八味地黄丸を服用してもむくまないのですが、葛根湯加川芎辛夷を服用すると浮腫が現れるのです。なぜ葛根湯加川芎辛夷を服用すると浮腫が現れるのですか?

投稿日時 2007-1-1 16:27:21 | トピック: くすりのQ&A

葛根湯加川芎辛夷にはカンゾウを1日量として1.0g配合してありますので、稀に人によっては使用上の注意に記載してあるとおり、むくみが現れることがあります。この場合、服用を中止すればすぐなおります。一方、。八味地黄丸にはカンゾウを配合してなく、しかも効能効果にむくみに良いとあるとおり、むくみに対して効果を発揮する利水剤であるタクシャやブクリョウなどを配合してありますので、むくみをとる治療薬でもあるのです。従って、八味地黄丸を服用した場合、むくみが現れないです。
上記の質問内容の答えに対する注釈とはかけ離れますが、むくみ(浮腫)について少し述べます。むくみ(浮腫)とは、血液中の水分とナトリウムが血管外に漏れ、細胞間質(血管や臓器の外側を埋める組織)に過剰に溜まった状態をいいます。
心臓から動脈に送り出された血液は、末梢の毛細血管で細胞に酸素や栄養素を供給し、代わりに老廃物を運び出して静脈やリンパ管を経て再び心臓に戻ります。普通、細胞間質の水分は様々な調節機能により一定レベルに保たれていますが、何らかの原因で、こうした血液循環がうまくいかなくなると、水分が血管外に漏れてむくみが起こるのです。
浮腫には、全身性と局所性のものがあります。
全身性浮腫の代表的なものは、腎臓性と心臓性のものです。腎臓性のものは最初顔面、特に眼の周囲にみられ、特に朝起床時に強いことが特徴です。このうちネフローゼでは高度の浮腫がみられ、全身にわたり、特に頭部の有髪部にみられ、胸水、腹水も起こります。心臓性浮腫は、重力に関係するもので、立位では下肢に高度な浮腫がみられ、一般に朝より夕方の方が高度です。
漢方では、むくみは「身体のどこかに水が偏在した状態」と見なされ、「水毒」と呼ばれます。つまり、水分の代謝障害があって、浮腫という症状が出てくると考えるわけです。
腎臓性(急性系球体腎炎)の場合、全身性に見られることもありますが、顔面、特にまぶたの腫れが良く見られます。この浮腫を実の浮腫と言っています。心臓性(うっ血性心不全)の場合、下肢に高度な浮腫が見られ、労作時の見苦しさや胸痛、動悸などを伴いやすいいもので、虚の浮腫として区別しています。
実の浮腫の場合には、八味地黄丸(タクシャ、ブクリョウ、ジオウ、加工ブシなど配合)、五苓散(タクシャ、ブクリョウ、チョレイ、ジュツなど配合)、当帰芍薬散(タクシャ、ブクリョウ、ジュツなど配合)などが良く使われます。これらに共通していえることは、利水剤といわれるタクシャとブクリョウを配合してあることです。これ以外に利水剤といわれる生薬を配合してありますが、この利水剤が実のむくみに効果を発揮するのです。また、女性では、水の偏在に血の滞りも影響しているとされ、血の巡りをよくする駆瘀血剤であるトウキやセンキュウが当帰芍薬散に、ボタンピが八味地黄丸に配合されています。
原因となる疾患がある場合は、その治療を行います。むくみの治療の基本となるのは、安静と食事療法です。健康な人でも長く立っていると足の血行が悪くなりむくんできます。安静にすることで血行がよくなるのです。また、食事療法も重要です。特に腎疾患のある人は塩分の制限が必要とされています。腎臓は余分な水分や塩分を尿として排泄する働きをしていますが、塩辛いものを食べ過ぎたり、腎機能が低下したりすると、これらを処理しきれなくなり、血管外に漏れてしまうのです。急性腎不全やうっ血性心不全の時などは、水分制限も行われます。それから浮腫がひどい時には、利尿薬(利水剤)が使われることもあります。このくすりは体内の水分とナトリウムを減少させ、血圧を下げる作用があります。
病気とはいえないまでも、足や顔がむくんだりするのは、腎機能や肝機能が低下していたり、心臓が働きすぎだったりすることが多いのです。浮腫が長く続くと、細胞の新陳代謝が悪くなって体調にも影響します。浮腫が現れたら、休息を取るとか、適切なくすりを服用するなどしてなるべく早く解消することが大事です。
浮腫の予防には筋肉の緊張をほぐし、血行をよくするマッサージや体操も有効です。また、運動不足になると、血液を心臓に送り返す筋肉の力も弱くなり、血液が足に溜まって、浮腫を生じやすくなります。日頃から適度な運動をして、筋力低下を防ぐことも大切です。食事は塩辛いものやアルコールなどは摂り過ぎないよう注意することも大事です。




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