の特徴
過去には日本各地の日当たりの良い、他の雑草と競合しないやせた土地を好んで自生していました。最近では開発等が進んで自生地が少なくなり、長野県等での栽培品が多く出回っています。1g重が13,000〜18,000粒のケシ粒よりも小さな種子で発芽率が悪く、発芽後の双葉も目視できるかどうか程の大きさで、根も細く短いため自然条件下で生存できる株は限られてしまうことが原因と考えられます。発芽後一年目の秋までに2僉10枚程度の根生葉を地面にへばり付くようにつけます。2年目になって萌芽後方形で暗紫色の茎を直立し、秋には20〜30僂砲覆蟷淦茲貿鮨Г濃腓両鮴がある可愛らしい花を多数つけます。葉は対生で2〜3僂龍垢區坊舛波鷯錣剖譴ぁ
類似植物には5局まで医薬品として掲載され、関東以西に分布するムラサキセンブリと、より苦味の薄く薬用に用いられることがないイヌセンブリがあります。以上3種以外に国内に自生するセンブリ属にはミヤマアケボノソウ、シノノメソウ、アケボノソウ、チシマセンブリ、ソナレセンブリ等がありますがいずれも薬用で用いることはありません。

生  薬
秋の開花期に根ごと掘起こし、根部を水洗し、ハサ架けして乾燥します。小型で苦味の強いものが良品とされています。成分は苦味配糖体のスウェルチアマリン、スウェロシド、ゲンチオビクロシドおよび特に苦味がつよいく、イヌセンブリやムラサキセンブリには含まれていないアマロゲンチン、アマロスウェリン等を含有します。他にイリドイド配糖体やキサントン類を含みます。

薬効および使用法
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胃弱、食欲不振、胃部腹部の膨満感、消化不良、食べ過ぎ、飲みすぎ、胃のむかつきに1回量0.03〜0.05gの粉末を服用する。
5淦肝炎、胆嚢炎、膵炎の胆汁や膵液の分泌促進に煎じて服用する。
ぐ虧咾50%アルコール100mlに粉末約5gの割合で1ヶ月以上浸した侵液で頭部に摺込むようにマッサージする。

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