「形見函と王妃の時計」
アレン・カーズワイル 著 ★★ 東京創元社
今回はニューヨーク市の図書館員が主人公。 前作「驚異の発明家(エンヂニア)の形見函」と対をなす作品。そして、前作を読んだなら必ず手にしたくなる一冊。 しかし、それと比べると、というより、絶対的におもしろさに欠ける作品だ。 前作で語られた、数奇な運命の発明家の物語のような話を期待して読んだら、すっかりその期待を裏切られてしまった。 物語自体は相当手が込んでいる。図書館の分類処方に関して、そこから派生した挿話が綴られていく。いったいどこから本題に入っていくの?という感じがずーっと続く。どこで前作とランデブーするのか?その興味一心で読み進む。 始めっから関連しているのだろうが、その関連付けの設定が面白くない。というよりピンとこない。なので期待感がそがれてしまったのだ。 前作のようなファンタジックな世界を期待していただけに残念。
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