『神農本草経』の下品に収載され、「瘀血、血閉、寒熱を下す。癥瘕、積聚、溜飲、宿食を破る、胃腸を蕩滌する。‥‥」と記されています。中国戦国時代(BC403〜221)の書物『山海経』にも記載があることから非常に古くから薬用として用いられていたことが伺えます。陶弘景(452〜536)は「大黄とはその色である。将軍なる號は、その駿烈、快速なるを表示したものだ。」と述べ、その薬効の強さを強調しています。
ヨーロッパで大黄の記載があるのはギリシア時代で、シベリア南部原産の大黄(瀉下成分が無い食用大黄)がボルガ川流域から黒海に掛けて伝わりギリシアにもたらされたところから、外地を表すバーバロス(barbaros)との造語で現在の英名ルバーブ(rhubarb)が生まれたと言われています。真正の大黄の伝来も古く、古代ローマの『ギリシア本草』に収載され、シルクロードを通じてもたらされていたと考えられています。マルコポーロ(1254〜1324)『東方見聞録』にも「タングートの山々に非常に沢山生息している。商人達は粛州で大黄を買い付け、世界中に運んで行く」と記しています。17〜18世紀になるとバイカル湖の南にある町キャフタがロシア・中国の交易の中心になり、大黄もモスクワを経てヨーロッパに供給された重要な下剤でした。
日本には正倉院の『種々薬帳』に納入時(天平勝宝8年)の記載があり、「大黄九百九十一斤八両 并袋」と見えます。奈良時代に中国内陸部からの輸入があったことは驚くべきことです。100年後の斉衡3年には87斤13両2分に減っていることから需要が多い重要な薬で有ったことが伺えます。
日本の民間薬で数百年前から小豆島の寺院でエキスで作った癪(しゃく)等に効く薬としてお遍路さんに分けていた記録があります。また、江戸時代の本草書「和漢三才図会」(1713年)には「行者が山中で腹痛をおこしている所に弘法大師が通りかかり、道端のこの草の汁を口に含ませたところ、病が癒えたことより延命草と名付けた」とあり、また「俗に言う比木乎古之(ひきおこし)のことで、引起こすことから名付けられた」とあります。当に名前が薬であることをあらわしています。
苦味性の健胃剤で、その成分は40万倍に薄めてもまだ苦味があると言われ、リンドウ科の生薬に比べても劣らない薬です。薬が足りなかった戦中の「日本薬局方」5局に収載されましたが、苦味成分がアルカリ性に弱く、制酸剤との配合ができず6局から削除されました。
植物の特徴
北海道南部から九州の太平洋岸の日当たりの良い乾燥地に自生する、シソ科の多年草です。根は大きい塊状で木質化し、四角の茎は約1mに達し、叢生します。秋に淡紫色、5〜7个凌鮎花を多数、まばらに咲かせます。同属で日本海側に自生するクロバナヒキオコシも同様に薬用にします。名前のとおり花冠が暗紫色であることが異なっています。同属植物のカメバヒキオコシやヤマハッカ、ミヤマヒキオコシ、アキチョウジ等は苦味が薄く使うことはありません。
生 薬
秋に地上部を刈取り、陽干します。鮮緑色で苦味の強いものが良品です。主成分はジテルペノイドのエンメインで、他にイソドカルピン、ノドシン、オリドニン等が含まれています。
薬効および使用法
苦味性の健胃剤として重曹等アルカリ性薬剤が含まれていない製剤に配合されます。民間薬としての利用も多く、消化不良、食欲不振、腹痛に1回量2〜3gを煎じて服用します。また、エンメイン、オリドニンには抗腫瘍作用、抗菌作用があります。
ウイキョウの種子から作ったお茶(浸剤)はノドの痛みを取るうがい薬や去痰薬として有効とされています。 また、小児にも安全なため、ウイキョウの浸剤やシロップは、乳児の腹痛や歯痛にも用いられます
植物の特徴
全草独特の香りがある高さ2mにもなる多年草です。葉は互生し、深く切込むため葉身は糸状になります。夏に枝先に複散形花序を付け、黄色の小花を多数咲かせます。果実は卵状楕円形の双懸果実らせます。
生 薬
果実が黄緑色に変わり始めた頃に順次収穫し天日乾燥します。完熟した種子は二つに分かれ脱落してしまうか、黒変し、香がうすくなります。黄線色で粒が揃い、香の強いものが良品。精油成分アネトール、エストラゴール、フェンコン等を含有します。
