「DZ(ディーズィー)」
小笠原慧 著 ★★★ 角川書店
横溝正史賞受賞 何気なく手にとった本。種の進化、医療、遺伝子サスペンス。人工授精と種の発生、そして染色体の話などには興味がそそられる。最近話題のES細胞なんていうのもでてくるので、ははん、とうなずく場面もある。ただ、肝心の人間が描ききれてなく、ストーリーも単純、偶然が多すぎる。読み応えのある作品とはけっして言えない。「横溝正史賞」とはどんな賞なのかなと、ふと思ったりする。 人生は偶然によるところが多分にある。生物の進化の歴史においても、偶然がその種の発生、生存に大きく関与してると思う。また、時間の流れというこれもまた掴みようのないものがそこにある。現代の人類にはない特徴をもって生まれた新しい人間の種が、どう種を残していくのか。そんなテーマを感じながら読むとまんざらB級とはいえないのかも。
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