富山のくすりの中の生薬 : ウイキョウ(茴香)
投稿者: hangontan 投稿日時: 2007-12-29 15:05:26 (1124 ヒット)








ウイキョウの種子から作ったお茶(浸剤)はノドの痛みを取るうがい薬や去痰薬として有効とされています。 また、小児にも安全なため、ウイキョウの浸剤やシロップは、乳児の腹痛や歯痛にも用いられます

植物の特徴
全草独特の香りがある高さ2mにもなる多年草です。葉は互生し、深く切込むため葉身は糸状になります。夏に枝先に複散形花序を付け、黄色の小花を多数咲かせます。果実は卵状楕円形の双懸果実らせます。
生  薬
果実が黄緑色に変わり始めた頃に順次収穫し天日乾燥します。完熟した種子は二つに分かれ脱落してしまうか、黒変し、香がうすくなります。黄線色で粒が揃い、香の強いものが良品。精油成分アネトール、エストラゴール、フェンコン等を含有します。

薬効および使用法
約700tが輸入されていますが。その80%は香辛料として利用されています。薬用には20%が利用され、芳香性健胃、去疾、駆風薬として家庭薬に配合される他、漢方薬にも配合されます。

^唾羯供
やせ型で腹部筋肉が弛緩する傾向にあり、胃痛または腹痛があって、ときに胸やけ、げっぷ、食欲不振、はきけなどを伴う次の諸症
神経性胃炎、 慢性胃炎、胃アトニー。
丁香柿蔕湯 
病後または体質虚弱なもののはれもの次の諸症:しゃっくり、胃腸虚弱。


地中海沿岸や西アジア原産といわれ、古代エジプトではすでに栽培されていました。古代ギリシアでこの植物をマラトンとよんだとされ、マラソン発祥の地に群生していたとも、またギリシア語のマラノ(やせる)に由来し、ダイエツトに利用していたからだとも伝えられています。ハーブ英名のフエンネルはラテン語のフエネム(乾草)に由来し葉が細く、乾草に似ているところか名付けられました。
 中国に伝わったのも早く、かい香子の名で唐代の『新修本草』に収載されています。李時珍は「・・・・に懐(い)れて咀嚼する風習がある。かい香なる名称は或は此から出たものではないかと思ふ」といい蘇頒は「かい香は北方では一般に茴香と呼ぶ」といい同音の茴(かい)を使うようになったものと思われます。
 日本には平安時代に渡来したようです。日本名の発音「うい」は茴の唐音から、香(きよう)は漢音からとられたようです。古い作物で各地に伝播したため、現在栽培されている種は幾つかの亜種に分かれています。現在日本で栽培されている種はイタリア北部に分布し、苦味のあるフェンコンを含有するため苦茴香と呼ばれています。イタリア南部に分布する種はフェンコンを含まず、甘いため甘茴香、イタリア南部からアフリカ北部の草丈の低い品種はエストラゴールを主成分とする種で、根出葉の基部が肥大し、食用にも利用されるイタリア茴香、インドに産するインド茴香は精油成分が著しく少ない種です。

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