薬効および使用法
約700tが輸入されていますが。その80%は香辛料として利用されています。薬用には20%が利用され、芳香性健胃、去疾、駆風薬として家庭薬に配合される他、漢方薬にも配合されます。
^唾羯供
やせ型で腹部筋肉が弛緩する傾向にあり、胃痛または腹痛があって、ときに胸やけ、げっぷ、食欲不振、はきけなどを伴う次の諸症
神経性胃炎、 慢性胃炎、胃アトニー。
丁香柿蔕湯
病後または体質虚弱なもののはれもの次の諸症:しゃっくり、胃腸虚弱。
薬 効 消化不良 頭痛(ずつう) めまい 歯痛(しつう) 眼の充血
分布生育場所
日本全土の土手など湿気の多い場所の自生。各地で栽培。
ハッカは、アジア東部の原産とされ、薄荷油の原料植物として古くから栽培されていました。 「農業全書(のうぎょうぜんしょ・1697)」には、ハッカの栽培の記述があります。 文化14年(1817年)には、岡山で盛んに栽培されたとされ、その後、広島、山形、北海道などと全国で栽培されて、昭和の始めには、世界のハッカの生産量のほとんどは日本産でした。
湿った場所に自生する宿根草(しゅくこんそう)で、全草に強い芳香(ほうこう)があります。 根は長い地下茎で四方に伸びて繁殖します。 茎は40〜80センチになり、四角で細毛があります。 葉は、対生(たいせい)で、短柄に楕円形で先端は尖り、葉縁にまばらに鋸歯(きょし)があり、長さ3〜8センチ、小さな油斑(ゆはん)があります。 花は、8〜9月ころ、葉のわきに輪状に多数の淡い紅紫色の小花をつけます。
苦味健胃薬として使われているリンドウ科の生薬にゲンチアナと龍胆、センブリがあります。3種類同時に配合されることはありませんが健胃剤には良く配合される生薬です
リンドウ(竜胆)
薬としての利用は古く神農本草経の上品に収載され、『骨間の寒熱、驚癇邪気を主る、絶傷を続ける、五臓をさだめる、蠱毒殺す』とあり、単に苦味健胃薬に使用されていたのではなく、抗炎症性の薬物として使用されていたことがわかりまする。
長い間、熊胆のような苦さ故に神秘的な架空の強い動物名「竜」の名を付けられたと理解していました。しかし、調べてみると別の説もありました。宋代の「開宝本草」に『イヌホウズキのことを「竜葵」と言い、葉が似ていて苦味があることから名付けた』と記してあります。これらの逸話からも残留性のある強い苦味が理解できると思います。日本名のリンドウは竜胆の中国読みロンダンが訛ったものです。
菌類を用いる生薬はそんなに多くありません。中でもサルノコシカケ科に属するものがほとんどで、猪苓、茯苓、雷丸、霊芝などがあげられます。
茯苓は枯死したマツの木の根につき、菌核を形成するもので、子実体(キノコ)も地下部にあり地上に姿を見せることがありません。野生のものの採取は熟練を要します。松林の状況を的確に把握し、先端が鉄製でT字型の杖(茯苓突き)で地中を挿し、菌核を突き挿した時の感触と先端に付く白い粉上のものの確認、独特の臭いによって判断し、掘取ります。
現在では日本国内の生産はほとんど無く、中国および韓国からの輸入に頼っています。最近では中国産の栽培品が価格が安いため輸入の大半を占めるようになってきました。現在でも約800tが消費される重要な生薬ですので、国内での栽培が待たれます
「神農本草経」の上品に収載され、古くから陰を滋う、血を養う、補血強壮の要薬とされています。国内には生薬として奈良、平安の頃に輸入されていたらしく「延喜式」(927)に記載されています。
国内で栽培されている種は中国華北、華中東部、蒙古原産のアカヤジオウで、江戸時代に大和、山城、筑前を中心に栽培され、国内の需要をほとんど賄っていました。現在では奈良県でわずかに栽培されている程度です。
現在、輸入されている大部分のものは中国産のカイケイジオウ(懐慶地黄)で河南省懐慶を主産地とする種で根部はいも状に肥大する特徴があります。他に栽培されたことがある種には、花が淡黄色なシロヤジオウや根茎は肥大するが塊根にはならず、色も淡白な浙江省産のケンキョウジオウ(筧橋地黄)等があります。近年開発されたアカヤジオウとカイケイジオウの交雑種、フクチヤマジオウも一部で栽培されています。
