パナワンの成分 : エンゴサク(延胡索)
投稿者: hangontan 投稿日時: 2006-11-14 16:43:16 (1163 ヒット)

安中散の主薬で婦人科疾患や鎮痛などに薬効がある
漢方処方用薬のひとつですが、本草書に現れるのは唐代の『本草拾遺』や『海草本草』に、薬として掲載されたのは北宋の『開宝本草』(975)に延胡索の名で初めて収載された比較適新しい薬用植物です。語源は南宋の『湯液本草』(1248)に「本来の名前は玄胡索であったが宋の真宋の諱(いみな)が玄であったことからこの名を避けて延に書き改めた。」とあります。しかし真宋の在位は997-1022年で『開宝本草』より遅く、これをもって語源とするには疑わしく、また明代の『本草原始』(1612)に「玄は塊茎の皮の色が黒い(玄=黒)から、胡は胡国に生ずるから、索はその苗に紐のようなものが交わるから」と述べていますが前述の『本草拾遺』には延胡索は奚国(中国東北地方)に産し、安東(平壌付近)を経て中国へ来た」と記しており、中央アジアの胡国産であることから名づけられたということも怪しく思えます。

現在使われている生薬は局方で中国の浙江、湖北、湖南省で生産される延胡索一種に限られていますが、過去には色々な種類が用いられたようです。享保(1716)年間には中国から2種類の苗が導入された記録がありますが、現在は栽培されておらず、種も明らかではありません。国内に自生し、代用として使われた種にはシロボウエンゴサク、エゾエンゴサク、ヤマエンゴサク等があります。現在は生産されていません。

ケシ科のキケマン属には地下に塊茎を持つ植物と、持たない植物があります。前者が薬に用いられている種です。過去には色々な植物が用いられましたがここでは局方エンゴサクについて説明します。草丈10〜20僂両型の多年草で、雪解け後に茎葉を展開し、4月始めには紅紫色の花を咲かせ、5〜6月には地上部は枯れます。塊茎は扁球状で径0.5〜2.5僂犯羈單大きく、内部は黄色をしています。

生  薬
 茎葉が枯れた5〜6月に掘取り、薄皮を取り除いて水洗し、沸騰した湯の中で芯まで黄色を帯びるまで煮た後、天日で乾燥します。大きく、質が堅く、中身まで黄色で光沢があるものが良品。成分はアルカロイドのコリダリン、プロトピン、テトラヒドロパルマチン、デハイドロコリダリン、テトラヒドロコルンバミン等を含有しています。

薬効および使用法
 浄血、鎮痛、鎮痙薬として、頭痛、胸やけ、胃痛、腹痛、月経痛に用います。
^唾羯 痩型で腹部筋肉が弛緩する傾向にあり、胃痛、腹痛があって、ときに胸やけ、げっぷ、食欲不振、はきけ等を伴う次の諸症:神経性胃炎、慢性胃炎、胃アトニー
牛膝散 比較的体力があるものの次の諸症:月経困難、月経不順、月経痛
折衝飲 月経不順、月経痛

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