「われらが背きし者」
ジョン・ル・カレ 著 ★★★ 岩波書店
今年の本始めは、ジョン・ル・カレ。 とびっきりのスリルとサスペンスがあるわけではなく、まぁ、「大人」のスパイ小説といったところ。邦訳の仕方にもあるのだろうが、なんとなく、レイモンド・チャンドラーの「ロング・グッドバイ」の雰囲気を感じてしまうのは私だけだろうか。 スパイ、彼らのその世界のことは知る由もないが、想像を掻き立てられる世界であることには間違いがない。人は、なんで、スパイ小説に魅力を感じるのか。それは、やっぱりスパイが演じる「きわどさ」にドキドキさせられるからではないだろうか。 本作品はその「きわどさ」から少し距離をおいたスパイ小説となっている。
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