樹木や荒地をも覆い隠すほどに繁茂する蔓性の草本で、国内のどこにでも見られる植物です。クズという読みが「屑」を連想させ、樹木に巻き、枯らしたり、電信柱や鉄柱に絡み着く厄介な植物であるかのように思われがちです。葛の語源も草冠と「曷」で、木などに絡み着いて高く上がる草を意味しています。反面、日本人にとってこれほど役に立っていた植物は他にはありません。クズの発音は吉野川の上流に住む国栖(くにす)と呼ばれる人たちの呼称から付けられたとされています。現在も吉野地方に国栖(くず)という地名が残っています。この地方で葛の根から取ったデンプンを吉野葛と言い、和菓子などに用いられています。また、古代の人々は葛布といって蔓の繊維から織られた布を身にまとい、硬い蔓で編んだ篭を葛篭(つづら)言い、栄養価の高い葉や若い蔓、花は山菜として、また家畜の飼料に使っていました。勿論薬用に使われていることは周知の通りです。
即効性のある薬という意味から「現の証拠」または「験の証拠」という漢字名が当てられています。江戸時代の本草書『大和本草』(1707)の牛扁の項に「レンゲ草と云、山野近道所処々に多く繁生す。藻塩草にタチマチ草と訓す。又、俗にゲンノセウコとも云。‥‥葉茎花ともに陰干にして末にし、湯にて服す能く痢治す」とあり、この頃にはすでに下痢止めとして使われていたことが伺えます。タチマチグサ(忽草)の名がすぐに効くところから名付けられたと推測すると、『本草和名』(918)や『和名抄』(931)に「多知末知久佐」と記されており、平安時代からすでに使われていた日本独自の薬草であったのかもしれません。今でも各地にイシャイラズやセキリグサ、テキメンソウなどのいかにも効きそうな名前が残っています。また、ウメズルソウ(花の形体)、ミコシグサ(果実の形体)、ネコアシグサ(葉の形体)など姿形から名付けられた呼び名もあります。因みに属学名のゼラニウム(フウロソウ属)は鶴を意味し、果実の形が鶴の嘴に似ているところから付けられました。ただし、園芸種やハーブのゼラニウムは現在はペラゴニウム(コウノトリ)属の植物のことです。
古くから民間薬として知られており、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃酸過多、胆石症、はれものなどに用いられてきました。乾燥した樹皮を用いますが、民間では樹皮よりも赤い新葉と新芽、赤い葉柄の干したものを煎服したほうが胃がんや胃潰瘍に効き目があるとされています。
動物実験でも胆汁分泌促進、かいようの予防に効果が認められています。「富山のくすり」では「熊胆円」に使用されています。
名前の由来は、見た目には、柏の葉に似ていませんが、その昔この葉に食物をのせて神前に供えたり、だんごを包んで蒸したりしたところから、その利用法が柏の葉に似ているということで、赤芽柏(アカメガシワ)の名がつきました。同じく葉っぱが赤く色づくものに観葉植物として人気のあるポインセチアがあります。実はアカメガシワもポインセチアも同じトウダイグサ科の仲間なのです。ポインセイチアの茎を切ると白い樹液が出てきますが、これには薬用成分が含んでいるので注意が必要です。
万葉集の山上憶良の歌に「秋の野に咲きたる花を指折りてかき数ふれば七種の花」というのがある。この時代は「桔梗」のことを「あさがほ」と呼んでいたらしい。ヨーロッパには十八世紀後半に紹介されており、英名のバルーン・フラワーは、つぼみがふくらんだ風船のような形からついている。
日本や朝鮮、中国、東シベリアなどに分布する多年草ですが、生薬の桔梗根(ききょうこん)は、大部分が中国、韓国からの輸入品です。根にはサポニンを多量に含有するため、去痰剤として知られており、他に排膿、鎮痛作用があるとして、各種の腫物や化膿性炎症、肺炎、咽喉痛、中耳炎などに用いられる。また、一般的には単体で使用するより、他の生薬と組み合わせたり漢方薬として調合される。
