「ファミリー・ポートレイト」

桜庭一樹 著 ★★★★ 講談社

ネット上の書評は賛否両論。 自分的にはとてもおもしろかった。 前に読んだ「私の男」に匹敵する。 「逃げるわよ、コマコ」 序盤、マコとその娘コマコ、5歳、の逃避行でぐいぐいと引っぱる。 転がり込んだ先々で繰り広げられるマコとコマコの奇妙奇天烈な生活。そのたびにコマコは考え、すこしずつ大人になっていく。 やがて、コマコは語りを覚え、自分の世界を文章で表現していくようになる。そして得たビッグな文芸大賞。 ジョン・アーヴィングの世界がぷんぷん匂う作品だ。「ガープの世界」や「またあう日まで」を思い浮かべたのは小生だけではないだろう。彼に感化されたことは間違いがない。パロディとしてこの作品に仕上げたと思われるくらい、作品のもつ力、個性は似かよっている。模倣しているとかパクッているとかということではなく、作家同士の持つ個性の共鳴といったものを感じる。 荒唐無稽な物語に、あふれ出る言葉と文章。桜庭一樹の感性と想像力、そして創造力がほとばしる。

「ファミリー・ポートレイト」

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