「ハイペリオンの没落」
ダン・シモンズ 著 ★★★ 早川書房
『ハイペリオン』の後編。前編同様「多人数同時進行」。人物によって文体や表現の仕方を変えている。話はそれらが有機的に結びつき複雑に絡み合って進んでいく。単純明快な人物もいれば、分かりにくい人物もいるが、全体としての雰囲気はなんとなく伝わってくる。前編ではそれらの人物の話が物語自体の伏線となって描かれていた。それが後編でどう収束するのか、それが楽しみだった。だが、謎解きは尻切れトンボに終わったような感がある。どのエピソードも完全に消化しきれていない。謎は残るまま。読む方の相当な力量が試される作品ではないだろうか。
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