家紋として桔梗を使ったのは明智光秀だが、本能寺の変のとき、屋外に乱立する桔梗の旗を見て、森蘭丸が織田信長に光秀謀反を知らせたことでよく知られている。
なお、トルコギキョウはリンドウ科で桔梗とは関係ありません。
柴胡は神農本草経の上品に『茈胡』の名で収載され、薬能は「心腹を主り、腸、胃中の結気、飲食積聚、寒熱邪気を除き、推陳致新(新陳代謝)を主る」と記されています。名前の由来は本草綱目に「茈は古の紫の字で…。これはこの草の根が紫色だからで、今非常に良く用いられている茈胡がこれで、木をもって糸に代えそれをうけて茈胡と呼び慣わしている。」また別に「茈の字に柴、紫の2音がある。茈姜、茈草の茈は皆紫(し)と音じ、茈胡の茈は柴(さい)と音ずる。茈は山中に生じ、若いときは茹でて食用にし、老ゆれば採って柴(しば)とする。それゆえに地上部は芸蒿、山菜、茹草の名があり、根は柴胡と名づけられる。」と記されています。日本名のサイコは中国名の単なる音読みです。学属名のブプレウルムは負牡牛の肋骨の意で茎の特徴から、種名のファルカツムは鎌型の意で葉の形体に由来しています。植物名のミシマサイコの由来は過っては東海道沿いで多く採取され、三島に集荷されたものが良品であったところから名づけられました、昭和初期には絶滅状態になり、現在は栽培化されています。
ミシマサイコと同属の植物は日本にレブンサイコ、ホタルサイコ、ハクサンサイコ等がありますが、何れも薬用としては使われていません。中国には多くのミシマサイコ属植物が自生しますが、日本に輸入されている柴胡はマンシュウミシマサイコで北柴胡、津柴胡の名で呼ばれています。
【植物の特徴】
関東以西の日当たりの良い草原を好む草丈1mにもなる多年草ですが、乱開発、乱獲により野生種はほとんど絶滅状態になっています。葉は互生し、単葉で細長く、鎌状に湾曲します。他のセリ科植物の多くが葉の基部が茎を抱くのに対し、この種は抱きません。夏から秋にかけて復散形花序を頂生または腋生し、黄色の小花を多数付けます。最近では切花栽培も行われています。
【生 薬】
秋または春に播種し、1年または2年目の秋に抜取り、茎を切離して水洗し、陽乾します。半乾きの時に形を整えてさらに乾燥します。太く、臭いが強く、質が柔らかいものが良品。
主成分はサイコサポニンa,d、フラボノイド配糖体、ステロール類、脂肪油等。
【薬効および使用法】
主に漢方処方に配合されます。
胸脇の熱を去り、胸中の痛み、ストレス、悪寒と熱が交互にきたり(寒熱往来)、脇の下がかたく張りみぞおちに物がつかえたような感じ(脇胸苦満)を治します。
_技湯 大便が硬くて便秘傾向のあるものの次の諸症:痔核、きれ痔、便秘。
加味逍遥散 体質虚弱な婦人で、肩がこり、疲れやすいく、精神不安など精神神経、ときに便秘傾向のある次の諸症:冷え性、虚弱体質、月経不順、更年期障害、血の道症。
柴胡桂枝湯 多くは腹痛を伴う胃腸炎、微熱、寒気、頭痛、吐き気などがある感冒、風邪の後期の症状。
ぢ膽童嫖髻,っしりとした体格で比較的体力があり、便秘の傾向があるものの次の諸症:胃炎、常習便秘、高血圧を伴う肩こり、頭痛、便秘、肩こり、肥胖症。
ナ簔羆弋づ髻仝亀い無く胃腸の働きが衰えて疲れやすいものの次の諸症:虚弱体質、疲労倦怠、病後の衰弱、食欲不振、ねあせ。
小柴胡湯 食欲不振、胃炎、かぜ、中耳炎
「良薬口に苦し」の代表的な生薬です。千度振り出してもまだ苦い汁が出る、当に苦味健胃薬であることを和名が示しています。漢字名の「当薬」はこれらのことから付けられた当て字であろうと推測されますが、何時の頃から使われたかは定かではありません。
現在では和薬の代表的な薬になっていますが、薬として利用されだしたのはさほどに古くありません。薬として用いることを記したのは遠藤元理の「本草弁疑」(1681)で腹痛に用いるとがされています。江戸時代のほとんどの本草書は、古くからの使用法である蚤や虱に使う殺虫剤のことのみが記されています。本格的に苦味健胃薬として用いられたのは江戸末期からのようで、大正9年(1920)改正の「日本薬局方」4局から収載されています。
植物の特徴
