「鉄鼠の檻」
京極夏彦 著 ★★★★★ 講談社
圧巻の826ページ。これも分厚いノベルズ版。京極堂は行く着く先を知らないようだ。 殺人は連続して起こるのだが、極悪な「犯人」はいない。その犯人をつきとめてなんになる。事件の真相が暴かれてどうなるというのだ。今回、京極堂の憑き物落としは重たい。京極堂だけではなく、事件に関わる全てのものが言いようのない思いに駆られる。もちろん、読者もその例外ではない。人里離れた山寺で繰り広げられる不思議な事件。まさにそこには結界があるかのごとく、別の時間と空間が見事に構築されている。なんてことは無い、本の題名がそうなのである。京極堂、お見事。
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