「ウーマンアローン」
広川まさき 著 ★★ 集英社
ツイッター上のつぶやきからこの作品に辿りついた。時代は変わった、ネット社会恐るべし。手にとって初めて、著者が自分と同郷なのを知った。へ~、そうなんだ、こんな人も富山にいるんだ。 「アラスカ物語」を手に取った少女が、その主人公フランク安田に憧れ、彼が眠っているビーバー村を訪れる、という著者自身の体験を綴った冒険物語。ビーバー村はアラスカにあるが、彼女はカナダからユーコン川を独りカヌーで下ってそこに行き着くことにこだわった。なぜ、カヌーなのか。しかも、彼女は全くカヌーの経験がないのに。フランク安田に会いに行くには、それしかなかったのだと彼女は言っている。自分とは関係のないもの、あるいは未知のものに身をゆだねて、自分を試してみたい。おそらくそういう思いもあったのではないだろうか。作品中ではさらりと描かれているが、女性独りで1500㌔もの長い距離をカヌーで下るには、大変な苦労があったろうと想像される。それを笑い話のように書き綴っているのは、彼女の何事にも前向きな姿勢があるからだ。それと、道中に知りあった多くの人々との交流が、彼女の旅の支えとなったのではないだろうか。旅は楽しい。まず憧れがあって、試練が大きいほど、得られる喜びもひとしお。山とおんなじ、人生もまたしかり
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