「池袋ウエストゲートパーク」
石田衣良 著 ★★★ 文藝春秋
今を映しだすのが作者は非常に得意だ。というより、今何がしたいか、そのまま作品にしているのだと思う。考えてばかりいては先に進まない。今の池袋、若者の断片をさらりと切り取っている(といっても、書かれた時期からしばらくたっているが)。もしかしたら、こんな奴らが本当にいるのかもしれない、それとも、こんなの小説の中だからだよ、と、そんなすれすれな線を漂わせてくれる。軽妙なタッチの文章は今風だ、第三の波の一派と目されるだけのことはある。あと20年後どう読まれのであろうか。しかし、作者にとってはそれはどうでもいいことなのかもしれない。今を語りたいのだから。
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