過去には日本各地の日当たりの良い、他の雑草と競合しないやせた土地を好んで自生していました。最近では開発等が進んで自生地が少なくなり、長野県等での栽培品が多く出回っています。1g重が13,000〜18,000粒のケシ粒よりも小さな種子で発芽率が悪く、発芽後の双葉も目視できるかどうか程の大きさで、根も細く短いため自然条件下で生存できる株は限られてしまうことが原因と考えられます。発芽後一年目の秋までに2僉10枚程度の根生葉を地面にへばり付くようにつけます。2年目になって萌芽後方形で暗紫色の茎を直立し、秋には20〜30僂砲覆蟷淦茲貿鮨Г濃腓両鮴がある可愛らしい花を多数つけます。葉は対生で2〜3僂龍垢區坊舛波鷯錣剖譴ぁ
類似植物には5局まで医薬品として掲載され、関東以西に分布するムラサキセンブリと、より苦味の薄く薬用に用いられることがないイヌセンブリがあります。以上3種以外に国内に自生するセンブリ属にはミヤマアケボノソウ、シノノメソウ、アケボノソウ、チシマセンブリ、ソナレセンブリ等がありますがいずれも薬用で用いることはありません。
生 薬
秋の開花期に根ごと掘起こし、根部を水洗し、ハサ架けして乾燥します。小型で苦味の強いものが良品とされています。成分は苦味配糖体のスウェルチアマリン、スウェロシド、ゲンチオビクロシドおよび特に苦味がつよいく、イヌセンブリやムラサキセンブリには含まれていないアマロゲンチン、アマロスウェリン等を含有します。他にイリドイド配糖体やキサントン類を含みます。
薬効および使用法
ゞ賁7魄潴瑤箸靴堂板輒瑤貿杞腓気譴襦
胃弱、食欲不振、胃部腹部の膨満感、消化不良、食べ過ぎ、飲みすぎ、胃のむかつきに1回量0.03〜0.05gの粉末を服用する。
5淦肝炎、胆嚢炎、膵炎の胆汁や膵液の分泌促進に煎じて服用する。
ぐ虧咾50%アルコール100mlに粉末約5gの割合で1ヶ月以上浸した侵液で頭部に摺込むようにマッサージする。
中国では「神農本草経」の上品に「熱気による目痛や、まぶたの傷害により涙がでるを治す。目を明らかにする。腸口による腹痛下痢、女子の陰中腫痛を治す。」と記され、古くから用いられた薬剤の一つです。
日本では奈良時代に中国からその使用法が伝えられ、「播磨国風土記」(714)には始めて黄連の名が記されています。後の「本草和名」(918)や「延喜式」(927)には国内で野生していたカクマグサを漢字名の黄連に当てるようになり、佐渡、能登、加賀、越前、丹波、丹後、備中など日本海側を中心にした地域12箇所が記され、江戸時代にはこれらの地域を中心に栽培化が進み佐渡黄連、加賀黄連、越前黄連、丹波黄連、因州黄連などの名がつけられました。野生採取品が主であった中国や朝鮮に輸出する良品質の産物でした。中国では近年になってシナオウレン(味連)や三角葉黄連(雅連)などが栽培化され、低価格で輸出するため国内産の生産に大きな打撃を与えています。
植物の特徴
オウレンの仲間はほとんどが陰地を好む植物です。小型の植物で草丈は大きい種で約25冂です。葉は常緑の根生葉だけで、雪解けと同時に花茎を上げ、白色の花を咲かせます。花後、輪状に先端が開いた多くの袋果をつけ、種子は熟すると風などで自然に落下します。
現在薬用に用いられている国内産黄連はキクバオウレンとセリバオウレンの2種で、前者は富山、石川両県にまたがる地域に野生し、かっては加賀黄連の名で流通しました。名前の通り葉がキクの葉に似ていて切れこみの数が少なく、濃緑色で光沢があります。後者は葉の切れ込みが多く、セリの葉に似ています。緑色であまり光沢がないところが前者と違います。現在栽培されている種は後者で、林間栽培に適した越前山オウレンと畑地(寒冷遮被覆)栽培に適した丹波オウレンがこの種の代表です。
生 薬
秋に掘取り、泥やひげ根を除いた後、陽乾します。乾燥後、炭火等で残ったひげ根を焼き、表面を磨きます。
主成分はベルベリンで4〜8%含有します。他に、コブチシン、パルマチン、オウレニンなどを含有します。
薬効および使用法
〔唄嵬瑤箸靴動澑蝓⊂嘆宿堽鼻下痢止めに用いられる外、二日酔いに粉末または煎服されます。
苦味健胃、整腸を目的として多くの家庭薬に配合されています