「Op.ローズダスト(上・下)」
福井晴敏 著 ★★★ 文藝春秋
かなりの長編、読むのに力がいる。登場人物と設定がパターン化しているのが気になる。一見うだつの上がらさそうな公安の警部補、実は筋が通ったダイハード野郎。自衛隊の特殊部隊からはみ出たテロリストとそれを追う特殊部隊の攻防。表に出してはいけない存在だけに、闇から闇に葬り去られなければならない。制圧に関わる様々な組織間のエゴ。そして、ダイハード野郎との軋轢。テロリストとそれを追うかつては同じ特殊部隊の仲間だった工作員との心の通い合い。そして最後は両者の息詰まる決闘と予想された結末。テロの技法、兵器の特殊性はやや凝った感があるが、物語としては手に汗を握るという緊迫感に欠ける。それはやはり基礎となる要素のパターン化からくるのではないだろうか。兵器の作動方法の詳細な記述の仕方はトム・クランシーのそれに似通っている。根本的な何かが足りない。
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