咳止め薬を5回服用したが、咳が止まらない。まだ服用し続けても良いのでしょうか?

投稿日時 2006-12-25 20:39:11 | トピック: くすりのQ&A

〔使用上の注意〕に数回服用しても症状の改善がみられない場合は、服用を中止し、医師又は薬剤師に相談する事とありますように普通の咳の場合は、5〜6回の服用で症状が改善されるはずです。もう1回位服用して様子をみてください。それでも症状が改善されなければ、セルフメディケーションでは判断しにくい疾患による場合も考えられますので、一度医師の診察を受けられた方が良いと思います。

咳は、気道内の異物や分泌物などを体外に排除しようとする運動で生体の防御反応のひとつです。健康な人でも、煙を吸い込んだり、食物がのどに詰まったりした時などに咳きこんでしまうのは、こうした防御反応が起こるためです。咳を誘発する気道の刺激には、タバコの煙や、車の排気ガスなどの化学的刺激、異物の誤飲、冷たい空気などの物理的刺激、感染(ウイルスや細菌など)、腫瘍(喉頭気管支、肺など)、アレルギー反応(花粉、ハウスダスト、食品など)、心(ヒステリーなど)、血管性の病変(大動脈瘤、肺塞栓、肺梗塞など)があります。
咳が長く続くと体力を消耗させます。1回咳をするとだいたい2カロリーのエネルギーを消費すると言われています。咳で夜眠れなければ、肉体的な疲労度はもっと激しくなります。更に怖いのは咳が引き続き起こることで失神してしまったり、肋骨を折ったりすることです。こうしたことを防ぐためには、ひどい咳はなるべく早く止めた方が良いのです
配置用の鎮咳去痰薬の効能効果は「せき、ぜんそく、たん」の範囲内(ただし、トローチ剤はこの他に「のどの炎症による声がれ・のどの荒れ・のどの不快感・のどの痛み・のどの腫れ」とされています。)「良く効いた」と言われる配置用のせき止薬には、おおかたリン酸ジヒドロコデインが配合されています。コデインにまさる咳止め薬はないといわれるくらい良く効きますが、気道の分泌を抑制する作用があるので、ぜんそく(気管支ぜんそく)の場合は服用を避けねばなりません。したがって一般用の鎮咳去痰薬の製造(輸入)承認基準でリン酸ジヒドロコデイン配合のものは効能効果にぜんそくは承認されません。それゆえリン酸ジヒドロコデイン配合の咳止め薬の効能効果は「せき、たん」となっています。

日本のぜんそく(厳密には気管支ぜんそく)患者は全人口の3〜4%といわれ、その病態は呼吸のたびにヒューヒュー、ゼイゼイという音をたて(喘鳴)、息苦しい状態を繰り返し起こします。ぜんそくの患者は普通の人なら何の反応も起こさないちょっとした刺激で気道を収縮させます。これを「気道過敏性」といいます。ぜんそく患者の多くは本人又は家族にアレルギー疾患を起こしやすい体質をもっています。これをアトピーまたはアレルギー体質と呼んでいます。
アレルギー体質の人が室内のホコリやダニの死骸、花粉などを吸うと気道の粘膜でアレルギー反応が起きて、このとき気道を収縮させる化学物質を多く発生させます。この化学物質が気道の浮腫をもたらしたり、痰を増加させたりもします。すると白血球が気道粘膜の異常を知って集まってきます。そして、この白血球から炎症を引き起こす物質が産生され、気道はひどく荒らされます。つまり、気管支平滑筋の攣縮、気管支粘膜の浮腫、気管支粘膜の炎症、気道分泌物の粘稠度の増加等により突発的に気管支閉塞をきたし、咳や痰の増量をともなう呼吸困難の発作(アトピー型のぜんそく)を発症するのです。

腸の構造がまだしっかりしていない乳幼児では卵や大豆、牛乳等の食品成分がアトピー型のぜんそくを引き起こすアレルゲン(原因となる抗原)となることもあります。そばやチョコレートなどが原因となることもあります。また、アレルギー反応が認められないのにぜんそくが起こる場合もあります。気道が過敏な人ではウイルスや細菌の感染、冷たい空気、運動、心理的ストレスなどでも気道の収縮が起こりぜんそくを発症します。ぜんそく患者の約2/3はアトピー型といわれ主として小児期に発症しています。半数以上の人は成人するまでに完治します。中年以降に発症するものの多くは感染型です。

配置用の鎮咳去痰薬で効能効果に「せき、ぜんそく、たん」と記載されているものがあります。ぜんそくの効能効果に対しては気道の収縮を除くのに気管支拡隈剤のほか抗アレルギー剤、多量の粘稠な喀痰を除くのに喀痰を溶解して喀出を容易にする薬剤、炎症を消すのに消炎剤などが配合してあります。比較的軽症のぜんそくの発作に適用され、使用上の注意にもあるとおり、5〜6回服用し症状が改善されない場合は、服用を中止し医師の診察を受ける事が大事です。
昔はぜんそくの発作による急性死例はめったにないといわれていましたが、最近その例が増加しています。せきやたんの増量を伴うことが多く、重症ではチアノーゼをきたし、呼吸不全に陥る事もあり、生命に関わるので、緊急の治療が必要です。
過労、過食、感冒などは、ぜんそく発作を容易にすることが多いので、日常生活の注意を与えると同時に体の鍛錬等の指導を行うとともに禁煙は全患者に徹底させる等が必要とされています。




はんごんたんにて更に多くのニュース記事をよむことができます
http://hangontan.sakura.ne.jp/xoops

このニュース記事が掲載されているURL:
http://hangontan.sakura.ne.jp/xoops/article.php?storyid=30