富山のくすりの中の生薬 : ヒキオコシ(延命草)
投稿者: hangontan 投稿日時: 2008-3-16 17:59:02 (1161 ヒット)








日本の民間薬で数百年前から小豆島の寺院でエキスで作った癪(しゃく)等に効く薬としてお遍路さんに分けていた記録があります。また、江戸時代の本草書「和漢三才図会」(1713年)には「行者が山中で腹痛をおこしている所に弘法大師が通りかかり、道端のこの草の汁を口に含ませたところ、病が癒えたことより延命草と名付けた」とあり、また「俗に言う比木乎古之(ひきおこし)のことで、引起こすことから名付けられた」とあります。当に名前が薬であることをあらわしています。 

苦味性の健胃剤で、その成分は40万倍に薄めてもまだ苦味があると言われ、リンドウ科の生薬に比べても劣らない薬です。薬が足りなかった戦中の「日本薬局方」5局に収載されましたが、苦味成分がアルカリ性に弱く、制酸剤との配合ができず6局から削除されました。

植物の特徴
北海道南部から九州の太平洋岸の日当たりの良い乾燥地に自生する、シソ科の多年草です。根は大きい塊状で木質化し、四角の茎は約1mに達し、叢生します。秋に淡紫色、5〜7个凌鮎花を多数、まばらに咲かせます。同属で日本海側に自生するクロバナヒキオコシも同様に薬用にします。名前のとおり花冠が暗紫色であることが異なっています。同属植物のカメバヒキオコシやヤマハッカ、ミヤマヒキオコシ、アキチョウジ等は苦味が薄く使うことはありません。

生  薬
秋に地上部を刈取り、陽干します。鮮緑色で苦味の強いものが良品です。主成分はジテルペノイドのエンメインで、他にイソドカルピン、ノドシン、オリドニン等が含まれています。

薬効および使用法
苦味性の健胃剤として重曹等アルカリ性薬剤が含まれていない製剤に配合されます。民間薬としての利用も多く、消化不良、食欲不振、腹痛に1回量2〜3gを煎じて服用します。また、エンメイン、オリドニンには抗腫瘍作用、抗菌作用があります。

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