赤玉はら薬

投稿日時 2007-4-13 18:34:26 | トピック: くすり屋のトリビア



富山の配置薬に「赤玉」あるいは「赤玉はら薬」の名が見られるようになるのは比較的新しく昭和の初め頃です。しかし俗称としての「赤玉はら薬」は江戸時代からあり、「り病丸」や「如神丸」がこれに当ります。「り病丸」、「如神丸」の処方は下記のようなもので、もっぱら下り腹を適応症にした処方でした。


「り病丸」〈1795)
・阿片 二匁五分(ケシの乳液)
・没薬 一匁二分(ミルラノキの樹液)
・黄柏 一匁二分(キハダの樹皮)
・黄連 一匁二分(オウレンの根茎)
・乳否 七分五厘(乳香樹の樹液)
・沈香 五分(沈香樹の樹液を含んだ木部)
・辰砂 一匁五分(天然の硫化水鋭)
・麦粉 一匁二分

「如神丸」(1873)

・肉豆意 八分(ニクズクの種子)
・唐白朮 六分(オケラの根茎)
・唐木香 八分(モッコウの根)
・白蛇 四分(マムシ亜科の蛇)
・一角 五分(一角獣の牙)
・廣東 八分(広東ニンジン?〉
・没薬 一匁気分    ・黄柏 八分
・麦粉 三分      ・沈香 四分
・火辰砂 五分     ・黄連 八分
・そフヨウ(阿片)一匁 ・乳否 八分

以上のように現在では配置用に配合されない阿片や辰砂が用いられ、没薬、乳香、肉豆意、唐白朮、唐木香、一角、広東人参、沈香などの国内産では賄えない高価な薬物が配合された現在の処方と全く違ったものでした。



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